数ある飲食店の中で、近年の健康志向のブームから注目を集めるようになってきたサラダ専門店。水野裕嗣さんは、米国での滞在経験がきっかけとなり、2016年にサラダ専門店を開業しました。それまで20年間携わっていたTV番組制作の仕事にピリオドを打ち、飲食店経営の世界に飛び込んだという水野さんにその経緯や経営者としての仕事のやりがいについて伺いました。

■仕事を「自分ごと化」できる面白さ

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。

都内に4店舗あるサラダ専門店「HIGH FIVE SALAD」の経営と商品の製造卸が主な仕事。オフィスなどにデリバリーも行っていて、そうした卸先の開拓も重要な任務です。
デスクスペースはありません。打ち合わせや営業の合間に、店舗と製造を行うラボを自転車でまわりながら1日を過ごします。
店長と情報交換をしたり、アルバイトスタッフの声を聞いたり、コミュニケーションは特に大切にしていますね。夜にはみんなで飲みに行くこともあります。


5:30 起床
ランニング、ラジオ体操、打ち合わせ、来客対応など
12:00 昼食
13:00 オフィスデリバリーの営業、各店舗とラボをまわる
19:00 スタッフと飲みに行くことも

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

大規模な会社だと、自分の頑張りが会社の存続や成長に影響を及ぼしているとなかなか実感できないこともあると思います。現在、「ハイファイブ」の社員数は12人。少ないからこそ会社の成長やそのスピードを実感できますし、それはベンチャー企業ならではの楽しさだと思います。また、仕事を「自分ごと化」しやすく、自分で決定したことが結果として返ってくるということも、働く上でとてもやりがいを感じることです。

店舗を持つ楽しさについて例えるなら、自分の秘密基地が増えるような感覚ですね。自分が用意したとっておきの空間に人が集まり、笑顔が生まれるということはとてもうれしいことです。

 
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

開業するまでに苦労したのは、人集めです。当初、店長候補だったスタッフが、開店直前に辞めることになってしまったときには、さすがに焦りました。そんな中、求人情報を見て北海道から応募してきてくれたのが、現在のショップ・マネージャーです。彼女のおかげで1号店は無事にオープンすることができました。
店は一人ではできませんから、スタッフにはいつも支えられています。

経営というのは、どれだけ自分が働いても、お金をつぎ込んだとしても、マイナスになる可能性がある。この会社はまだまだ成長段階。そのリスクはいつも感じています。
今は、「2025年までにアジアでNO,1のサラダ専門店になる」ということをミッションに、どうすればそれが実現できるのか逆算して動いています。

■決意からわずか8カ月で店をオープン。やってみないと分からない

Q4. どのようなきっかけで現在の仕事を始めようと思ったのでしょうか?

TV番組の制作は刺激的で面白く、これを自分の仕事にしていこうと心が決まりました。しかし、10年間勤めたときに「やりきった」と感じ、念願の渡米。約3年間アメリカで過ごしました。

2008年当時、ニューヨークで流行していたのがサラダの専門店でした。ランチ時には、ニューヨーカーが大きなサラダボウルを求めて店に行列ができる、その光景を見て、日本にもこんなお店があったら流行るかもしれない、という考えが浮かんだんです。

2009年に帰国し、再びTV番組制作の仕事を続けることになりました。冠番組の演出を務めながらも、飲食店をやってみたいという思いは頭の片隅に持ち続けていました。そんな中、取材で出会った飲食店経営者の方に話を聞いてもらう機会があったんです。「やってみたいと言う人は100人いても、実際に実行に移す人は1人いるかいないか」という言葉にドキッとさせられ、「やらなきゃダメだ」と決意しました。

まずは自分ができることを少しずつやってみようと、本を読んだり、経営者や料理研究家に話を聞きに行ったりしました。また、不動産屋をまわって物件の相談も。資金繰りについては、自分の貯金をベースに身内から借りた分を合わせた1,200万円からスタートしました。

決意から開業までにかかった期間は約8カ月。その間に、自分を追い込んでいったという感じです。TVの仕事を辞めると仲間に伝えたときには驚かれ、将来のリスクを考えて反対もされましたが、「やってみないと何もわからない」と、あくまで僕は前向きでした。

Q5. 大学では何を学びましたか?

高校卒業後は、地元名古屋の大学の法学部に入学しました。高校生の頃から漠然と「いつかは社長になりたい」という思いはあったものの、勉強には熱心になれず、単位を取るためだけに通っていましたね。
そもそも、働くことに対して大きな不安があったんです。ネクタイを締めて満員電車に乗り、自分がやりたくないことをやらなければならない。そんな「働く人」になるイメージがまったくできずにいました。

卒業が決まり、初めて学生でも社会人でもないという立場になったとき、「このままではいけない」と焦りを覚え、求人情報誌から応募したのがTV制作会社でした。


Q6.高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

高校生のとき、新聞の連載コラムで、鉄板焼きチェーン「BENIHANA」をアメリカで成功させたロッキー青木さんについて知り、彼の波乱万丈な人生に憧れ、企業家になることを夢見たことが今の自分につながっています。

■常にポジティブに、やりたいことをやる

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?

やはり、お金に詳しくなることは大切ですね。会計や経営を学んでおくと必ず役立つと思います。
精神面では、ポジティブな人。常に楽観的に物事を考えられ、切り替えが上手な人が向いていると思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。

「Step out of your comfort zone」
何かを成し遂げるには、居心地のいい空間から抜け出さなければいけない。僕も会社を辞めたり、渡米したりしたことで違う世界や価値観を知ることができました。一歩踏み出す勇気はとても大切です。
 
 
「いつかは社長になりたい」という漠然とした想いや、アメリカに行きたいという夢を叶え、そして今も新たな挑戦をし続けている水野さん。まずは勇気を出して一歩踏み出してみる。笑顔の絶えないスタッフに囲まれる水野さんを見て、その常にポジティブな姿勢が、多くの人を惹きつける魅力にもつながっているのだと感じました。

 
【profile】株式会社ハイファイブ 代表取締役 水野裕嗣
http://highfive.tokyo