大腸がん、胃がん、乳がん、子宮がんなど種類は様々で症状も異なります。しかし多くのがんに共通する初期症状があります。

◆多くのがんに共通する初期症状
がんは、体内の様々な臓器にできる可能性があります。それぞれの症状も当然異なるため、「早期発見が大切とはいうけれど、注意すべき初期症状も多種多様だということ?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

なかには、一体いくつの初期症状を知っていればよいのかと疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、がんの特性を考えれば、多くのがんに共通する初期症状の特徴があります。

ここではがんの早期発見に役立つ「多くのがんに共通する危険信号」について解説します。

◆血痰・血尿・血便はがんの初期症状?
がん細胞は急速に増殖するので血管が非常に豊富です。これらの血管は「新生血管」と呼ばれ、がんの増殖には欠かせない大量の酸素と栄養素をがん細胞に届ける役割をします。この新生血管は、通常の血管と少し構造が異なり血管壁がもろく、ちょっとした物理的刺激で破綻し出血します。

食道や胃、大腸などの消化管では、食べ物や便が通過するときの刺激でがんの表面から出血、気管や気管支では、怒責による血圧の上昇でも出血します。そうなると、当然のことながら、便や痰に血が混じってきますし、症状が進行した場合には、血液そのものが下血や喀血となって出てくることがあります。

特に痛みもないのに尿に血が混じる「無症候性血尿」は腎臓がん、女性の場合には月経周期とは関係なく出血する「不正出血」になると、子宮がんの可能性が考えられます。

いずれも、体から血液そのものや血液が混じったものが出てくるということは、通常では見られない現象です。もちろん、何の心配もない場合もありますが、がんの初期症状の可能性も少なからずありうると考えておいた方がよいでしょう。

◆腸閉塞や黄疸、水腎症ががんの初期症状の1つのことも
がんはその増殖によって固いできものを形成していきます。このできものが大きくなるに従って、通過障害を来す場合があるのです。

たとえば、大腸ではがんによって管が細くなり、便がつまってしまうことがあります。また、少しわかりにくいかもしれませんが、肝臓や膵臓からの消化液の流れが膵臓にできたがんによって閉塞してしまうことも。

尿の流れが妨げられるような位置にがんができると、腎臓から尿がうまく流れない状態になってしまいます。

これらの結果、腸閉塞や皮膚が黄色くなる黄疸、腎臓が腫れてしまう「水腎症」を引き起こす恐れがあるのです。これらはいずれも、ある程度の進展によって起こってくることが多いですが、できた場所と状態によっては、初期症状の1つとして見られることがあります。

◆自覚症状があるなら医療機関受診を
ご説明したように、出血や閉塞といった症状はがんの部位によらず共通のものですので、そのような症状が出た場合には、医療機関を受診し、医師に相談されることをお勧めします。

それともう1つ、気をつけていただきたいことがあります。

極めて非科学的なことではあるのですが、私自身が患者さんとお話ししていて感じるのは、「何となくいつもと違う感じがした」「今回はまずいと思った」といった風に、患者さんご自身が何かしらの不安を強く感じられて受診されたケースも少なからずあるということです。

もちろん心配しすぎる必要はありませんが、こういった第六感も時と場合によっては、早期発見の隠れた特徴かもしれません。症状にしても、こうした不安感にしても、気になることがあれば、是非、お近くの医療機関にご相談くださいね。

初期症状について解説しましたが、がんの早期発見にはやはり定期的な検診や人間ドックが有用です。

文=狭間 研至(医師)