“チル”って幸せ? 犬山紙子×原田曜平と考える「令和時代の幸福論」
コラムニストの犬山紙子(月曜&火曜担当)と、アプリクリエイターの関口舞(水曜&木曜担当)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送番組「ホメラニアン」。11月18日(月)の「ホメラニアン ホッとフォーラム Supported by 日本財団」のコーナーでは「さとり世代」「マイルドヤンキー」の名付け親としても知られる、マーケティングアナリストの原田曜平さんをゲストにお迎えしました。


(左から)原田曜平さん、犬山紙子



◆日本はポジティブな要素が少ない
犬山:本日の議題は「令和時代の幸福論」。経済的、物質的にも豊かになった令和の今も、失業や老後の年金不足、政治経済、自分の働き方など、漠然とした不安を抱く人も多く、不安は尽きません。不安をすべて取り除くのは難しいですが、個人個人が自分の幸福をどう捉えるかによって変えられるのではないでしょうか。

そこで、新時代を生きる若者にとっての幸福を考えていきます。若者研究を行っている原田さんですが、若者たちはどんな今、不安を考えて、抱えていると?

原田:やっぱり、日本にあんまりポジティブな要素がないじゃないですか。令和の時代は更に少子高齢化が進みますし、人口減少もしていくし、自分の国、あるいは会社、自分の給料、年金もそうですけど。ポジティブな要素がないから、そりゃあ不安は抱えますよね、漠然とした、というか。

犬山:やっぱり将来への不安っていう感じなんですかね。

原田:バブルの頃から、ずっと右肩下がりで落ちているので。そういう時代を生きてきている人たちにとっては、ある種当たり前って思っている部分もあるかもしれないですけど、やっぱり不安じゃない要素ってないんじゃないですかね。

◆頑張っても伸びていく環境ではない
犬山:今の若者たちは、幸せをどんなときに感じていると思いますか?

原田:頑張ってもいろいろなものが伸びていく環境じゃないので、割と身近なところに幸せ感じたり。家でゴロってしながらこうやってラジオを聴いて、犬山さんの声もすごく可愛らしいし。

犬山:ありがとうございます(笑)

原田:そういうのでほっとしたりとか。昔の若者のようにアクティブにどこへ、海外へ行くとか、アクティブに何かやるっていうよりは、割と、まったり、よく“チルで”(「くつろぐ」「まったりする」などの俗語。英語の「chill out」(チルアウト)に由来)とかね。“チルってる”ことに、幸せを感じていたりするんじゃないですかね。

犬山:私も全くそうです。ダラダラしているときが一番幸せというか。

◆経済成長と若者のエネルギー
犬山:昭和、平成時代の私なんかは、平成時代を“若者”として生きたんですけれども、令和の若者たちとの違いって感じられますか?

原田:昭和は日本が貧しかったので、とにかく給料が上がって車が買えたり家が買えたり。"消費"とか"お金"で喜びを感じましたね。

犬山:働ければ働くほどなんか日本も上向きになって行った感じありましたもんね。

原田:それからだんだん日本が経済成長しない時代になって。物質的っていうよりも、友達と仲良くしたり、SNSでやり取りしたり、あるいはよく“モノよりコト”なんて言われますけど。体験をして、いろんな喜びを感じるっていうタイプに変わってきているのが大きいんじゃないですかね。

犬山:なるほど。でもそれは、お金を使わなくても幸せを感じることができるっていう、その感受性が育ってきているというか。それは大人も見習いたいな、みたいな。日本と海外の若者の幸福の感じ方の違いっていうのは?

原田:経済成長している時代のどの国でも、若者って元気なんですよ。お金欲しい、女の子にもてたい、車買いたい、って言って。で、経済成長が止まってくると、みんなまったりしてくるんですよ。

で、一番早くこのステージに入ったのが多分ヨーロッパで、その後が日本で、その後にリーマンショック後のアメリカで。そして、今上海とかバンコクとかが、そういうふうになって来ている。だから、経済成長と若者のエネルギーってすごく関係があって。

今、日本の若者がまったりしていて、よくいろんな経営者の方が“アジアの若者を見習え”とか言うんですけど“それはあなたの時代、あなたが若いときが、今のアジアの状態だったからだよ”っていう話なんですよ。

文化とか宗教も大きいんですけど、一番大きいのは経済ステージなんですよ。日本は今、ある程度豊かになって、満たされていて、経済成長しない状況になっているので、まぁこうなるんですよ。

◆目標となる大人を見つけることが大事
犬山:今後の日本人の幸福っていうのは、今チルな感じだとして、どんな方向に向かうと思われますか?

原田:成熟ステージに入ると変わらないので。多分このままになっていくと思う。ただ問題は、さっき言った通り、日本は悪い要素がすごくいっぱいあるので、なるべくいろんな要素を現状維持できるようにしていったほうが、満足度は減らないんじゃないかなと思いますね。

例えば、人口が減っちゃうってことは、いろんな会社とか自治体とかがなくなっちゃうわけですから。反対の人もいるかもしれないけれど、ある程度は移民で補っていかないといけないだろうし。だからこれ以上急激な経済成長を目指さなくても、現状維持できるようなことにはなってほしいなって個人的には思っていますけどね。

犬山:若者が、自分なりの幸せの基準を見つけるために大切なことっていうのは?

原田:僕いつも35人ぐらい学生を囲っていまして。バイトで手伝ってもらっているんですけど。これはいつの時代も変わらなくて“この人みたいになりたい”っていうモデルを見つけたら、若いうちって目標が定まると頑張れるじゃないですか。だからそういうモデルになる大人を見つけるっていうのが、すごい大切かなと思っているんですけどね。令和の時代は、彼らの活躍なしには絶対に成り立たないので。

日本財団は11月29日(金)~12月1日(日)、東京国際フォーラムで「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2019」を開催。詳しくは公式Webサイトをご覧ください!

<番組概要>
番組名:ホメラニアン
放送日時:毎週月~木曜 20:00~21:30
パーソナリティ:犬山紙子(月、火曜)、関口舞(水、木曜)
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/homeranian