クラウド・ルーが語る音楽の力「一つのことを1年かけて話すのと、10年話し続けるのでは説得力が違う」

台湾の国民的ポップスター、クラウド・ルー。ワールドツアーの一環として、12月に日本でライブを行う彼にインタビューを実施。ライブのことはもちろん、兵役時代のこと、音楽への想いを語ってくれた。

―まずは音楽をはじめたきっかけから教えてください。

18歳の時に事故にあって、そこで初めてギターをはじめたんです。

―事故というのは交通事故ですか?

はい。バスにぶつけられて、足をやられて骨折してしまいまして。事故に遭うまではスポーツをやっていたんです。

―事故に遭わなかったらアスリートとしての人生を歩んでいた可能性があった?

アスリートになるほどではないですけど、ただあの事故で、もともとアウトドア派だったのがインドア派になったような気はします。

―でもスポーツをやっていたくらいですから、事故にあった時はショックだったと思いますが、メンタル的にも大丈夫でしたか?

もしかしたら自分の場合どちらかと言うと調整がつきやすい人なのかもしれないですね。それほど悲観はしなかった。で、ギターを弾き始めて、ギターってすっごく面白いなって思ったのもそうですし、あとは音楽をはじめたらそれこそ音楽が全部を覆してしまうくらい大きな出来事になりました。

―音楽を始めた頃、誰か憧れていたミュージシャンやギタリストはいましたか?

はい。憧れのギタリストはスティヴィー・レイ・ヴォーンです。なのでギターを始めた時はブルース系ばっかりやってたんです。

―スライド奏法をしていたりとか?

はい。でもすごく難しいですよね(笑)。でもその時は結構一生懸命練習したんです。

―路線をポップスに移行したきっかけはあったんですか?

直感的に変えたんです。誰かに自分の曲を歌ってもらいたいなって思ったら、ブルースの気持ちを持ちつつ、やっぱりポップスの方に切り替えていくというか、作り出すのが台北では有効なんです。


Courtesy of Crowd Lu

―そして、僕らは、今年(2019年)台北アリーナを3日間成功させたポップスターとしてクラウド・ルーさんを知っているわけですが、ブレイクのきっかけはなんだったんですか?

デビューしてから11年が経っているんですが、11年の間にすごくたくさんいろんなことをしました。なので、ここまで道のりはだいたい3段階に分けられると思っています。最初が大学の時代。その大学時代、1stアルバムを出す前に台湾の各地で100回ライブをしたんです。それでファーストアルバムが『100種生活』っていうタイトルなんです。そして、最初のその時代にある程度のファン層がついたのかなと思います。ちなみに、ファーストアルバムを出した時は3000人のコンサートを開いたんですね。自分たちの計画としては、最初は田を耕すところから始めて、徐々にファンをつけて少しずつ外の周りの人たちにも知ってもらう、そんな感じでした。しかも、当時は大学生だったので書いている歌の内容も、学生によくあること、日常生活のことを書いていました。そこから一緒についてきてくれているファンは、そこから一緒に成長してきてくれました。なので、その時のファンは、同じ学生から一緒に成長していて、それこそ年をとっていく中での自分の感情を一緒に思い描くことができる存在なんです。


Courtesy of Crowd Lu

―なるほど。では第二段階は?

第二段階が兵役です。その時にいろんな感情が湧き出ました。正直、その時にいろんな声を聞きました。ファンからは「あんまり音楽性が変わらないね」「つまらなくなったね」などネガティブなことも言われたし、その時期に僕の音楽を聴かなくなった人もいます。それで……何かを変えなきゃいけないかなと思いました。その時に自分の曲を作るなかでの習慣というか、そういうところも全部変えていこうと思いました。言葉の使い方とか。で、兵役が終わってからあるチャンスがあって、ドラマに出たんですね。それが第三段階になります。

―そうなんですね。

ドラマに出るだけじゃなくて主題歌も担当しました。その時に自分の考えていること、いろんな感情をそこに込めることができて、そこで第三段階に入って新しい層の人たちをどんどん取り入れることができたと思います。第一段階の時は台北アリーナ1日だけだったんです。それが第三段階になった時に3デイズできるようになったんです。ただ、それは自分にとってはひとつずつ階段を上ってきている感じです。


音楽を通して一番表現したいことは?

―第三段階ではドラマに出て主題歌を担当したことは、知名度をアップさせた以外に、表現者として何か影響を受けましたか?

それこそ演技をするということが、自分のステージにとってすごく大きな助けになった気がします。具体的にいうと、演技をする前は自分をどうやって表すのか、ライブでどう自分をどう見せるのかをなかなかうまくいかず、自分の気持ちを伝えられなかったんですね。ただ演技をしてからは逆にどういう風に見せたらみんながもっと自分が感じていることを受け入れてもらえるのか、それを表現することができるようになりました。

―表現というキーワードが出てきましたが、音楽を通して一番表現したいことは?

自分はすごく楽観的なんです。それこそ白米さえあればそれでいい、楽しく生きられるっていう人なんです。そんな風に、音楽を聴く人に生きる活力を与えられれば嬉しいと思っています。太陽が昇っているような、簡単に言うと毎日が満足できるように、そんな状態を音楽で与えられたらなと思っています。


Courtesy of Crowd Lu

―素敵ですね。そういえば……先ほど、自身の経歴を三段階に分けた際に、兵役の話がありましたが、兵役では具体的にどんなことをしていたんですか?

政府の機関で文章や手紙とかをやりとりする役割をしていました。

―その兵役はルーさんにどんな影響を与えましたか?

その時に所属していたのが社会福祉みたいな課で、そこでホームレスをケアする活動があるんです。例えば食べ物を持っていってあげたり、美容師を連れていって髪の毛を切ってあげたりとか、そういうことをしていました。その時に感じたのが、誰かを助ける、誰かの助けになることは、すごく簡単で、誰でも本当はできることで、それで人がすごく幸せになれるということです。

―それを歌でできたら理想ですよね

人が楽しくいられないのはどういうことかと言うと、欲しい物が得られない、もしくは貰ったもの、手に入れたものが本当は自分が一番ほしいものではない、それが一番ハッピーになれない状態だと思うんですね。だからこそ音楽を通して誰かの助けになったり、その音楽を届けた人たちが逆に自分のプラスになる、それがすごく大事なんです。自分の曲が誰のプラスになり、向こうもプラスになるのが一番大事かなと思います。

―それは本当に素敵な考え方だと思います。そして、アジアにおいて、音楽でそういうつながり方ができればいいなと個人的には思っているんですか、音楽と平和、アジアのことでルーさんは何か考えたりしますか?

自分が大好きなベーシストが「音楽とは愛の爆弾だ」と言ってたんです。その爆弾をバンって落としたその場所では、LOVEという感情が生まれて、みんなが同じ感情をシェアし、生命というのはすごく美しいものだと気付けるんです。ミュージシャンはみんなそういう思いを込めて音楽を奏でていると思うんですね。もちろん僕もそれにすごく賛同していて、いつもそういう風に思っています。

―ルーさんもそういう平和に関する歌を歌っているんですか?

平和に関して結構多く歌ってると思います。ただ、はっきりと平和に関して具体的に言葉にしているわけではなくて、どちらかというと言葉の裏に隠されてる意味を感じてもらったりとか、メロディーに関して言えば、コードでこれはすごい平和な感じだと感じてもらえるように作っています。

―ちなみに日本のファンは中国語の歌詞をわかっていると思いますか?

実は大勢のファンが中国語を学んだりしてますね。中にはちゃんと中国語を話せる人もいたりします。

―ルーさんの音楽を知ろうと勉強した人もいるわけですよね?

だと思います。中には、日本のファンのために歌詞だけじゃなくライブのトークも全部日本語に訳してくれるファンもいるんですよ。実際にその方に言われたんですけど、日本の人にも僕が何を言っているのか、とても大事なことを伝えてるのに伝わらないのはもったいないと。なぜかというとその方はうつ病だったらしくて、うつ病がクラウド・ルーの曲を聴いて治ってきたと言うんです。クラウドの言葉によって救われたから他の人にも知ってもらいたいと。それを聞いた時にすっごく嬉しくて。なぜかというと

自分が本当に伝えたいことはそういうことなんです。本当に純粋に楽しい気持ちとか無条件の愛、無条件の楽しさをみんなに伝えたかったんで。


2020年の展望

―さて12月11日(水)にTSUTAYA O-EASTでライブがありますが、これはワールドツアーの一環として行われるんですか?

そうです。

―日本公演ならではのスペシャルな企画はありますか?

4年連続で東京でのライブなので新しい一面をみなさんに見せられたらなと思っています。まぁ毎年トークはがんばっています(笑)。できれば日本語でみなさんにトークしたいです。毎回日本語は入れてはいるんですけど、今回は今まで以上にがんばりたいです。


Courtesy of Crowd Lu


Courtesy of Crowd Lu

―楽しみです。去年は日本のフェスに初出演したりと、日本での活動の幅も増えてきていて、日本での次の展開が気になりますが、来年、日本ではどんな活動を考えていますか?

来年は新しいアルバムを出す予定です。なので、来年はアルバムを引っさげて、東京だけじゃなくて日本の各地でライブができたらいいなと思っています。

―それも楽しみです。もっと先はどうですか?ここから先ルーさんはどんな夢を描いていますか?

今の時代、60歳は簡単すぎるので、できれば70歳、80歳まで現役でやりたいと思っています。

―確かにローリング・ストーンズは全員70歳を超えていますからね。80歳はいけると思います!

じゃあ80歳まで歌い続けます。逆にそれだけ長い時間をかけた時に、何かひとつ証明できると思うんです。ひとつのことを1年かけて話すのと、10年ずっと話し続けるのでは、説得力が違います。80歳まで歌い続ければ、みんなが「ああ、本当にそうだよね」って僕が歌っていことに賛同してくれると思うんです。

―そう思います。残念ながらそろそろお時間です。最後にローリングストーンの読者にメッセージをお願いします。

私はみんなと同じようにすごく音楽が大好きなただの人間で、何かうまくいかない時はいつも音楽に助けられてきました。なので、音楽がみなさんの普段の養分というか糧になって、それでみんなが楽しく生きていってもらえたらいいなと思います。そして、遠くからですが、みなさんのことを応援しています。



<INFORMATION>

Crowd Lu 2019World  Tour Tokyo

TSUTAYA O-EAST
2019年12月11日(水)
開場:18時 開演:19時
料金:1F スタンディング 7500円 2Fスタンディング  7500
主催・企画:TEAM EAR MUSIC/ワイズコネクション/クリエイティブマン
制作:クリエイティブマン
お問合せ:クリエイティブマン03-3499-6669
http://www.crowdlujapan.com/