スマホユーザーが気になる高倍率ズームデジカメ

現在、カメラはミラーレスカメラ(ミラーレス一眼)をはじめとするレンズ交換式カメラが売れ筋となっています。話題のフルサイズミラーレスを筆頭に、より小さく軽いAPS-Cミラーレスやマイクロフォーサーズのミラーレスも人気を集めています。

しかし、カメラの初心者から中級者まで、幅広い層に定番的な人気を誇るカメラも存在します。それが「高倍率ズームデジカメ」。レンズ交換をする必要なく、最新ミラーレスも真っ青になるほどの圧倒的な超望遠撮影ができるのが特徴です。

高倍率ズームデジカメは、各社ともレンズのズーム性能や撮影性能で個性豊かな製品を投入しており、ラインアップは多彩。それだけに、どの製品を買えばよいか迷ってしまうかもしれません。ここでは、そんな高倍率ズームデジカメの選び方のポイントを見つつ、おすすめの機種を紹介しましょう。

  • レンズ交換の必要がなく、1台で広角から超望遠まで幅広い撮影が楽しめるのが高倍率ズームデジカメの魅力です

    レンズ交換の必要がなく、1台で広角から超望遠まで幅広い撮影が楽しめるのが高倍率ズームデジカメの魅力。以前から、旅行やレジャーに向く“旅カメラ”として人気を博していますが、近ごろは天体を撮影しやすくしたモデルも登場しています

高倍率ズームデジカメとは?

その名の通り、ズーム倍率の高いレンズを搭載したデジカメです。スマートフォンでは太刀打ちできない超広角から超望遠までの撮影が1台でできるため、旅行や運動会などでは大いに大活躍します。レンズ交換の必要がないので取り扱いが簡単で、荷物が減るのも人気の理由です。

プロカメラマンがスポーツを撮る際によく使う望遠レンズの焦点距離は、500mmや600mmが主流。それに対して、高倍率ズームデジカメは1000mm(35mm判換算、以下同)を超える焦点距離のレンズを搭載したモデルも珍しくありません。なかには3000mm相当の超望遠撮影が可能な製品も出てきており、一眼レフでも不可能な超望遠撮影が片手サイズのカメラで手軽にできます。

  • 800mmの超望遠レンズ「EF800mm F5.6L IS USM」を装着した一眼レフカメラ(奥)と、最大で1365mm相当の超望遠撮影ができる高倍率ズームデジカメ「PowerShot SX70 HS」(手前)。一眼レフとは比べものにならないほど機材がコンパクトに済むのが高倍率ズームデジカメの特徴です

超望遠レンズを搭載しているので、遠くにいる野鳥などの動物や星を大きく写せるのも魅力です。なかには、月のクレーターまで鮮明に写せる性能を持った機種もあります。レンズ交換式カメラで撮ろうとすれば、大きくて重い超望遠レンズが必要ですし、星なら天体望遠鏡にカメラを取り付けなければなりません。そうした重装備なしに手持ちで撮影を楽しめるのが、高倍率ズームデジカメの大きな魅力となっています。

高倍率ズームデジカメの選び方

高倍率ズームデジカメは、キヤノンやソニー、ニコン、パナソニックなどが製品を投入しています。搭載するレンズのスペックは機種によって大きく異なり、画質に影響するセンサーサイズも機種ごとに違っていますので、どういうキャラクターの機種なのかを把握したうえで、目的に合ったモデルを選ぶ必要があります。

まずはレンズの性能をチェック

どの機種も、数十倍という倍率を持つズームレンズを搭載しており、中には100倍を超える機種もあります。倍率とは、広角端と望遠端の焦点距離の比率のこと。この倍率が大きいほど、画角の変化も大きいことになります。

一般的に、ズーム倍率が大きい方が遠くの被写体を大きく写せる傾向にありますが、必ずしもそうとは限りません。望遠撮影を重視するならば、望遠端の焦点距離を確認しましょう。カタログなどには「24~3000mm相当」といった「35mm判換算の焦点距離」が書いてあります。大きいほうの数字が望遠端の焦点距離を表し、数字が大きいほど遠くの物をより大きく写せます。

  • 各社の高倍率ズームデジカメ。レンズのズーム倍率は製品によって異なるので、カタログなどでスペックを確認することが必要です

反対に、小さいほうの数字は広角端の焦点距離を表します。この数字が小さいほど、広い範囲を写せます。多くの機種は24mm相当程度ですが、なかには20mmといった超広角域に対応している機種もあります。雄大な風景をより広々と収めたいなら、広角端の焦点距離にも注目しましょう。

画質を重視するならイメージセンサーのサイズに注意

カメラは、イメージセンサーが大きいほど画質が良くなる傾向にあります。しかし、フルサイズセンサーが主力になったミラーレスや一眼レフとは異なり、高倍率ズームデジカメはあまり大きなイメージセンサーを搭載してはいません。画質を重視するならば、大きなイメージセンサーを積んだ機種を選ぶ必要があります。

高倍率ズームデジカメのイメージセンサーは、このジャンルでは一般的な「1/2.3型」と、多くの高級コンパクトデジカメと同等の「1型」があり、1型モデルのほうが画質に優れます。その反面、1型センサーの機種は「ズーム倍率が低い」「ボディが大きく重い」「高価」といったデメリットがあります。「ズーム倍率の高さ」「小型軽量ボディ」「手ごろな価格」といった部分を重視するなら、画質には少々目をつぶって1/2.3型センサー搭載モデルを選ぶと良いでしょう。

画素数は機種によってさまざまですが、多いモデルで約2000万画素、少ないモデルで約1200万画素となっています。1200万画素クラスでも十分に大きな画像サイズなので、画素数はあまり気にする必要はありません。

ボディのサイズも忘れずにチェック

高倍率ズームデジカメはどれも一眼レフカメラのような形をしており、デザインに極端な差はありません。しかし、本体の大きさや重さは機種によって大きく異なります。

これは、搭載しているイメージセンサーのサイズやレンズの倍率によるところが大きく、1型センサー搭載モデルは基本的に比較的大柄です。また、ズーム倍率が100倍を超えるニコンの「COOLPIX P1000」のような機種では、1/2.3型イメージセンサーであってもやはりボディは大柄です。

  • ひとくちに高倍率ズームデジカメといっても、機種によって大きさはさまざま。65倍ズームのキヤノン「PowerShot SX70 HS」(右)に比べると、125倍ズームのニコン「COOLPIX P1000」(左)はだいぶ大きく見えます

高倍率ズームデジカメはレンズ一体型のため、分類上は“コンパクトデジカメ”になりますが、エントリークラスの一眼レフやミラーレスより大きなモデルも少なくありません。できれば店頭などで実機を手にし、大きさや重さを購入前に確認しておくことをおすすめします。