営業中の旧車のタクシー!?330グロリア タクシー仕様

松本市の南東に位置する、竹原という地区は、崖の湯温泉がある観光地である。ここに、今回紹介する330グロリアのタクシーを所有する平成交通がある。
 「もともとは私の趣味のクルマだったんですけれどね」と、説明してくれたのは、専務取締役を務める甕進さんだ。


甕さんは運転手歴40年の大ベテラン。スムーズにグロリアを走らせる。「ディーゼルの振動が、私の波動に合っているんですよ」と、お気に入りの様子。

 「以前から330が好きで、自分の趣味のクルマとして1台持っていたんです。近くのクルマ屋さんにも330が置いてあって、見に行ったら珍しいディーゼルで、欲しくなってしまったんですよ。けれど、このクルマをお店の看板代わりにしていたようで、断られてしまったんです。自分の330で出直してきたら、こちらの熱意が伝わって譲ってもらうことができました」

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仕事場といった雰囲気のインパネ回り。ダッシュボード上のあんどんや、センターコンソールの料金メーターがタクシーらしい。角形のタコメーターは220D GLの特徴。

 それが、今から14年前のこと。そして、法改正が行われ、タクシーの新規参入がしやすくなったのをきっかけに、同社はそれまでの観光バスに加えて、タクシー事業にも進出。その時に「広告にもなるだろう」との理由で、ディーゼルの330をタクシーに改造したのだ。

後席はフカフカの座り心地で足下も広々。基本的にノーマルのグロリアと同じだが、フロントシートに捕まりやすいように、取っ手が取り付けられている。

 「新車のタクシーは従業員が交代で運転していますが、グロリアは古いですからね。少々コツがありますから、私以外は運転しないんです。塩カルがまかれる冬以外はお客さんを乗せて走っています」


搭載されるエンジンは2164ccのSD22型。1977年6月に追加されたモデルだ。新開発のエンジンマウントでディーゼル特有の振動を抑えている。吸音材もふんだんに使われているので、室内はガソリン車とさほど変わらない静かさ。

 330は貸し切りのお客さんを乗せることが多いそうだが、時々、松本駅のタクシー乗り場にも姿を表すそうだ。
 「珍しいクルマだし、高級感がある色でしょう。だからお客さんに運賃が高いと勘違いされたことがありますよ。もちろん、運賃は他のタクシーと同じです」


タクシーで登録するためには、後席のオートドアが必要。専門の業者に特注で依頼し、仕上がるまでに1カ月かかった。ドアオープナーは運転席の足下にある。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2008年 08月号 vol.128(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)
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