ソリッドワークス・ジャパンは、11月8日ならびに同12日に開催した年次イベント「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2019」に併せてメディア向け戦略説明会を実施、SOLIDWORKS CEOのジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏がダッソー・システムズ、ならびにSOLIDWORKSの取り組みについて説明を行った。

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    SOLIDWORKS CEOのジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏。日本での公での講演は3年ぶりとなる

ダッソー・システムズは現在、SOLIDWORKSを含むブランドが12あり、それを11の産業に向けて展開するビジネスモデルを採用している。その中でSOLIDWORKSは全社売り上げの22%を占め、かつ増収増益を繰り返してきたが、同氏は「SOLIDWORKSがアクセス可能な市場全体を見ると、22%と高いシェアだが、逆に言えば、それしか取れていないともいえる。現状、我々は、他社の3Dツールの持つシェアをいかに獲得するか、といった取り組みのほか、依然として根強く残っている2D CAD市場をどうやって3Dに移行するか、といったことも含めて取り組んでおり、そうした取り組みが将来の成長につながると信じている」と、決して現在の状況に満足していないとする。

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    ダッソーが提供する12の製品ブランドと、注力する11の産業分野

そんな同社が、そうした市場成長を図るために推し進めているのが、「プロダクト(製品)思考からプラットフォーム思考への変貌」だという。これは、単に製品の設計や製造を起点として、製品としての機能をいかに高めていくか、という考えではなく、企画・検討から設計、製造、販売、廃棄、リサイクルにいたる製品サイクルのプラットフォームに対し、どのようなインパクトを与えていけるか、ということを訴求していこうという取り組みで、そのために自社が提供する製品のあり方そのものを見直し、プラットフォーム上でのさまざまな領域をカバーすることを可能とするものに向けて変化していこうというものだとする。

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  • 製品思考とプラットフォーム思考の違い

「設計のさまざまな領域の統合も必要であり、それはさまざまなシミュレーションの統合も意味している。例えば歪みと流体、電磁波など、さまざまな要因に対する相互作用を見ることが求められるようになる。これはプラットフォームならではのニーズであり、この実現の鍵を握るのが、プラットフォームに適した次世代のコラボレーション」であるとする。

また、バッシ氏は、そうしたコラボレーションを実現する鍵を握るのが現在、同社が掲げている戦略「3DEXPERIENCE.WORKS」だとし、クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームをベースにSOLIDWORKSユーザーであっても、ダッソーの提供する各種ソリューションの機能を活用できるようになることを強調する。現在、「.WORKS」として存在が明らかにされているのは、製造工程ソリューション「DELMIAWORKS」、シミュレーション「SIMULIAWORKS」、プランニング「ENOVIAWORKS」。これにSOLIDWORKSを加えた4つのブランドが「共通言語のように、さまざまなのデータを一元管理するレイヤをベースに、統合された形で提供されるようになる」という。

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  • 従来のSOLIDWORKSはデスクトップソリューションと位置づけられ、3DEXPERIENCE.WORKSがクラウドソリューションという位置づけになる

さらに、「こうした取り組みにより、顧客との対話の仕方も変わってくることになる。これまではいかに機能が充実、拡充されたかの説明が中心であったが、今後は顧客のミッションの成功のために必要なアプリはどのようなものかについて話し合い、それを幅広いステークホルダ間で共通認識として理解しあうために必要な機能などが提供されることになる」とする。

従来の3D CADのみとしてのSOLIDWORKSとしての存在から、3DEXPERIENCE.WORKSという戦略を掲げたことで、SOLIDWORKSユーザーであっても、ダッソーの提供するさまざまなソリューションの機能を活用することが可能になる。こうした取り組みに対する同社の想いは強く、これまで年次イベントは「SOLIDWORKS WORLD」という名称であったが、2020年からは「3DEXPERIENCE WORLD」へと変更されるとしており、日本も3DEXPERIENCE WORLD JAPANとして開催される模様である。

  • 3DEXPERIENCE WORLD

    SOLIDWORKS WORLDは2020年以降は3DEXPERIENCE WORLDへと名称が変更される

なお、3DEXPERIENCE.WORKSとして提供される4つのブランドでは、ダッソーの従来ソリューションのようにフルに機能が提供されるのではなく、個別の機能を必要に応じて入手して活用するといった形になるようだ。バッシ氏も「.WORKSとして活用してもらうためには価格や使い勝手の問題がある」とはしつつも、SOLIDWORKSの顧客がそうしたツールを使う必要が出てくることは必然であり、順次、そうした顧客が必要とする機能の拡充を図っていくことで、SOLIDWORKSユーザーの利便性向上を今後も図っていくとしていた。