皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、将来を考えると思い切ってレジャー費を使えないという36歳の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆自分たちに見合った娯楽費の金額やその使い方は?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、将来を考えると、思い切って娯楽費を使えないという36歳の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
ピペさん(仮名)
女性/パート・アルバイト/36歳
持ち家・一戸建て

◇家族構成
夫(会社員/38歳)、子ども2人(8歳・3歳)

◇相談内容
今後の教育費や、住宅ローンを繰り上げ返済するため、切り詰めているつもりなので、どれくらい家族旅行などにお金をかけていいかわかりません。不安なので、結局日帰りのけちけち旅行になってしまいます。

上を見ればきりがないし、自分たちの収入に見合った娯楽費の使い方・比重を教えてほしい。また、切り詰めるところがあれば切り詰めたいとも思います。

◇家計収支データ
相談者「ピペ」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
貯蓄100万円、帰省費用6万円、その他家族の小遣いなど

(2)加入保険について
[夫]
・終身医療保険(入院5000円、先進医療特約付き)=年払い保険料2万2686円
・医療保険(入院5000円、がん診断一時金50万円、がん通院5000円、先進医療特約付き)=年払い保険料3万6426円
・収入保障(年金月額10万)=年払い保険料5万3360円
・終身保険※長女の学資保険代わり(15年払込終了、50歳のとき解約返戻金212万5800円、死亡300万円)=年払い保険料13万1376円

[妻]
・医療保険(入院5000円、女性特約入院5000円、先進医療特約)=年払い2万8060円

[長男]
・学資保険(18歳満期、満期金200万円)=毎月の保険料1万340円

(3)住宅ローンについて
・借入額……3170万円
・借入年数……35年
・金利……変動0.975%
・固定資産税額(年額)……14万2500円

(4)繰上返済について
住宅ローン減税がなくなる11年目(4年後)に500万円、繰上返済の予定。期間短縮か返済額軽減かは思案中。また、これを機に固定金利に切り替えた方がいいか迷っている。

(5)教育費について
幼稚園/3万円、学校/6000円、習い事/1万4000円

(6)家族旅行、レジャーについて
近場で日帰り2~3万円以内。昨年は3回ほど。旅行以外には、公園にお弁当を持って行ったり、温浴施設に行くのが最近のブームで、2カ月に1回くらいのペースで行っている。

(7)お子さんの進路と教育費について
相談者コメント「子どもたち2人とも、大学へ行っても大丈夫なくらい用意してあげたいです。下の子どもは理系四大、自宅から通ってほしいけれど、どうしても希望があれば一人暮らしも負担してあげたい。上の子どもは四大か短大で自宅から通ってほしいです。

奨学金は考えてませんが、浪人したりなどなどがあれば、使うことも考えるかもしれません。本人の出方次第で考えます」 

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:貯蓄ペースは現状でも十分
アドバイス2:「今」を犠牲にするのはもったいない
アドバイス3:金利の上昇基調を切り替えのタイミングに

◆アドバイス1:貯蓄ペースは現状でも十分
まずは、貯蓄を見ていきましょう。現在の貯蓄ペースは月5万円、ボーナスから100万円ですから年間で160万円。また、奨学金返済が終了しますので、それも貯蓄に回れば、それ以降は年間175万円。

10年後にはご長男の学資保険、12年後には長女の方の学資保険代わりの終身保険を解約すると、それぞれ保険料の支払いがなくなります。対して、児童手当の支給はお子さん15歳まで。

それらを考慮すると、ご主人60歳までにおよそ3800万円貯蓄ができますから、今ある貯蓄(投資商品も含む)と合わせて4250万円となります。

一方、大きな支出ですが、お子さん2人は現在、8歳と3歳。年齢は異なりますが、大学卒業までの子育て費用(教育費、その他の養育費など、子どもにかかるすべての費用)が今後1人1000万円かかるとします。

ここから、学資保険と終身保険の解約返戻金、計400万円を差し引くと、貯蓄から捻出する金額は1600万円。

また、住宅ローンの繰上返済を4年後に予定されているとのこと。その返済額500万円があります。

ただし、先の貯蓄ペースは教育費5万円を加算しての収支ですから、1人1000万円を差し引くなら、月5万円貯蓄ペースが上がることになります。20年間で1200万円。

結果、今後クルマの買い替えがあったとして、それでもご主人が定年までに、計算上は3200万円前後の資金が手元に残ります。これに退職金を加えた金額が老後資金となるわけです。

◆アドバイス2:「今」を犠牲にするのはもったいない
この試算による老後資金が、十分足りるかどうかは断言できません。

ただし、現状の生活費から予想される老後の生活費、ご主人が厚生年金であることを考慮すれば、さほど心配することはないといえます。

ご相談文に「自分たちの収入に見合った娯楽費の使い方・比重を教えてほしい」とありますが、金額として20万~30万円、家族での楽しむ予算を増やしてもいいと思います。

お子さんも成長すれば、家族全員で旅行に行ける期間は限られています。仮にその期間があと10年あったとして、年間30万円新たに使えば、10年間で300万円。

定年後に手元に残る資金から、この金額を差し引いても2900万円。これでも心配するような額になるわけではありません。

いきなり30万円予算を増やすのは、ちょっと気が引けるかもしれません。であれば、徐々に増やしていけばいいでしょう。

もちろん、金額をかければいいというものではありません。しかし、「今」という時間が二度と戻ってこないということも事実です。もしも、将来を過剰に心配するあまり、今しかできないことを犠牲しているとすれば、それこそ「もったいない」話です。

予算をアップすることで「日帰りのけちけち旅行」ではなく、2泊、3泊の旅行にする。海外旅行もプラン次第では可能でしょう。

そのことでもっと楽しむことができるなら、あるいはそれを楽しみに毎日を頑張れるなら、それは意味のあるお金の使い方ではないでしょうか。少なくとも、ピペさんの世帯にはそれができるだけの経済的余力があると、私は思います。

◆アドバイス3:金利の上昇基調を切り替えのタイミングに
住宅ローンの繰上返済についてですが、いただいたデータで試算しますと、期間短縮型であれば6年4カ月が短縮されて、利息軽減額は約176万円(手数料考慮せず、金利は変わらないとする)。

一方、返済額軽減型であれば、返済額は7万5000円に減額されて、利息軽減額は約87万円。どらちかが望ましいかと言えば、一般に支払利息の軽減幅は期間短縮型の方が大きくなります。

また、現状で貯蓄ができているため、家計における支払額軽減の必要性はさほど高くありません。それよりも、完済時期がご主人63歳から定年前の57歳に短縮できる方が、メリットは大きいと考えます。

金利については、変動から固定へはいつでも切り替え可能です。繰上返済の時期に限定せず、金利が上昇基調になった時点で切り替えればいいと思います。そのためにも、金利動向は定期的にチェックしておきましょう。

家計管理はしっかりやられています。「切り詰めるところがあれば切り詰めたい」とのことですが、現状のまま今後も維持できれば十分でしょう。

しいて言えば、ご主人が医療保険に2本加入していますが、どちらか1本に絞っていいのでは。保険料はさほど高くはないですが、無理に加入にする必要はありません。

また、家計はメリハリです。節約するところは節約し、楽しむべきところは予算を組んで楽しむ。これが継続して貯蓄をしていくコツです。

ピペさんはすでにそれができていますが、将来にやや目が向き過ぎている部分があります。例えば、教育資金も、大学の立地によっては仕送り費用が発生します(平均で月8万円前後)。

その分、老後資金が減りますが、それでも大きく不安になるほどではありません。足りないと感じれば、夫婦とも65歳、あるいはそれ以降も働いて収入を得れば、それで対応できるはず。

長く社会と関わるのも大事なことです。もっとも効果的な老後対策は、元気に長く働くこと。その意味でも家計管理同様、今から健康管理にも気を配ってください。

◆ピペさんから寄せられた感想
アドバイスありがとうございました。家計のあれこれを試行錯誤でやってきましたが、大丈夫!と言われてとても安心しました。

この調子で将来の貯蓄を増やし、その中で娯楽費をケチらず(笑)、のびのびと楽しもうと思います。

さっそく、春と夏、それぞれ1泊ずつ国内旅行の計画を立てました。また、4年後の住宅ローン繰り上げ返済で迷っていた部分も明確となり、将来の設計が立てやすくなりました。ありがとうございました!

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

文=あるじゃん 編集部