俳優・役所広司主演の日中合作映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁 Wings Over Everest』が、11月15日に公開を迎える。メガホンを握るのは、本作でデビューを飾るユー・フェイ監督。役所はなぜ、無名新人監督のオファーを受け、危険を伴う山岳アクションに挑んだのか。

ユー・フェイ

『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』ユー・フェイ監督

標高8,848m・氷点下83度、過酷な環境下にある世界最高峰・エベレスト。役所は、ヒマラヤ救助隊「チーム・ウィングス」を率いる隊長・ジアンを演じ、飛行機の墜落現場に残された重要機密文書を巡って、デスゾーン(危険地帯)に身を投じた隊員たちが異常事態に巻き込まれる様を描く。

ユー・フェイ監督は、過去に北極と南極を制覇し、ヨーロッパアルプスの最高峰・モンブラン、さらには標高8,163mのヒマラヤ山脈マナスルも完登した猛者だ。フランスのゲーム会社・Gameloftの中国グローバル副総裁として数々の人気作をプロデュースする中、「中国ではまだ誰もエベレストを題材にした映画を作ったことがなかった」「昔から憧れている映画のテーマ」などの理由から創作に着手。16年間務めていた同社を離れ、所有していた株をすべて売った資金で映画会社・Mirage Filmを設立した。

脚本執筆開始から映画完成に至るまで約4年を費やし、中でも「世界の半分を旅してでも、映画に最適な人を見つけたい」とキャスティングに並々ならぬこだわりがあったというフェイ監督。その後、プロデューサーとして加わった名匠テレンス・チャンが「世界で一番優秀な役者の一人」として役所の名を挙げ、フェイ監督も『十三人の刺客』(2010)、『失楽園』(1997)、『うなぎ』(1997)などで感銘を受けていたことから、役所へのオファーを決意する。

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約1カ月をかけて日本語に翻訳された脚本は、「これほどスケールの大きい作品は日本では体験できない」と役所の心を動かす。「中国と日本、ひいてはアジアが映画を通して交流し、同じ映画人として友情を深めていきたい」と常日頃から抱いていた役所にとっては絶好の機会で、脚本から伝わった「今まで経験したことがないアクション映画」と向き合った結果、「ぜひ俳優として挑戦してみたい」と決断したという。

役所との打合せを「とても楽しかった」と振り返るフェイ監督。「オーラがあるが全然威圧感がなく、優しいお方でした」とその人柄に惚れ込んだようで、「撮影の最初から最後まで、彼は新人監督としての私を支え、信頼と広い心を与えてくれた」と感謝の言葉を送っている。

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