ストラタシス・ジャパンは10月30日、都内で年次イベント「Stratasys 3D Printing Forum 2019」を開催。同社を取り巻く現状と、2020年に向けた取り組みの方向性などの説明を行った。

市販製品として3Dプリンタが活用される時代が到来

最初に挨拶に立ったStratasysの取締役副社長、EMEA &APJ担当であるガイ・ヤイール(Guy Yair)氏は、年々3Dプリンタ市場が成長を続けていることに触れ、その背景にはアディティブマニュファクチャリングのコストが低減してきており、その動きと併せて3Dプリンタの活用の範囲が広がりを見せていることを強調した。

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    Stratasysの取締役副社長、EMEA &APJ担当であるガイ・ヤイール(Guy Yair)氏

また、そうした動きに併せるように同社は、2019年4月に同社初のデスクトップ型FDM式3Dプリンタ「F120」および、同じく同社初となるSLA式3Dプリンタ「V650」、同年10月にも医療目的に特化した材料が使用可能なPolyJet式3Dプリンタ「J750」および、J750のアップグレード版となる「J850」と立て続けに新製品を発表しており、ストラタシスとしても3Dプリンタによるダイレクト製造というワークフローのシンプル化、ならびにアディティブマニュファクチャリングの実現に向けた取り組みを強化しているとする。

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  • 新製品となるJ850とその造形物。1回あたりの積層の厚みを増すことで、従来機比2倍の速度での造形を可能とする新モード「Super High Speed Mode(超高速モード)」を搭載する

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  • 新発表の材料を使った造形例

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    J750で造形された人形たち。かなり細かな色使いも可能

さらに、3Dプリンタの活用分野も高空中や自動車などを中心に伸びており、例えば自動車では中国ではBMWのミニクーパーのフロントサイドマーカーについて、ユーザーが独自にデザインしたものを3Dプリンタで造形し取り付けるといったサービスのような、開発ではなく販売された後の製品として活用するとったような動きもでてきたとする。

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  • ヤイール氏のプレゼンスライドより抜粋。ミニクーパーのフロントサイドマーカーを中国ではユーザーが自分でデザインし、それを3Dプリンタを用いて造形して取り付けてくれるといったサービスが行われており、市販の分野においても少量多品種ニーズに3Dプリンタが活用できるようになってきたとする

ちなみにストラタシス・ジャパンのゼネラルマネージャー ヘッド オブ ジャパンである森道明氏によれば、J850については、すでに日本でも東京リスマチックが購入を決定しており、11月の出荷開始の段階で、日本での1号機が納入される予定だという。

2020年は金属3Dプリンタの年に

ヤイール氏は2020年について、「エキサイティングな年。さまざまな製品が登場してくる。金属3Dプリンタも発表する。当然、日本市場にも投入していく」と、2020年に発表される予定の新製品として金属3Dプリンタを投入することを明言。詳細については2~3ヶ月以内に何らかの形でアナウンスできるとの考えを披露した。

また、2020年の製品ロードマップについては森氏も「2020年も(2019年同様に)春と秋に新製品のリリースを予定している。2020年度の早い段階で製品ロードマップを顧客向けに公開できるようになると考えている」と補足。毎年新製品が登場してくる状況から、ユーザーから購入した製品が陳腐化してしまう懸念や、新製品が出るまで購入を待つ、といったことを払拭するために、既存製品を下取りし、それを新規製品の購入費用に充ててもらうプログラムを展開しているとし、「興味のある担当者は販売店や代理店にコンタクトしてもらいたい」としていた。

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    2019年および2020年の製品ロードマップの概要。春と秋にどのようなものがでてくるかは、今後明らかにされる予定

ショールームを移転、3倍の規模に拡大

さらに、そうした販売代理店などとのパートナーシップの強化策として、新たに技術サポート体制の強化に向けJBサービスと、歯科分野に向けて白水貿易とそれぞれパートナー契約を締結したことを明らかにしたほか、東京に設置しているショールームを移転させることも明らかにした。

新しいショールームは2019年11月より稼動し、現在のショールームと比べて3倍の広さとなるため、より多くの3Dプリンタに興味を持ってくれている人たちに、ソリューションの紹介などが可能になるとするほか、2020年1月には、本格稼動に併せる形で開所式も執り行う予定だとしている。

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    ストラタシス・ジャパンのショールームが11月よりこれまでの3倍の広さになってリニューアルオープンされる