皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、貯金はできているが、目的がないのが心配という40代の会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

◆分配型ファンドに投資してるが不動産投資はどうでしょうか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、貯金はできているが、目的がないのが心配という40代の会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

◇相談者
ピクシーさん(仮名)
男性/会社員/41歳
静岡県/賃貸住宅

◇家族構成
独身

◇相談内容
結婚などの予定もないので、目的なく貯金をしているがこのままでよいか?

配当重視でJ-REITに投資している(平均配当3.5%)がそのままでよいか知りたいです。不動産投資などを検討した方がよいでしょうか?

◇家計収支データ
「ピクシー」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)加入保険の内訳
・生存給付保険(払込期間15年間、入院特約8000円)=保険料8000円
・個人年金保険(60歳から10年確定、年金額35万円)=保険料1万円

(2)趣味娯楽費6万円の内訳
旅行5万円、酒1万円

(3)退職金の目安
1000万円

(4)今後の転職や実家に戻る予定
ともになし

◇FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1:結果的に老後資金につながっている
アドバイス2:投資の一部を確定拠出年金で運用
アドバイス3:REITはもっとも合理的な不動産投資

◆アドバイス1:結果的に老後資金につながっている
まず、目的がなく貯めていることについて。なかなか貯蓄できない人はモチベーションを持つことで「貯められる人」になることは往々にしてありますが、ピクシーさんはすでに「貯められる人」ですから、貯蓄目的がないことをさほど気にする必要はありません。

また、今はなくとも、結果的に今の貯蓄や投資商品は老後資金になっていきます。具体的な目的が見つからないなら、老後の備えをしていると考えればいいのではないでしょうか。

その老後資金ですが、現在の年間貯蓄額が180万円。定年を60歳とすれば、それまでの19年間で約3400万円を上積みできます。退職金1000万円を加えて4400万円。

それは90歳までの30年間、毎月12万円を公的年金にプラスできる金額ですから、厚生年金加入であることと現在の生活費を考慮すれば、ほぼ心配ない資金が用意できるということになります。

◆アドバイス2:投資の一部を確定拠出年金で運用
運用については、REITに資金を集中させての配当取りということ。それ自体、間違ってはいないと思います。平均配当利回り3.5%は税込みで年間70万円程度の利益になり、また再投資をしているのなら、複利効果も期待できます。

気になる点としては2つ。まず、REIT一辺倒はそれなりのリスクを生みます。一斉に下がる傾向がありますから、一部を売却して、他の投資商品による分散投資でリスクヘッジをしておきたいところ。

投資商品は個別株でも投資信託でもいいと思います。とくに投資信託であれば、確定拠出年金(DC)を利用して買っていくという方法がおススメです。

勤務先で導入していなければ、個人型DCで買うことができます。目的は老後資金づくりに限定されますが、掛け金(上限額あり)を所得控除できるという明確な節税効果が得られます。

もうひとつ、貯蓄に対して投資額の配分が大きいのも気になります。貯蓄額の実に4倍が投資に回っています。独身で、大きなローンも背負っていませんので、それなりにリスクは取れますが、それでも全資産の50~60%以内に抑えておきたいところです。

◆アドバイス3:REITはもっとも効率的な不動産投資
不動産投資についてですが、実際に物件を購入して、家賃収入を得る(あるいは売却益)というのであれば、個人的には手を出すべきではないと考えます。

もっとも大きな理由は、投資した資金を回収するのに、一般には20年、30年とかかるということ。

その間、継続的に収入を得られる保証がないからです。景気や周辺の環境、不動産の受給などに左右され、維持管理コストも発生する中、個人で長期的かつ確実に利益を得ていくことは相当にハードルが高いと思います。

現在2500万円の資産があります。ここまで地道に増やしたのは十分立派なこと。だとしたら、それを元手により高いリスクを取るよりも、確実に増やし、老後に活かす方が賢明といえるでしょう。

そもそも、REITは個人が少額で行える不動産投資です。その意味で、ピクシーさんはすでにもっとも無駄なく、効率的に不動産へ投資しているのです。

あと保険ですが、個人年金保険は60歳までの保険料を一括で支払ってはどうでしょう。保険料が割り引かれますので、結果的により効率的に老後資金を用意できたことになります。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

文=あるじゃん 編集部