神田松之丞

100年に1人の天才講談師・神田松之丞がロケに挑戦し、滝沢カレンと共にそのロケ内容を反省するバラエティ番組『松之丞カレンの反省だ!』(テレビ朝日系、毎週土曜、24:10~)が、2019年10月からレギュラー放送に。“初めて”を体験する松之丞のVTRを見ながら繰り広げられる、絶妙かつゆる~いやり取りが人気となっている。

2020年2月11日に真打昇進、これに伴い六代目神田伯山(かんだ・はくざん)の襲名を控えた神田松之丞さんにインタビュー。番組の裏話や、 最近反省したこと、ご自身とテレビについてなど、たっぷり語っていただいた。

――レギュラー化おめでとうございます。手ごたえや周りの反響は?

自分では、いまいち周りからどういう見られ方をしているのかわからなくて。ただ、講談会などのイベントでサインをしている時に、「(講談を)何で知ったんですか?」と尋ねると『松之丞カレンの反省だ!』とおっしゃる方が多いです。『すべらない話』や『演芸グランドスラム』がきっかけだという方もいらっしゃいますが、毎週放送をしているレギュラー番組というのはやはり強いですね。

――深夜番組ですが、実は朝早い時間に収録しているそうですね。

ラジオ番組『神田松之丞問わず語りの松之丞』(TBSラジオ)も、朝に収録することが多いのですが、意外と朝の収録は夜のオンエアにマッチするんですよ。体調もいいし、ゆったりトークをしているので、そこが合うのかもしれませんね。カレンさんとのトークはいい間合いでやれていますが、爆笑問題・太田光さんとやっている『太田松之丞』(テレビ朝日系『お願い!ランキング』番組内)は、会話のキャッチボールで肩を壊してる時がある(笑)。

――『松之丞カレン』では、毎回いろんな体験をされていますが、直前まで何をするか知らずに挑まれているのですか?

“初めて”を体験する僕のリアクションを見たい、というスタイルを守っていまして。マネージャーやスタッフがやり取りしているメールは、僕も見られるようになっているので、知ろうと思えば知ることもできますが、そこは見ないようにしています。ただ、行きのロケバスで「今日は誰に会うんですか?」と聞くことはあります。資料とかを、スタッフさんが迂闊にポーンっておいていたりするので、盗み見たり。まあ、当日2時間前くらいに今日は誰と会うのか、何をするのかを知るのがちょうどいい感じですかね。

――毎回わくわくしますね!

僕、本当は嫌なんです(笑)。本来人見知りなので、人と会うのが苦手ですが、それでも楽しくやっています。今日も亀田史郎さんに会う回の収録でした。凄く面白かったんですが、中盤から油断して飽きちゃって……(笑)。序盤は楽しくやっていましたよ。そこは、オンエアを楽しみにしていてください。

――これまで体験してきたもので、印象に残っているものは?

どれも「すごかった!」と思っていますが、不思議なものであまり覚えていないんですよ(笑)。肉の回(※)は、印象に残っていますね。「これ(番組として)成立しないんじゃないの?」っていうロケだったので、あれがハネるかどうか、僕が試されている感があり……。結果、人によっては「肉の回」が一番面白いとおっしゃる方もいて、ああいう隠れたフランス映画みたいなのが僕は好きですね。

※4月20日にオンエアされた、紹介制の焼き肉店で松之丞が初めての食リポに挑戦する企画

――その時、撮影現場はどんな雰囲気だったのでしょうか。

スタッフさんの反応が真っ二つに分かれて。演出の高橋佑輔さんだけがめちゃくちゃ面白いって言うんですが、ほかの人は「キツかった……」ってずっと言ってて(笑)。でも編集で、高橋さんが、死ぬほど時間をかけてそれを面白くしてくださって。これはもう意地なんでしょうね。

――松之丞さん自身は、ロケの“撮れ高”は意識して臨んでいますか?

僕がロケでマズったとしても、この番組はカレンさんとのトークで後から反省をしますし、スタッフさんの腕が優秀なので、面白く編集してくれるだろうな、という信頼関係がありますから、素のままです。これは、ラジオのスタッフとの信頼関係と近いかもしれません。

――スタッフさんを信頼しているからこそ、自然体で挑めると。

自分では全然面白くないだろうな、と思っていた内容を、面白く編集してくださった時は、本当にすごいと思います。ラジオも同様で、内容が良いときは誰が編集しても面白くなりますが、逆に最低限のラインまで持っていかなければいけないという時に、プロとしてどこまで水準をあげられるか? というところで試されますよね。テレビもラジオも講談も、すべてのエンターテインメントに言えることだと思いますが「これ、どうかなぁ?」とヤバい時に助けてくれる感じは心強いです。

――そんな素敵なチームに伝えたいことは?

僕が、スタッフさんに「今日編集で出したものは何点ですか?」と聞くと、「僕ら……100点以外は出さないんですよ」と、カッコつけるのだけはやめてください(笑)。そうじゃない時も明らかにあるよって(笑)。まあ、この素材の中での「100点」ということなのかな? テレビスタッフさん特有の“カマシ”は面白いですね。

――番組タイトルにちなんで……最近反省したことはありますか?

先日、地方で講談があり、『情熱大陸』(MBS・TBS系)の取材チームも来てくださっていたのですが、その時、赤穂義士のお話をやったんです。最後に四十七士の名前をつらつらと言いたたえるところで、ふわっと35人しか名前が出てこなかったです……。でも、お客さんは47人だと思って聞いているから拍手もおこっていましたが、そんなミスは50回やって1回あるかないか。昔の自分だったら、プロとして許せないところなのですが、今は「忙しいからそういう日もあるよね」って思っちゃって。いや、四十七士のうち、17人しか出てこなかったら問題だと思うんですよ。でも、35人ならOKじゃない? っていう俺の甘さが『松之丞カレン』の影響じゃないかなぁ。昔は、もっと厳しいストイックな男だったんですよ。それが、悪いほうに寛容になってしまったっていう……(笑)。

編集で何とかなるっていうクセがついていて。でも、講談って編集は無いのに! ということがありまして、日常で「編集癖」がついていることを反省します。

――何事も“編集”可能であれば、たいていのことはリカバリーできそうですね(笑)。

カミさんと会話をしている時も、編集癖がついているから不用意な発言が増えているんですよね(笑)。日常っていうのは常に長回しなのに、それを編集という魔法を日常の中に入れてしまった、というのは良くないと思います。人生は長回し……。かっこいいこと言っちゃったね(笑)。