オリックスグループは11月19日、産休・育休中の女性社員を対象に「ORIX Group Mom(オリックス・グループ・マム)」セミナーを実施した。ワーキングマザーを部下に持つマネージャーや、先輩ワーキングマザーによるパネルディスカッションなどを通して、女性社員の復職支援が目的だ。当日の内容を紹介したい。

  • 産休・育休中の女性社員を対象に開催された「ORIX Group Mom(オリックス・グループ・マム)」(写真:マイナビニュース)

    産休・育休中の女性社員を対象に開催された「ORIX Group Mom(オリックス・グループ・マム)」

オリックスによる社員の意識改革活動

オリックスは男女雇用機会均等法施行前から、女性を積極的に採用するなどの取り組みで知られ、オリックスグループ主要10社で、ワーキングマザーの割合は、女性正社員全体の33.4%となる。これまでにも「夫婦参加型育児セミナー」を実施するなどして、当事者女性だけでなく社員全体の意識改革を促している。

セミナーの主要なテーマは、「時短勤務」「残業」「周囲とのコミュニケーション」などで、冒頭の「会社はみなさんの復帰を歓迎しています」という人事担当者のコメントから、パネルディスカッションが開始。

まず、ワーキングマザーを部下に持つ、オリックスグループ各社からマネージャー3名(男性2人、女性1人)が登壇し、復帰する女性について、現場から望むことなどについて意見を述べた。

その内容は、「周囲のサポートを当然と思わず、助け合いの気持ちを持ってほしい」、「急に休むことになったら、『○○日後ぐらいだったら出社できそうです』と連絡をもらえると現場も安心する」など。これから復帰を考える女性にとって、すぐに役立ちそうな情報である。

  • 参加者からは復職に関する疑問や働き方に関する質問が出た

    参加者からは復職に関する疑問や働き方に関する質問が出た

子育ても働き続けることも大切

次は、先輩ワーキングマザーによるグループディスカッション。「子育ても大事だが、社会人として働き続けるのも同等に大切なこと意識した」、「病気に備え、民間病児保育シッターは複数契約した」など、実体験に基づく有用な情報が共有された。

印象的だったのが、「残業したいのにできないときは歯がゆい思いをするが、そういう時は意識を切り替えている。子どものお迎えに行きながら翌日のスムーズな段取りを考えたり、途中の案件は『見える化』して手掛かりを残したりし、スムーズに引き継げるようにする」という意見。

これはワーキングマザーだけでなく、会社という「組織」で働く誰にでも役立つリスク管理であろう。

  • 先輩ワーキングマザーによるディスカッション

    先輩ワーキングマザーによるディスカッション

以上のように、ワーキングマザーを迎える上司の意見、現役のワーキングマザーなど、まさに「現場」からの情報が共有され、参加者にとっては気付きが多いセミナーだったようだ。

復職しても自分のキャリアを狭めない

セミナー後、「復職に関して不安に感じていたり、モヤモヤしたりしていたことはあるか」、「セミナー参加前と参加後で自身のキャリアに関する考えに変化はあるか」という2点について、参加者にインタビューしたところ、以下のようなコメントが寄せられた。

大栗美沙さん 「育児が未経験なので不安は多い。セミナーでは、『子育ては権利ではない』という言葉が印象に残った。休職前の業務は海外とのやり取りが多く、時差の問題があるので、違う部署に復職したいと考えている」。

山崎ちひろさん 「保育園に預けることで子どもと一緒にいる時間が短くなることへの不安があったが、先輩方の話を聞き解消された。マネージャーによる『自分の(キャリアにおける)チャレンジを狭めないでほしい』という言葉が心に響いた。出産前と同じ働き方は難しいかもしれないが、仕事の幅は広げたいと思った」。

深谷ひとみさん 「社内にワーキングマザーが多いので、復職が当たり前と思っている。なんとなくずっと働くとは思ってたが、キャリアを大事にする意識はそれほど強くなかった。今回のセミナーに参加したことで、キャリアを意識し、前向きに頑張ろうと思った」。


産休・育休によるキャリア形成の問題は、女性社員だけでなく企業にとっても解決すべき課題だろう。最終的には社員一人ひとりが考えて、決断すべきことだが、企業側にも多様な働き方をサポートする制度、職場環境が求められる。本記事が、参考事例の一つとなれば良いだろう。

筆者プロフィール: 木村悦子

出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」創業。紙・Webの企画・編集・執筆を行う。著書に『入りにくいけど素敵な店』『似ている動物「見分け方」事典』など。関心領域は、食文化・動物学・占いなど。