マツダのクリーンディーゼルエンジン(CDE)搭載車が着実に売れている。2012年にSUV「CX-5」で登場した同エンジンだが、それから7年半で搭載車の国内累計販売台数が50万台を突破した。なぜ、日本でCDE搭載車の数が増えているのか。マツダの見解を聞いてきた。

  • マツダ「CX-30」

    クリーンディーゼルエンジンを搭載したマツダ「CX-30」

台数増加に2つの理由

マツダのCDE「SKYACTIV-D」を日本で初めて搭載したのは、2012年発売のCX-5だった。現在、マツダは排気量の異なる3種類のCDE(1.5L、1.8L、2.2L)を展開しており、「ロードスター」以外の全ての車両(計7車種)に同エンジンを搭載するモデルを設定している。

マツダによると、CX-5が登場した2012年(暦年、以下同じ)に日本国内で売れたCDE搭載車は合計4万201台で、そのうち、マツダ車は2万8,875台だった。その後、クリーンディーゼルを搭載するクルマの種類が増えたこともあり、日本のCDE搭載車市場は拡大を続けている。

2015年に大ニュースとなったフォルクスワーゲンによる「ディーゼルゲート」(排ガスの測定に関する不正が発覚したこと)の影響により、2016年および2017年の販売台数は低調に推移したものの、その後は再び右肩上がりに市場が拡大。2018年には日本で計17万6,721台のCDE搭載車が売れていて、そのうちマツダ車は8万671台だったという。2012年~2019年9月の累計は国内市場全体で96万1,683台、マツダ車は50万558台。つまり、同期間で売れたCDE搭載車のうち、半数以上がマツダ車だったのだ。

  • マツダ「SKYACTIV-D」

    「SKYACTIV-D」の2.2L

なぜ、日本でCDE搭載車の販売台数が伸びているのか。マツダ 国内営業本部の高場武一郎さんは1つ目の理由として、「シンプルに、種類が増えている」ことを挙げる。マツダの調べによると、CX-5が登場した2012年の終わりに日本で購入できたCDE搭載車の数(型式数)は19種類であったのに対し、2019年11月時点では141種類まで選択肢が増えている。

2つ目の理由として高場さんは、「リピーターが増加している」点を指摘する。つまり、CDEに乗った人がCDEを気に入り、次もCDEを選ぶ傾向にあるというのだ。

  • マツダ「MAZDA3」

    もちろん、「MAZDA3」でもCDE搭載車を選べる

実際、マツダのCDEに乗っていた人が次のクルマに乗り換える際、マツダ車を選ぶ割合は80%であり、そのうち86%の人は再びCDEのクルマを購入するという。リピーターの増加は数字にはっきりと表れている。SKYACTIV-Dの「再購入台数」は、2012年が354台、2014年が533台、2016年が3,306台ときて、2018年には1万2,589台に急増しているのだ。出始めの頃にSKYACTIV-D搭載車を買った人が、リピーターになっている様子が見て取れる。

高場さんによれば、SKYACTIV-Dのセールスポイントは「圧倒的なトルクによる高速道路や登坂での余力感」「優れた燃費と経済性」「ディーゼルエンジンとは思えないような静粛性と伸び感」だという。このあたりが気に入った顧客によるリピート購入が、マツダのCDE搭載車が着実に売れている理由のようだ。マツダ車だけでなく、CDE搭載車全体の国内販売が増えている要因も、各社でリピーターが増えているためなのかもしれない。