BABYMETAL、イギリスからの盟友BMTHと繰り広げた「奇跡の共演」

BABYMETALの日本公演『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN』が11月16日、17日にさいたまスーパーアリーナ、11月20日、21日に大阪城ホールにて開催された。

これは10月にリリースされた待望のニューアルバム『METAL GALAXY』を携え、今年9月からスタートさせたワールドツアー『METAL GALAXY WORLD TOUR』の一環で行われたもの。スペシャルゲストとしてイギリスからの盟友ブリング・を迎えた、まさに今年最高といえるカップリングライブがここ日本で実現することとなった。本稿では11月16日公演の模様をお伝えする。

満員のさいたまスーパーアリーナでトップバッターを飾ったのは、Xperia 5 by SonyのTVCMに出演し現在日本でも知名度が高まりつつあるブリング・ミー・ザ・ホライズン(以下、BMTH)。今年8月の『SUMMER SONIC 2019』から3ヶ月という短いスパンでの再来日となるが、サマソニ以降を機に「BMTHのライブはヤバイ」という噂が広まったこともあり、また同時期に実現したBABYMETALとのインタビューの影響もあり、オーディエンスの受け入れ態勢は最良の状態だったのではないだろうか。

爆音で流れるSEに導かれてステージに登場したオリヴァー・サイクス(Vo)の佇まいは、まさにカリスマという表現がぴったり。バンドは来日直前にリリースしたばかりの新曲「Ludens」からライブをスタートさせる。ダンサブルな要素とヘヴィさが混在するこの新曲に、観客は最初こそ面を食らったようだったが、続く「MANTRA」では場内の熱気も一気にヒートアップ。映像演出や女性ダンサーを交えたエンタテインメント性の高いステージングは、まさにワールドクラスのバンドならではといったゴージャスなもので、序盤2曲だけでも彼らがなぜトップに君臨するのかが十分に理解できた。またこのパフォーマンスに対し、オーディエンス側もまだまだ絶唱には程遠かったもののサビではシンガロングが発生する場面も見受けられ、確実にBMTHがここ日本でも浸透し始めたことが伺えた。



この日のライブは最新アルバム『amo』と2015年の大ヒット作『THATS THE SPIRIT』、現在のスタイルを築く礎となった『SEMPITERNAL』(2013年)からの楽曲を軸に展開。もはや初期のようなデスコアの側面は、時折オリヴァーが轟かせるスクリームやグロウルにしか見出すことはできないが、それでも彼らがHR/HMやポストハードコア/メタルコアの延長線上から進化したバンドであることは今回のステージで存分に把握できただろうし、それこそ「Shadow Moses」でリー・マリア(Gt)が刻むヘヴィなギターリフ、マット・キーン(Ba)&マット・ニコルス(Dr)が繰り出す重々しいリズム、ジョーダン・フィッシュ(Key)が繰り出すムーディーなサウンドエフェクトからもBMTHというバンドの出自はご理解いただけたはずだ。





ライブのクライマックスとなったのは、ライブ中盤に披露された「Happy Song」だろう。この曲でのシンガロングはこの日一番だったし、もはやお約束となった”ウォール・オブ・デス”もBABYMETALのファンにとってはご褒美以外の何ものでもない。オリヴァーはフロアに降りて観客とコミュニケーションを図ったり、「Fuckin モッシュピットを見せてくれ!  カオスを見せてくれ!」と煽ったりして場の熱量を沸点まで高め、場内は文字通りのカオスを見せることとなった。



その後も「Can You Feel My Heart」や「medicine」といったムーディーな曲や、アンセミックな「Drown」を立て続けに披露し、ラストの「Throne」ではオリヴァーが観客をしゃがませてから一斉にジャンプさせる一幕も。45分と決して長くはない演奏時間だったものの、BABYMETALのファンにアピールするには十分すぎるほど最高のパフォーマンスだった。


ブリング・ミー・ザ・ホライズン(Photo by Masanori Naruse)


ブリング・ミー・ザ・ホライズン(Photo by Masanori Naruse)

BRING ME THE HORIZON セットリスト
01. Ludens
02. MANTRA
03. wonderfull life (feat. Dani Filth)
04. Shadow Moses
05. Happy Song
06. Can You Feel My Heart
07. medicine
08. Drown
09. Throne


”音と映像を全身で浴びる”ようなBABYMETALのステージ

短いインターバルを挟んで、ついにスタートした『METAL GALAXY』リリース後初のBABYMETAL日本公演。アルバム同様にインストゥルメンタルナンバー「FUTURE METAL」から始まると、ステージ後方一面に用意された巨大スクリーンに映されたCGによる映像演出と相まって、どこか機械的でひんやりとした空気が伝わってくる。が、会場の空気はそれとは相反しどんどん熱量が高まっていくことが感じられ、ライブに対する期待がさらに大きくなることに。そしてSU-METAL(Vocal & Dance)、MOAMETAL(Scream & Dance)にダンサー1名を加えた3人がステージに姿を表すと、そのままアルバム通り「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」へとなだれ込む。


Photo by Taku Fujii





上昇するステージセット上で3人は息の合ったダンスを見せつつ、SU-METALはこれでもかといわんばかりの伸びやかな歌声で観客を魅了。その状態はまさにベスト中のベストと言えるもので、正直これまで観たBABYMETALのライブの中でもトップクラスのものだったと断言できるほどだ。3曲目には早くも「ギミチョコ!!」が登場し、場内に絶叫に近い歓声が響き渡る。この曲で特に感じたことだが、今回の日本公演における映像演出、特に巨大なスクリーンにメンバーの表情をこれでもか!と映す演出は”美の暴力”と言わんばかりの強烈さがあり、以前のBABYMETALにはなかった感情を覚えることとなった。また、この日は神バンドの演奏を含む音響バランスも良好で、まさに”音と映像を全身で浴びる”ような感覚に陥ったことも付け加えておく。


Photo by Taku Fujii

以降、「Elevator Girl」や「Shanti Shanti Shanti」など最新アルバム『METAL GALAXY』からの楽曲が続くが、特に「Shanti Shanti Shanti」のキラーチューンぶりには筆者もニヤリとしてしまった。今年6月に横浜アリーナでの『BABYMETAL AWAKENS -THE SUN ALSO RISES-』レポートで、筆者は初披露された「Shanti Shanti Shanti」に対し「ザクザクと刻まれるギターリフと力強いビート、そこに重なる妖艶なメロディ&ダンスはBABYMETALにとって新境地といえるもので、ライブにおける大きなフックになったことは間違いない。こちらも今後のライブで重要な役割を果たす1曲になるはずだ」と記したが、この予想が間違いでなかったことをあれから4カ月経って再びライブ会場で実感することとなった。






Photo by Taku Fujii

レーザー演出を多用した幻想的な「Starlight」、MOAMETALが見せる大人の表情が印象に残ったモダンメタル「Kagerou」、新たなアンセムと化したサークルモッシュ必須の「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」を経て、おなじみの人気ナンバー「メギツネ」のイントロが始まると場内はより一層大きな歓声に包まれる。パフォーマンスはいつも通り、いや、ここ最近の中でも最高の部類に入るものだったが、巨大スクリーンに映されたSU-METALやMOAMETALの笑顔を目にして、あの場にいた者なら、きっとこの感情を理解してもらえるのではないだろうか。


Photo by Taku Fujii


Photo by Taku Fujii







その後も「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」や「KARATE」と新旧の王道ナンバーに続いては、いよいよ「Road of Resistance」の時間へ。SU-METALの「かかってこい!」という煽りには逞しさすら感じられ、それを前にしたオーディエンスも多数のサークルピットを作り応えていく。曲終盤ではこの日一番のシンガロングも沸き起こり、思わず笑みをこぼすBABYMETALの面々。彼女たちも、ワールドツアーが始まってからここ日本でのライブを待ちわびていたのかもしれない。


ライブを締めくくったBABYMETALの「今」

最高のクライマックスを迎えたあとは、ニューアルバム『METAL GALAXY』のエンディングを飾る2曲……「Shine」と「Arkadia」のお披露目である。壮大でドラマチックな展開を持つ前者と、「これぞBABYMETAL!」と声高に叫びたくなる王道中の王道メタルな後者。シームレスに演奏された2曲はまるで組曲のようでもあり、BABYMETALの”今”を伝えるうえでも重要な楽曲群と言える。そんな新曲を前に、オーディエンスは時に温かい声援を送り、時に全身全霊を注いだアクションでBABYMETALの熱演に応えていく。そんな最高の相乗効果が生まれた至福の時間は、あっという間にエンディングを迎えた。






Photo by Taku Fujii

筆者は2011年からBABYMETALのライブを見守ってきたが、正直ここまで過去の最高レベルを更新するような公演に、2019年になってから出会えるとは想像もしていなかった。それほど今のBABYMETALは脂が乗った状態であると同時に、再び世界をまたにかけて飛び回ることでスケールアップしていると捉えることもできる。ぶっちゃけ、これまでに観たBABYMETALのパフォーマンスの中でも5本指に入るのではないか……そう公言したくなるほど、レベルの高さと極上のハッピーさがダイレクトに伝わる一夜だった。もちろん、そこに到達した理由のひとつにはBMTHと共演できたことも大きい。つまり、今回日本で実現したカップリングライブは、2019年を代表する”奇跡の一夜”だったと言い換えることもできるはずだ。

2020年1月25日、26日には幕張メッセでのワンマンライブ『METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW / LEGEND - METAL GALAXY』も控えている。次はBMTHの姿はそこにはないものの、何の心配もしていない。この11月に見せた彼女たちをさらに上回る、BABYMETAL史上最高のステージを必ず見せてくれるはずだから。

BABYMETAL セットリスト
01. FUTURE METAL
02. DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)
03. ギミチョコ!!
04. Elevator Girl
05. Shanti Shanti Shanti
06. Starlight
07. Kagerou
08. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
09. メギツネ
10. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
11. KARATE
12. Road of Resistance
13. Shine
14. Arkadia