未知なるAIには期待や懸念がついて回るが、うまく活用すれば人々の利便性が向上すると同時にアイデア次第でビジネスが生まれてくる。Microsoftの公式ブログMicrosoft The AI Blogは、AIを活用したブラジルのスタートアップ企業を紹介している。

"愛車"という馴染みある言葉があるようにクルマにはとりわけ愛着がある人が多い。それ相応の対価を支払って購入することはもちろん、駐車場の確保や車検への対応と手間・暇・コストもかかる。それでも、電車やバスとは異なり、自分のハンドルで自分の行きたい場所へと向かえる愛車を大切にしたいと思うのは自然なことだ。そんな愛車に"ザックリ"と傷が付いた時、諦めにも似た感覚を経験したことは無いだろうか。

ブラジルのスタートアップ企業「Car10」のスマホアプリは、スマホで損傷した写真を撮ることで事前に選ばれた自動車修理店から3から5個の見積もりを取得するサービスを提供しているが、新たにAI機能を提供するAzure Cognitive Services Custom Vision Serviceを活用することで、ユーザーに修理の大まかな費用感を伝える機能追加を発表。現状では30分から1時間はかかるこの時間が30秒で済むことになる。2014年に父と3人の兄弟でスタートしたCar10は、ブラジル全体で大小約4,000のカーショップと連携する規模と10万のユーザーを持つ。

  • ブラジルのスタートアップ「Car10」公式Webサイト

    ブラジルのスタートアップ「Car10」公式Webサイト

当初からAzure cloudと.NET frameworkでアプリを展開し、Power BIダッシュボードを使いこなしていたデータフリークである彼らは、"多くの企業がそうであるようにどのデータがどれくらい有用であるかを把握するのは難しい。しかし、ひとつはっきりとしていることは「車の修理の写真」がビジネスの勝者だった"と述べている。彼らはデータと機械学習モデルを使ってトレーニングし、修理の種類や費用を自動検出するサービスを構築、Microsoftからのスタートアップ投資を得ることにも成功している。"修理費用が気になるという"ユーザー需要を機械学習を用いたサービスで供給で対応することにより、ユーザーは諦めることなく、アプリを使って修理に向かうことで新たな旅に出かけられる。

公式ブログでは、Car10では誰ひとりとしてAI自体の専門知識を持っていないこと、Azure Cognitive Servicesは、正式なAIトレーニングを受けていない人でも使用できるように設計されていることを強調している。