小野塚勇人

名取裕子が主演を務める『特命刑事 カクホの女2』(テレビ東京系、毎週金曜20:00~)が現在、放送中。2018年に放送されたドラマの続編で、嘱託刑事・北条百合子(名取裕子)と、窓際副署長・三浦亜矢(麻生祐未)が、スピーディーに事件を解決していく痛快サスペンスエンターテインメントです。

同作で、亜矢たちにコキ使われる不憫な刑事・黒木達也を演じているのが、劇団EXILE・小野塚勇人さん。念願の刑事役に挑んだ撮影を振り返り、役への思い入れや、自身の成長について語っていただきました。

――人気作に新加入、さらに共演は名取さん、麻生さんをはじめ大御所キャストばかりですが、出演が決まった時はどのような心境でしたか?

プレッシャーというよりは、胸を借りるというか、僕が何をしてもすべてを受け入れてもらえるだろうなっていう安心感がありました。あまりビビッて本来の自分を発揮できないのが一番もったいないと思いましたし、逆に思い切って自分が持っているものを名取さん、麻生さん達にぶつけていこうという気持ちで臨みました。

――もともと重圧をパワーに変えることができるタイプ?

これまでに何度か大きなプレッシャーがかかるような場面もありましたし、同じ事務所(LDH)のアーティストと一緒に東京ドームのステージに立つ経験もしました。演技とは違いますけど、気持ちの図太さみたいなものが手に入ったように思いますね。そういう経験も含めて、プレッシャーは嫌いじゃないし、自分が次のステップを踏むためのひとつのきっかけになっているような気がします。

――念願の刑事役とのことでしたが、なぜ、刑事役をやってみたかったのでしょう?

自分の中に、役者といったら“刑事・医者・アウトロー・ヒーロー”みたいなイメージがあったんです。もともとこの世界に入ったきっかけも、「すごくフランス映画が好きで」とか「演劇に詳しくて」ということではなかったので、この4つの役をやったら一通りやっただろうと思えるかなと(笑)。ヒーロー、アウトロー、そして今回刑事役ができたので、あとは医者ですね。でも、医者の役は来なそうな気がするな……いや、黒木っぽい医者みたいなパターンもありますしね!

――そうですよ! 小野塚さんが演じる医者、楽しみにしています。他にやってみたい役どころはありますか?

(即答で)強盗犯です。今『ペーパー・ハウス』という海外ドラマを見ているんですけど、すごくおもしろくて、僕がやりたいアクションシーンもあるんですよ。年を取るほど辛くなるものなので、今、一番体が動ける状態で激しいアクションをやってみたいなと思っています。でも、やりたい役は本当にいっぱいありますね。コメディとかもそうですし。

――今回の黒木は、ちょっとコミカルな役どころではありますよね。

そうなんです。自分が好きな要素が詰まっている役だったので、現場が楽しかったです。監督に笑ってもらえたり、「よかったよ」と言われたりすると嬉しいですしね。ここから、ドラマは最終話に向けてバラバラだった事件の点と点が線になっていきます。ラストまでの展開の速さと、すべてが結びつく瞬間、あとは黒木の活躍も楽しみに見ていただけたらなと思います!

――現場で印象的だったエピソードは?

スタッフさんの年齢が近いこともあって、和気藹々としていました。川に飛び込むシーンの前に「そのネクタイ、まだ使うんで濡らさないでください」と言われて、「えっ!? これから川に飛び込むんですけど」みたいな(笑)。あとは、中華街で撮影できたのが楽しかったです。大東(駿介)さんがみんなに“すき焼き豚まん”をごちそうしてくださって。お土産も買っちゃいましたし、普通に中華街を散策していました(笑)。

――撮影の合間には、どのようなメンバーでお話を?

強行犯係はすごく仲が良くて、いつもみんなでおしゃべりしていました。(加藤)雅也さんともよくお話させていただきました。ものすごく物知りな方なので、聞いていてすごく楽しいんです。ひとつ質問すると、自分が想像する2、3倍くらいの内容量を返してくれる。それなのに方向音痴で、めちゃくちゃかわいいっていう。そのギャップはずるいですよね、「母性もくすぐるのかい!」って(笑)。

――(笑)。黒木にも、愛されキャラという一面があると思います。演じる上で意識したことは?

自分が一番、黒木を好きになることが大事だと思っていました。そして、黒木が本気で怒っている姿を見て「本当に不憫なやつ……でも、おもしろい」と思ってもらえたら最高だなと。そこは狙い通りにできたかなと思っています。

――ご自身と重なる部分はありますか?

重なる部分は多いですね、脇が甘いところとか(笑)。僕も調子に乗るというか、考えが甘い部分があったりするので、そこは直したほうがいいなと思っています。でも、自分で自分の性格を見放しちゃったら終わりだとも思うんですよね……って、こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないけど(笑)。

――役作りの仕方についても教えてください。

僕は憑依型ではないので、役と自分の似ているところを見つけて、そこからどうしようかと考えていきます。自分と似ているところを肥大化させて、役を作っていくというか。僕はカメレオン俳優には絶対になれない。ただ、“小野塚勇人が演じるならどうなるだろう”と思ってもらえる役者にはなりたくて。自分が得意な部分はどこだろうと考えて、その要素を役柄に足していくようなイメージですね。

――役柄を引きずることはない?

自分自身がわからなくなるほど引きずるっていうことは一切ないです。もちろん、アウトローな役をやる時には、毎日のようにそういう映画を見たり、考えたりするので、自然と顔つきは変わっていきます。たとえば『HiGH&LOW』では反社会的勢力の役を演じていたときは、現場での緊張感もあって、顔がつっぱっていました。撮影が終わると「顔が変わったね」とよく言われるので、そういう変化はあるかもしれないですね。

――最後に、『特命刑事 カクホの女2』を通じて成長できたところを聞かせてください。

学んだのは、現場での居方や配慮の仕方。同じ現場に立つことで、オンエアを見るだけではわからない、この世界でずっと活躍し続けられる理由のようなものがたくさん見えました。名取さんと麻生さんの「主演が引っ張っていく」というより、締めるところは締めつつ「みんなで一緒に頑張りましょう」というスタイルに感銘を受けましたし、もし自分が主演をはる時には、絶対こっちの居方だなって。こんなに優しくて頼もしい先輩方のもとでやれたことが、幸せだなと思っています。

(写真・文:勝浦阿津希)