本職はポルシェのセールスマネージャー│ニューヨークで写すポルシェ

ドイツ生まれのエド・ピーターというある人物のメインワークは、ポルシェUSAのセールスマネージャーであった。しかし、フォトグラファーとしての才能にも恵まれていたのだ。

ピーターは月曜日から土曜日にかけてポルシェで働いていた。1964年にポルシェでのキャリアをスタートさせ、後にアメリカだけでなくグローバルに活動するようになっていた。唯一の休みである日曜日は、彼にとって情熱を捧げる日であり、そこにはポルシェが欠かせなかった。1960年代、70年代のニューヨークをポルシェで走り撮影することを愛していたのだ。「はじめてニューヨークを訪れた時、私はとても驚きました。みんながオープンで、誰とでも話すことができるんです」とピーターは話した。



中心地辺りでポルシェを停めて、カメラを持っているとたくさんの人が話しかけてきたそうだ。今となってはニューヨークの街でも撮影制限などがあるが、当時はまったくそんなものは存在しなかった。「その時代は、街中で勝手に撮影していても何の問題もなかったです。けれど、撮影は早く終わらせなければいけませんでした。注意されるとかではなく、停めていると人々が集まってきてしまうから。この素晴らしい車は何?とよく聞かれましたよ。ポルシェの存在すら知らない人ばかりでした」

彼はポルシェの前に違う車メーカーにいたが、そこでの仕事はにあまり幸喜びを感じていなかった。当時、ドイツを拠点としていたため、ポルシェUSAへ仕事を求めに行った時は英語が話せるかを心配されていたそうだ。しかし、流暢なアメリカアクセントで返事をし、無事にポルシェUSAで働くことが決まった。そこから、たくさんのポルシェを見て、その美しさに心を奪われたのだ。



写真の被写体としては、だいたいがピーターのポルシェであった。911カブリオやタルガなどの写真も撮影していたが、特に気に入っているアングルがあったというわけではなく、それぞれのシャシーデザインを見て撮影する場所を変えていた。「ポルシェは美しい車で、見た目がすべてなんです。建築物とポルシェをうまく融合させて演出することが好きでした。当時撮った写真を今見ても、昨日のことのように思えます」とピーターはいう。

「私が撮った写真はほとんど家に残されたままです。自分にとってはダイアリーでもあるのです。美しすぎて他の人に見せるにはもったいないんですよ」

ピーターは2019年6月に息を引き取ったが、彼が撮りためてきた作品たちは大切に保管されている。