皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、障害を抱える40代の公務員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆資産をコストをかけずに増やす方法はありますか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、障害を抱える40代の公務員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
まさおさん(仮名)
女性/公務員/40代
広島県/賃貸住宅

◇家族構成
一人暮らし

◇相談内容
今まで貯めては崩し、貯めては崩しを繰り返していましたが、「10年後に1000万円」を目標にし、貯蓄を始めました。しかし、私は身体に障害があり、定年までもしくは年金受給年齢まで働けるのか不安です。

定期はマル優で350万円まで貯めたら国債マル優に移して、700万円まで非課税で置いとくことを考えていますが、iDeCo(限度額いっぱい)と、勉強のためにNISA(月3000円、ボーナス時に1万5000円)を始めました。

その他、今のうちに行ける旅行のために、年間20万円を目標に頑張っています。

肢体は生まれつきのため、手帳はありますが障害年金はありません。途中で難聴が進み、手帳が出れば障害年金受給はできるのでしょうか? 高額な福祉器(※今年購入30万円)が必要になることを考えると、老後と親の介護、自分の老後と不安です。

◇家計収支データ
「まさお」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)障害と障害年金について
子どものころ恒久障害とみなされ、手帳等級は1種2級。これまで、年金申請をしたことはなく、現在、かかりつけの医師はいない。

(2)ボーナスの使いみち(1回分60万円の内訳)
貯蓄/30万円、投資/10万円、レジャー費/10万円、急な出費の予備費/10万円(※今年は車検で15万円支出予定)
レジャーは旅行、コンサートなど

(3)加入保険の保険料内訳
・本人/所得補償保険(=給与サポート保険)(短期療養で月額10万円、長期で20万円補償)=保険料6300円

(4)住居について
固定資産を持ちたくないこともあり、ずっと賃貸を予定。また、動けなくなったら介護施設やグループホームに入るしかないと考えている。

(5)老後生活について
退職後はクルマも手放し、シルバーカーや介護タクシー等を利用する。介護配食サービス等を利用したいと考えている。

その他として、親や自分が不自由度が進んだときは、外国人ヘルパーのサービスが充実してくれば、今後は週1回とか月1回の利用も視野に入れて、なるべく孤立しないように暮らしたい。

◇FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1:貯蓄目標は手短な設定から
アドバイス2:楽しむための支出は削らない
アドバイス3:最寄りの年金事務所にまずは相談を

◆アドバイス1:貯蓄目標は手短な設定から
まずは貯蓄目標にですが、「10年間で1000万円」は数字上可能ですし、具体的な目的を設定することはとてもいいことです。

ただし、相談者のまさおさんは「これまで貯蓄が思うようにできなかった」ということを考えると、いきなり大きな目標を掲げなくてもいいと思います。

最初は、「2年で200万円」もしくは「3年で300万円」としてはどうでしょう。

それが達成できたら「5年で500万円」に引き上げ、結果的に10年で1000万円貯めることができればいいのでは。

目標は「達成感」と「モチベーションの維持」が大事です。あくまで気持ちの部分ではありますが、10年間ひたすら頑張り続けるより、短いサイクルでひとつひとつクリアし、そのつど達成感を得ていく方が、無理なく達成できるのではないでしょうか。

また、その間、まさおさんが言われているようにマル優(預貯金)や特別マル優(国債と地方債)などを上手に活用していけばさらに効率的です。

「手数料をかけず資産を増やす方法」については、今年から始めたiDeCoやNISAを活用する方向でいいと思います。毎月、運用に回す資金も、金額的にこの程度なら無理がありません。

もちろん、運用は必ずしも増えるとは限りませんが、投資内容を拝見すると、上手にリスク分散はできています。あとは、投資信託であれば、信託報酬等の手数料に対して絶えずコスト意識を持つ(割安のものを選ぶ、など)ことが大事でしょう。

◆アドバイス2:楽しむための支出は削らない
現在の貯蓄ペースは、投資部分も含めると年間128万円ほど。定年までの期間、これを継続すれば2000万円を超えます。これに退職金を加えた合計額が、老後資金となります。

この金額が老後資金としては足りるかどうかは、不確定要素が多く、断定できません。

しかし、老齢厚生年金が受給できることと、まさおさんの現在の生活費から類推して、経済的に大きく困ることはないかと思います。ただし、障害がある以上、イレギュラーなコストがかかることは当然、考えられます。

したがって、できる範囲で60歳以降も働くことがカギとなります。収入は月6万~7万円でも構いません。とくに公的年金が支給となる65歳まで働くことは、効果的な老後対策となります。

障害があり、なおかつ定年後も働くことが可能かどうかは、残念なからわかりません。しかし、少なくとも気持ちの部分で折れないようにすることは、できるかと思います。

幸い、まさおさんは、その相談文から何事も前向きであることが伝わります。大切なのは、その気持ちの維持です。

そのためには、目標を持って貯めると同時に、自分で楽しむための支出(旅行など)をされていますが、これは削らないこと。

継続して貯蓄していくためにも、そして元気で働くためにも、生活の中での楽しみは欠かせません。ご自身の中で上手にバランスを取りながら、メリハリをつけた生活、家計管理を今後も続けてください。

◆アドバイス3:最寄りの年金事務所にまずは相談を
障害年金については、初診日(※)が国民年金に加入している間か、または20歳前の場合、障害基礎年金の対象となりますので、まさおさんもそれに該当するかと思います(後から症状が出た難聴は初診日によっては障害厚生年金の対象になることもあります)。

ただし、障害基礎年金の受給対象として定める障害等級の1級ないし2級と、身体障害手帳の等級とは必ずしも一致しません。

したがって、現在の手帳等級が2級であっても、障害基礎年金を受給できないかもしれません。

しかし、まだ申請やそのための相談をされていないなら、一度してみることは必要です。年金事務所で相談を受け付けていますので、まずは最寄りの同事務所に電話で確認をしてみてください。

また、実際の申請は書類の作成等、煩雑で手間がかかるのが一般的です。自分だけでは難しいなら、コストは発生しますが、社会保険労務士などの専門家に依頼するのもひとつの方法でしょう。

最後に、親御さんの介護については、基本は親の介護保険を活用し、親の資金(預貯金、年金など)で行うのがマネープランの基本です。

まさおさん自身の手間や時間は取られるでしょうが、資金的には親のお金で優先的に行うことを原則と思ってください。まさおさんが負担するのは最後の手段と心得てください。

(※)障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

文=あるじゃん 編集部