ミュージシャンたちが愛した、歴史に残るギターの名器20選

「ルシール」から「トリガー」まで、有名ミュージシャンが愛したギターの名器20本をピックアップ。

ジミ・ヘンドリックスがモンタレー・ポップ・フェスティバルのステージ上でストラトキャスターに火をつけたのは、一種の愛の行為だったという。「人は自分の愛するものを捧げる。俺の場合はそれがギターだったんだ」とヘンドリックスは説明した。世界的な名ギタリストたちには、それぞれ象徴的な愛器がある。スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、最愛のギターを「最初の妻(First Wife)」とまで呼んだ。以下に、ミュージシャンの愛した永遠の名器20本を紹介しよう。

1. エリック・クラプトン「ブラッキー(Blackie)」
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エリック・クラプトンの愛器「ブラッキー」は、彼が1970年代にナッシュヴィルのショップで購入した1950年代のフェンダー・ストラトキャスター3本から、パーツを寄せ集めて組み上げたギター。1980年代半ばに役目を終えたブラッキーは、その後2004年に彼の設立したクロスローズ・センター(ドラッグとアルコール依存者のリハビリ施設)の運営支援のためオークションにかけられ、当時最高額の95万9500ドルで落札された。

2. ニール・ヤング「オールド・ブラック(Old Black)」
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ニール・ヤングがレコーディングで使用したエレクトリックギターは、ほとんどこの「オールド・ブラック」だった。1950年代のビンテージ・ギブソン・レス・ポール・ゴールドトップで、1969年に入手後は改造が繰り返され、長年の酷使に耐えてきた。

3. ブルース・スプリングスティーン「フェンダー・エスクワイヤー(Fender Esquire)」
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Photo by Michael Putland/Getty Images
1975年の名盤『Born to Run』のジャケットでブルース・スプリングスティーンの肩から吊るされている、ナチュラルウッドのギター。テレキャスターと称されることもあるが、実際は1950年代のフェンダー・エスクワイヤーに大幅な改造を施したギター。

4. ウィリー・ネルソン「トリガー(Trigger)」
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Gary Miller/FilmMagic 40年以上に渡りウィリー・ネルソンは、ナイロン弦のアコースティックギターを愛用してきた。彼は愛器のマーティンN-20に、俳優ロイ・ロジャーズの馬の名前から「トリガー」と名付けた。ピックガード無しのクラシックギターで、長年の使用によりボディに大きな穴が開いている。

5. プリンス「クラウド(Cloud)」
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Michael Ochs Archives/Getty Images
映画『Purple Rain』に登場して有名になったセクシーなボディラインの「クラウド」は、元々ミネアポリスのギター職人がデザインし、後にシェクターが複製したカスタムギター。

6. ジミー・ペイジ「ダブルネック・ギブソンEDS-1275(double-neck Gibson EDS-1275)」
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Larry Hulst/Michael Ochs Archives/Getty Images
レッド・ツェッペリンによるマルチ構成の楽曲『Stairway to Heaven』を、正真正銘の叙事詩に仕上げるのに貢献した印象的なシェイプのギター。12弦(上側)と6弦(下側)のダブルネックのギブソンで、その後多くの模倣品が生まれた。

7. ジョージ・ハリスン「リッケンバッカー12弦(Rickenbacker 12-string)」
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ザ・ビートルズのギター・グルはグレッチのギターも愛用していたが、美しいサウンドの1963年製12弦リッケンバッカーの方が有名だろう。バンド初の北米ツアーの際にリッケンバッカーのオーナーからプレゼントされたギターで、ハリスンが一目惚れしたという。

8. ポール・マッカートニー「ヘフナー”バイオリン”ベース(Hofner Violin Bass)」
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Photo by David Redfern/Redferns
ザ・ビートルズのベーシストはドイツのハンブルクでの修行時代に、その後彼のトレードマークとなるバイオリン型のベースギターに出会った。左右対称のシェイプは左利きのマッカートニーがプレイしても「間抜けに見えない」ことからこのベースを選んだ、と本人は語っている。

9. B.B.キング「ルシール(Lucille)」
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1949年、アーカンソー州のダンスホールで発生した火事から救い出された30ドルのギブソン。ブルーズマンのB.B.キングは後に、火事の原因がルシールという女性を巡る2人の男の喧嘩が発端だったことを知る。以降キングは、自分の使用するギブソンやテレキャスターをルシールと呼ぶようになった。1980年にギブソンは、ホロウボディとソリッドボディを掛け合わせたES-355のバリエーションとして、B.B.キングのシグネチャーモデル「Lucille」をリリースした。

10. レス・ポール「ギブソン・レスポール(Gibson Les Paul)」
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Richard E. Aaron/Redferns
1936年からエレクトリックギターを製造してきたギブソンが、サウンドの革命家レス・ポールとタッグを組んで作り上げたクラシックモデル。長年に渡りロックンロールに欠かせないギターだった。ファットなトーンのソリッドボディギターで、弦とエレクトロニクスを木製のセンターピースに収めたポール考案の「ログ(log)」をモデルにしている。

11. スティーヴィー・レイ・ヴォーン「フェンダー・ストラトキャスター(Fender Stratocaster)」
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今は亡き名ギタリストは、自分のお気に入りのギターを「ナンバーワン」と呼んだ。1963年製フェンダー・ストラトのボディに1962年製ネックを組み合わせ、ヴォーンの「最初の妻(First Wife)」としても知られる。長年ステージで酷使された傷跡が生々しい。

12. エディ・ヴァン・ヘイレン「フランケンストラト(Frankenstrat)」
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Photo by Larry Marano/Getty Images
ギブソンのサウンドとフェンダーの外観を併せ持つ、ヴァン・ヘイレンのギタリストを象徴するギター。赤いボディに白黒のストライプをクロスさせたポロック的な塗装が印象的。

13. ジェリー・ガルシア「タイガー(Tiger)」
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Photo by Michael Putland/Getty Images
グレイトフル・デッドの今は亡きバンドリーダーは、「タイガー」を1979年から約10年間に渡って愛用した。カリフォルニア州ソノマ郡のギター職人ダグ・アーウィンの手による、木材を何層にも重ねた「ヒッピー・サンドイッチ」構造の重さ6kgを超えるヘヴィなギター。タイガーの後継となる「ローズバッド」もアーウィン作だったが、1995年7月に修理に出されていたため、ガルシアが生前最後のコンサートでプレイしたのはタイガーだった。

14. ロニー・マック「フライングV(Flying V)」
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Photo by Clayton Call/Redferns
ソロ・ロック・ギタリストのパイオニアであるマックがリリースしたインストゥルメンタル・ヒットアルバム『Wham!』から、トレモロバーの別称である「ワミーバー」が生まれたともされている。1958年、彼はリリースされたばかりのギブソン・フライングVを入手し、以後彼のトレードマークとなった。ネイティヴ・アメリカンの血を引く彼は、ギターの矢のようなシェイプが気に入ったと語っている。

15. ピート・タウンゼント「ギブソン・レスポール#5(#5 Gibson Les Paul)」
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ザ・フーのギタリストは、改造したレスポールをステージに何本も用意し、曲に合わせたチューニングで1、2、3…とナンバリングしていた。中でも映画『The Kids Are Alright』に登場するワインレッドの#5は、最も有名なギターだろう。

16. ジミ・ヘンドリックス「モンタレー・ストラトキャスター(Monterey Stratocaster)」
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Photo by Paul Ryan/Michael Ochs Archives/Getty Images
ギターの神がモンタレー・ポップ・フェスティバルにおける有名なパフォーマンスで使用し、短命に終わったカラフルなデコレーションのストラト。ヘンドリックスは、有名なショーの最中にギターに火をつけた。フラワーパワー・デザインのレプリカは今なお人気が高く、ジョン・メイヤーも使用している。

17. ランディ・ローズ「ジャクソン・ランディ・ローズ(Jackson Randy Rhoads)」
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Photo by Paul Natkin/WireImage
今は亡きメタル・ギタリストが特注した通称「コンコルド」。ジャクソンの名前を広めるきっかけとなったユニークなシェイプのエレクトリックギターで、メタリカのカーク・ハメットら愛用者は多い。

18. キース・リチャーズ「ミカウバー(Micawber)」
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Photo by Christopher Simon Sykes/Hulton Archive/Getty Images
ザ・ローリング・ストーンズでおそらく最も知られたギターだろう。1950年代初期のバタースコッチカラーのフェンダー・テレキャスターで、6弦を外してオープンGにチューニングされている。愛称は、ディケンズ著『デイヴィッド・コパフィールド』の登場人物から取られている。

19. ボ・ディドリー「シガー・ボックス(Cigar Box)」
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故ボ・ディドリーは伝統的なシガー・ボックスを使ったギターを自作し、その長方形のギターは彼を象徴する楽器となった。グレッチがディドリーのギターを手がける以前、彼は20台以上のギターを自作していた。そのうちの1台は、出世のきっかけとなった番組『American Bandstand』出演後に司会者のディック・クラークへ贈られたのは有名な話だ。

20. カート・コバーン「ジャグ・スタング(Jag-Stang)」
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ニルヴァーナのフロントマンだったカート・コバーンが生前語ったところによると、彼はフェンダー・ジャガーとフェンダー・ムスタングをポラロイドで撮影し、写真を切り貼りして1本のギターのイメージを作ったという。フェンダーはコバーンの死後に量産を開始した。またコバーンの所有していたパウダーブルーのプロトタイプは、妻のコートニー・ラヴからR.E.M.のピーター・バックへと渡っている。