NTTコムウェアは11月21日、仏Atosと、Identity & Access Management(以下、IAM)分野を中心とした両社のセキュリティ事業拡大に向けて、11月20日に戦略的協業を結んだと発表した。

  • 11月20日に戦略的協業のMOUを締結(左はNTTコムウェア 代表取締役社長 栗島聡氏、右がAtos 上級副社長 ピエール・バルナベ氏)

IAMとは、Identity & Access Managementの略で、利用者のIDや権限のライフサイクルを管理・運用する「Identity Management(ID管理)」と、ユーザー認証を行う「Access Management(アクセス認証管理)」の2つのセキュリティ対策機能を統合的に提供する基盤。

  • IAMとは

NTTコムウェアは今回の提携により、Atosが提供するセキュリティ製品やアプライアンス製品を活用したIAMソリューションの提供を行う。

  • AtosのIAMソリューション

その第一歩として、Atosのセキュリティ製品を活用したID管理・認証ソリューションの共同プロモーションを実施するとともに、Evidian Identity Governance & Administration (以下、IGA)を国内で初めて採用したハイブリッド対応のソリューション「SmartCloud IAMソリューション」の販売を開始する。

  • 「SmartCloud IAMソリューション」

さらに2020年2Qには、NTTコムウェアのSOCサービスとAtosのEvidian Web Access Manager(以下、WAM)などを連携させることで、SOCサービスで検知した不正通信の発信元IDをWAMの認証機構で自動的に遮断する機能を提供し、社員の内部犯行抑止などへの対処を可能にする。

  • NTTコムウェアのSOCサービスとAtosのEvidian Web Access Manageを連携

そして、2021年1Qには、ID as a Servicesのオンデマンド型サービスも提供していく予定だという。

  • IDaaSも提供予定

NTTコムウェア ネットワーククラウド事業本部 取締役サービスプロバイダ部長 関洋介氏は、今回の提携の背景を、「Atosが日本の企業と協業するのは初ということで、名誉なことだと思っている。ID管理では、ID付与、変更、削除というIDのライフサイクル管理が課題であり、認証では、さまざまなプロトコルを吸収し、各アプリで認証していくという細かな管理が求められている。また、ライフスタイルの変化により、PCだけでなく、スマホによる社外からのアクセスや、Office 365、Salesforceなどのクラウドサービスの活用も増えている。そのため、IAMの分野には多彩な機能が求められている。Atosとは10年前から付き合いがあり、2016年にはSIパートナー契約を結んでいる。Atosは、ID管理と認証をトータルで提供している唯一のベンダーだ。クラウド、オンプレミスの両方に対応でき、機能が非常に豊富だ。さらに、既存基盤への適用も容易だ。今後は、両社の共創によって、より高度なIAMソリューションを提供していきたい。今回はIAMの領域だが、今後は双方のソリューションを研究し、幅広い分野でのお付き合いを考えていきたい」と説明。

  • NTTコムウェア ネットワーククラウド事業本部 取締役サービスプロバイダ部長 関洋介氏

また、Atos 上級副社長 ピエール・バルナベ氏は、「今回の提携により、セキュリティへのニーズが高い日本市場や大規模な顧客へのアクセスが可能になる。IAMは企業になくてはならない要素だ。今後は、日本中にIAMを広げていきたい。今回の提携は最初の1歩であり、ほかの分野での提携にも広げていきたい」と、今回の提携により、日本市場での拡大を図りたいという意向を示した。

  • Atos 上級副社長 ピエール・バルナベ氏

NTTコムウェアは、120億円といわれる国内のIAM市場において、2022年度までに約10億円の売上を見込んでいる。