「【シゴトを知ろう】林業 編」では、東京西部にある檜原村(ひのはらむら)で林業を営む会社「東京チェンソーズ」の社員・加藤真己さんに、仕事の内容ややりがいについて伺いました。

今回は番外編として、加藤さんが林業従事者として働き出してから驚いたことや、周囲からの反応、そして「東京チェンソーズ」の面白い取り組みのお話など、本編では語りきれなかったエピソードをお届けします。

■“東京で林業をしていること”に興味を持ってもらえるのがうれしい!

―― 林業を仕事にしていることについて、周囲からの反応はどうでしたか?

昔からの知人・友人からは、それほど驚かれもされず、「好きそうな仕事だね」と言われますよ。

初めて会う人からは、けっこう驚かれることが多いです。東京は都会のイメージが強いので、東京に山がある、たくさん木が生えている、林業を仕事にしている人がいる、というのが意外なようですね。ただ、驚きつつも興味を持ってくれる人が多いのでうれしいです。


―― 林業に従事されている人ならではの「職業病」のようなものがあれば教えてください。
 
草刈りの音が聞こえると、使っている刃はなにか、切れる刃を使っているか、音からついつい見極めたくなります。また、車で山道を走ると、山に植えられている樹種や管理状況が気になってチラチラ視線が行ってしまい……もちろん、安全運転を心がけていますよ(笑)。

あとは、お店のカウンターや机が立派な木製のものだと、樹種や年輪の入り方に注目してしまうこともそうですね。

■木を切るばかりではなく、道をつくるのも仕事のうち

―― 実際に働いてみて、働く前に抱いていたイメージとのギャップなどはありましたか?

森の中、木の下での仕事が多いのかと想像していましたが、夏は植栽した苗木回りの草刈りが主な仕事になります。植栽して数年の苗木は人間の背丈よりも低く、日陰になるものがないため、ほとんど炎天下での作業です(笑)。また、木を切ってばかりいるのではなく、歩道づくりや作業道づくりなど、土を掘る作業も多いというのが意外でした。

―― 林業の仕事をしていくうちに、こんな部分が成長できた、ということは何かありますか?

林業とひと口にいっても、本当に多種多様な仕事や作業があり、目的によってやり方やアプローチの仕方は大きく変わります。初めのうちはただ目の前にある作業をこなしていった部分もありますが、今では、自分がどんな木を育てたいのか、山を作りたいのか、仕事をしたいのか考え、それに沿った技術や知識を身に付け、仕事を作っていかなければと意識するようになりました。 

■現在、木工の工房や木製おもちゃの美術館づくりを進行中!

―― 東京の山の良いところを教えてください。

やはり、都心からのアクセスが抜群に良いということですね。都心部に住んでいる人が突然「今日は山に行きたい!」と思い立っても、気軽に足を運べます。

また、檜原村の山は切り立っていて、数多くの滝が存在しますし、山あいには「渓谷」という言葉が似合う豊富な水量の川が流れていて、東京とは思えない景色を味わうことができるんです。都心部から電車で2時間ちょっとなので、興味があればぜひ足を運んでもらえたらうれしいです。


―― 加藤さんが勤務されている会社「東京チェンソーズ」が、最近力を注いでいる取り組みなどがあれば教えてください。

これまで弊社では、森林整備を主な事業として取り組んできましたが、最近では檜原村と協力して、村に木工の工房や木のおもちゃの美術館をつくり、木材製品の製作から製品の展示・体験・販売まで行えるようにしようと準備を進めています。

こうした取り組みで、檜原村でつくられた木材製品や木のおもちゃが多くの人の手に渡ることによって、檜原村や林業、そして自然環境に興味を持ってもらいたい。檜原村に足を運んでもらいたい。また、檜原村の中で働ける場をさらにつくり、活力ある地域づくりの一助になりたい。そんなふうに考えています。 


―― 最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。

1年目の下刈り(草刈り)作業のシーズン終盤、先輩とほぼ同じスピードで草を刈れた日がありました。クオリティや技術面ではまだまだ未熟でしたが、やっといち作業員として土俵に立てたかなと成長を感じられました。

その頃には、入社当初よりもずっと余裕を持って作業できるようになり、仕事の奥深さも分かってきた時期だったので、あらためて面白い仕事だなと実感できました。


檜原村の木々を生かす工房や美術館をつくろうと準備されている加藤さんが働く東京チェンソーズ。林業のお仕事としては意外なイメージがありますが、こうした取り組みで、檜原村を元気にしようという熱い思いが伝わってくるインタビューとなりました。完成が待ち遠しいですね!

森林が広がる日本という国。その森林を生かして地域活性化を図ることが、これからの林業のスタンダードな形になっていくのかもしれません。


【profile】株式会社東京チェンソーズ 林業事業部 加藤真己
https://tokyo-chainsaws.jp/