『マレフィセント2』映画評「期待外れの続編、アナ雪のカタルシスには程遠い?」

アートやエンターテイメントではなく、商業映画について語る人は、決まって『マレフィセント2』のような映画を話題にしている。2014年公開の精彩に欠く『マレフィセント』の続編にあたる同作は、鮮やかな色彩に彩られているが、残念ながらハートではなくデジタルハードウェアに頼りきっている。

アンジェリーナ・ジョリーの氷のような眼差しくらいしか印象に残らないが、マレフィセントのいったいどこが邪悪な女王(原題:Maleficent: Mistress of Evil)なのだろう? たしかに、黒い角を生やしビニール製の衣装をまとい、オオカミのような目をしたマレフィセントの外見は恐ろしい。2014年に公開された前作では、恐ろしいヴィランのマレフィセントが自ら呪いをかけた人間の子供=オーロラ姫を愛するようになった経緯が細かく描かれていた。そしていまや、強い意志を持つ美しいティーンに成長したオーロラ姫(エル・ファニング)は、復讐に燃える女王で母(ミシェル・ファイファー)の反対を押し切り、ハンサムなフィリップ王子(『ブルックリンの片隅で』のハリス・ディキンソン)との結婚を熱望する。すぐに飽きてしまうが、ファイファーとジョリーが繰り広げる睨み合い対決を観るのは楽しい。でも、ストーリーはいかがなものか。

脚本家リンダ・ウールヴァートンはこの退屈な映画を活気づけるため、さらにふたつの伏線を用意した。だが、いずれも『アナと雪の女王』とブロードウェイ・ミュージカル『ウィキッド』のつまらない部分ばかりを拝借した内容だ。映画を観にきたファミリー層は、マレフィセントと妖精たちを滅ぼそうとする女王の姿を観て楽しいと思うだろうか? 幸いにも、監督のひとりとして『コン・ティキ』と『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』を手がけたノルウェー出身のヨアヒム・ローニングによる不器用な演出のおかげで、内容はまったく入ってこない。どうやら、監督は重労働をプロダクションと衣装制作チームに丸投げしてしまったようだ。『それでも夜は明ける』に主演した名優キウェテル・イジョフォーが”ダークフェイ”という報われない役を演じているのも実に残念。イジョフォーは、女王が赤い鉄製の粉でコウモリのような翼を持つ同族を滅ぼそうとするのを止める役だ。スーパーマンのクリプトナイトよろしく、妖精たちはこの鉄の粉とやらに弱いようだ。

ところで、主役のマレフィセントはいったいどこへ行ってしまったのだろう? 映画を最後まで観ないと帰れない、という呪いにかけられた観客とは対照的に、マレフィセントは何度も姿をくらましては偽のエンディングへと観客を導いていく(筆者が数えたところ、9回はそんなシーンがあった)。これにはあまりにもウンザリさせられるので、観終わったころには出口に向かってダッシュする気力もなくなっている。だが、『マレフィセント2』にはひとつだけポジティヴな面がある。映画を観終わると、2時間生き埋めにされていた状態からようやく解放されたような清々しい気分になるのだ。