皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、教育資金と老後資金に悩む2児の母。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆教育資金をさらに500万円、加えて老後資金も用意できる?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、教育資金と老後資金に悩む2児の母親。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
かばさん(仮名)
女性/パート/38歳
近畿/持ち家・一戸建て

◇家族構成
夫(37歳)、子ども2人(9歳・7歳)

◇相談内容
昨年に新車を現金一括購入(諸経費込み330万円)し、貯金が一気になくなってしまってから、なかなか貯金が増えずに悩んでいます。

8年ほど前に家を建てたのですが、その際実家から資金を借りたため、ボーナスの際、毎回30万円ずつ返しており(残りあと8年)、その他レジャー費用や赤字補てんなどでボーナスを使ってしまいます。

子どもの習い事が高いと思っているのですが、どれもやめたくないと言われてなかなか削れずにいます。

私のパートはシフト制の勤務で、シフトを増やすことは可能ですが、腰を痛めてしまい長時間働けないのと、下の子がまだ小学校1年生なので、あと3年くらいは比較的シフトの希望がきく今の仕事を続けたいと思っています。

貯金の目的は教育費と老後資金です。学資保険に加入しておりますが、できたらそれとは別に500万円ずつ用意したいのと、できるだけ老後資金を貯めたいと思っています。

投資も考えていますが、今は資金がないのでできていません。おすすめの運用などありましたらお伺いしたいです。

言い訳ばかりで申し訳ないのですが、専門家の方のアドバイスをお願いしたく応募します。よろしくお願いします。

◇家計収支データ
「かばさん」の家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち(年間)
実家への返済60万円、生活費の補てん20万円、固定資産税・自動車税20万円、レジャー費20万円

(2)住宅ローンについて
ローン残高1500万円、10年固定(今年借り換え)金利0.95%、返済期間30年(完済時夫60歳)

(3)加入保険の保険料内訳
・夫/外貨建て終身保険(死亡保障500万円)=毎月の保険料1万円(86米ドル)
・夫/医療保険(終身保障、がん特約他)=毎月の保険料5500円
・妻/医療保険(終身保障、入院1万円)=毎月の保険料1500円
・妻/がん保険(終身保障、入院1万円)=毎月の保険料3500円
・子ども/学資保険(17歳満期、満期金250万円)=毎月の保険料1万円
・子ども/学資保険(17歳満期、満期金250万円)=毎月の保険料1万円

(4)子どもの進路について
2人とも私立高校の可能性あり(希望は公立)。

(5)教育費の内訳
運動系/1万4000円/6000円
ピアノ/1万4000円
通信教育/1万円
体操/6000円

(6)妻の社会保障について
厚生年金は現在未加入。これまでの通算加入は6年。

◇FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1:子どもの習い事には親の適正な判断が必要
アドバイス2:「月10万円」の貯蓄ペースの維持が大事
アドバイス3:ご主人45歳から確定拠出年金で積み立てを

◆アドバイス1:子どもの習い事には親の適正な判断が必要
ご相談は教育資金と老後資金の準備について。後ほど試算をしますが、現状では不安な部分がないとは言えません。

そのためにどう家計を見直すかですが、家計収支を拝見すると、毎月8万円貯蓄(学資保険を除く)されています。これはとてもいいペースですし、十分頑張っていると思います。今後もぜひ継続してください。

一方、ボーナスの支給額は高いのですが、貯蓄にまったく回っていません。しかも、生活費の補てんもされている。ここが改善ポイントになります。

とは言え、親御さんから借りている住宅資金の返済が終わるまでは、難しいかもしれません。なので、完済まであと8年間がまずは踏ん張りどころ。少なくとも今の貯蓄ペースを崩さず、さらにどれだけ貯蓄を上積みできるかということになります。

すぐに着手でき、かつ効果的なものとしては、固定支出の保険料があります。

外貨建ての終身保険は、必要性としては高くはありません。貯蓄性も考え、外貨建てにされたと思いますが、20年後、30年後の為替は誰にもわかりません。当然、元本割れの可能性もあります。その意味では投資と同じです。

しかし、現状を考えると、それだけのリスクは取れません。しかも、死亡保障としては不足しています。したがって、この終身保険は払済保険にします。

合わせて、割安な定期保険を新規加入。15年定期、死亡保障1000万円で保険料は月額2000円台前半でしょう。

他の支出費目については、優先順位の低いものを削るしかありません。それはかばさんご自身が判断する部分ですが、客観的に見れば、お子さんの習い事はいささか過大です。

「どれもやめたくないと言われてなかなか削れずにいます」とのことですが、それでも親として適正に判断すべき。

これで先の保険の見直しと合わせて月2万円は削減できます。毎月の貯蓄は10万円となり、結果的にボーナスからの生活費の補てんをしなくて済むことになります。

◆アドバイス2:「月10万円」の貯蓄ペースの維持が大事
では、その貯蓄ペースで教育資金は間に合うでしょうか。学資保険で1人250万円ずつ用意されています。

「できれば500万円は用意したい」とかばさんは言われていますが、大学にかかる費用は4年間で私立文系だと平均390万円、私立理系だと520万円ですから、確かにその程度さらに用意できれば、大学費用はひとまず安心でしょう。

家計を見直し、月10万円貯蓄できれば年間120万円。ほぼ4年間で、追加分は貯まる金額です。

しかし、気になる点があります。高校が私立になる可能性があるとのこと。私立高校にかかる学費は3年間で平均300万円ほど。2人なら600万円。そうなると、先の500万円に加えてトータルで1100万円。それでも9年で用意できることになります。

計算上は現状のペースでも、貯蓄もありますし、教育資金は用意できます。

しかし、怖いのは今後、貯蓄ペースが落ちること。それでなくとも児童手当は15歳までの支給ですし、生活費もお子さんの成長につれてアップするはず。

無理に節約をすることは逆効果ですが、やりくりをすれば「月10万円の貯蓄」は可能な範囲。その意識を持ち続けることが、結果的に貯蓄ペースの維持につながります。

さらに言えば、まだ気になる点はあります。東京や関西の大学に進学した場合です。生活費としての仕送り費用が発生します。平均は年100万円ほど。

まだそこまで心配する必要はありませんが、認識はしておくべき。また、そうなったとき、安易に奨学金を利用するようなことは避けてください。

◆アドバイス3:ご主人45歳から確定拠出年金で積み立てを
次に老後資金です。8年後には親御さんへの返済が終わりますので、単純に年間60万円が貯蓄に回せます。

高校、大学の費用で学資保険とは別に1100万円がかかったとすると、定年後までに上積みできる貯蓄はざっと2500万円。今ある貯蓄および投資商品と合わせて3100万円。

実際はこの間、クルマの買い替えや住宅の補修等でまとまった支出があるでしょうが、それでも定年時に手元に2500万円は残っているでしょう。これに退職金を加算すれば、それが老後資金となります。

それで足りるかどうかですが、目安としては、老後の生活費として公的年金でどの程度不足するのかということ。現時点での統計では、月額で約6万円不足(無職の夫婦世帯)していますから、65歳から90歳までの25年間で1800万円。

長生きリスクや医療費などを考慮して2500万円くらいが、とりあえず安心できる老後資金額といえるでしょう。

その意味では安心ですが、本当に足りるかどうかはわかりません。公的年金が65歳よりさらに先になる可能性も当然あります。

しかし、そのことを心配してもキリがありません。今できることは、貯蓄ペースをなるべく維持していくことと、60歳以降も働くことを前提に考えておくことでしょう。

また、運用については、親御さんの返済が終わったら、夫婦でそれぞれ個人型の確定拠出年金(iDeCo)を始めるのがおすすめです(ご主人の勤務先に企業型の確定拠出年金制度があれば、それを利用)。

目的は老後資金の準備となり、積み立てた資金は原則60歳まで引き出せませんが、掛け金は全額、所得控除となりますので、確実に節税につながります。

◆相談者「かば」さんから寄せられた感想
ボヤケていた事柄を数字で示してくださって、すっきりいたしました。保険はあまり考えずに加入してしまったので、早速アドバイスを参考に見直そうと思います。

iDeCoも今考えている最中で、金融機関を検討しております。習い事も削ることにしました。

あとは貯蓄をこつこつ頑張っていこうと思います。本当に色々とご指摘くださり、ありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

文=あるじゃん 編集部