探検家・舟津圭三×写真家・石川直樹 対談 後編「地球の未来はどうなる?」
10年後、20年後に、社会の中心となっているはずの若い世代へ向けて、これからを生き抜くヒントを探してもらうTOKYO FMの特別講義「FM FESTIVAL未来授業」。10月20日(日)の放送では「FM FESTIVAL2019 未来授業 プレスペシャル 地球が教えてくれること~THINK SOUTH FOR THE NEXT~」と題し、今月3日(木)に都内で行われた公開授業の模様をお届けしました。

舟津圭三さんと石川直樹さん



◆環境問題を前に考えること
30年前、南極を犬ぞりで横断した探検家の舟津圭三さんと、かつて、7大陸の最高峰に、世界最年少で登頂した写真家の石川直樹さん。探究心の塊のような2人が、地球を歩いて見てきたこと、感じたこと、この星の未来を語りました。司会進行は「SCHOOL OF LOCK!」とーやま校長がつとめました。

とーやま:続いてのテーマは「環境問題に対してどんな一歩を踏み出せば良いか」。世界のあちこちに足を運ばれているお2人は、旅をしているうちに環境問題に直面することってありますか?

舟津:あります。僕が最初、南極を横断したとき、南極半島の棚氷という海の上に一部せり出している氷の上を渡っていたんです。けど、30年経った今、棚氷の一部は切り落ちて、海になってしまっている。西南極は氷の流出の問題が深刻なんです。アラスカに関しても、昔はマイナス45度が1週間くらい続く日なんてざらにあった。今はだいぶ状況が変わってしまった。ちょっとした気候の変動一つとっても、環境問題について考えさせられますね。

石川:温暖化に限らず言えば、文明化による環境問題についても考えなきゃいけないと思います。僕はミクロネシアの島々に通っていたこともあるんですけど、そこでは少し前まで、バッグといった日用品は植物で作られていたんです。捨てても土に還るように。でも、今ではプラスチックに取って代わってしまっていて、自然に還ることなく、そのままゴミとして残るようになってしまった。島全体も昔に比べたら、とても汚くなっている。そういうことを目の当たりにすると、環境問題をどうにか解決しなければいけないなって思います。

とーやま:僕たちは今、どう対処していけばいいんですかね? そういう変化を見てきた2人から考えるヒントのようなものをもらえると嬉しいのですけど。

石川:うーん。環境問題ってドラスティックに変わるもんじゃないんですよね。ちょっとずつ悪くなるし、ちょっとずつ良くなるかもしれない。だから、小さな一歩が大事なのかなって思います。本当に綺麗な、大きな、自然を目にすると言葉が出なくなるんですよ。自然を汚すことなんてできなくなるんです。だから、何かを直接的に訴えかけるよりは、そういう自然の偉大さを知ってもらうことが大事なのかなって思いますね。

舟津:地球に生まれてくるということが奇跡なんですよ。僕は自分の命が何でここにあるのかって不思議に思うことがよくあるんです。奇跡的な命を僕たちは頂いているんだっていうことを忘れてはいけない。確かに、そうは言っても、普段の日常生活じゃあ、そんな認識は持ちづらいかもしれない。けれど、石川さんがさっきおっしゃったように、大自然の素晴らしさを目の当たりにすると、この世に生きてることの奇跡というものを実感できると思います。その瞬間に感謝の念っていうのは生まれてくるのかなって気がしますね。

会場で記念撮影も



◆日頃の便利な生活を捨ててみる
とーやま:(会場の)みなさんから何か質問や感想などありますか?

学生D:お2人のお話を伺いながら、エコについて考えさせられました。でも、今日の学びを1ヵ月後、2ヵ月後に活かせるか自信がありません。時間が経つにつれて、今日は電気つけっぱなしだけど、それでも地球は回ってるわけだし、別にいいか、みたいに考えそうで。そうやって短距離では走れるけど、長距離で走れない人に対して何かアドバイスはありますか?

石川:僕の場合は、1年のうち、2、3回くらい自分より大きな自然のなかに入っていくので、忘れかけるとそこでまた思い出します。そんな生活を20年くらいしていると、身に染みついてきて短距離が少しずつ長距離になっていくんです。だから、少しでも、自然のなかに身を置くということを心がけると良いかなって思います。

舟津:そうですね。不便な生活を厭わずしてみるというのも良いかなって思います。キャンプに行くのでも良いし、とにかく、日頃の便利な生活をたまに捨ててみる。そうすると、自然のありがたみというのを感じることができると思います。

◆冒険家たちが抱く、これからの野望
とーやま:僕から質問なんですが、これからお2人が目指している場所、挑戦したいことなどありますか?

石川:現実的な話をすると、来年にカンチェンジュンガというネパールの山を登ろうと考えています。K2に次ぐ、世界第3位の山ですね。もうちょっと夢想的な話をすると、僕ね、火星に行きたいんですよ。火星にも山があるんです。オリンポス山っていう標高3万mの山。登るのはいくら何でも難しいと思うので、麓から眺めてみたいなぁ。8,000mの山を見るだけでその佇まいに驚くのに、3万mってどんな感じなんだろう、と。でも、僕は今、42歳なんだけど、あと40年後くらいにはギリギリそういうところまで行けるんじゃないかなって思いますね。

舟津:僕は、今、アラスカから北海道に生活を移しているんです。NIKI Hillsワイナリーというところで、いろんなプロジェクトに挑戦しています。たくさんの人たちに来てもらって、北海道の大自然を楽しんでもらうための場所作りを当面はやっていきたいですね。それが終わったらまた旅に出るかもしれない。

とーやま:僕の実家、北海道なんで、舟津さんの知り合いヅラして遊びに行っちゃいます(笑)。それでは、最後になるんですけど、お2人から若い人たちに何かメッセージがあれば。

石川:今日、集まってくれた多くの人は大学生だと思います。大学生って、就職活動がどうとか、いろんな悩みがあるんです。でも、さっきも言ったけど、どうやってでも生きていけるんです。だから、自分の夢を諦めないでください。それと、僕自身のことを振り返って考えると、20代の前半が一番大切な時期だった気がします。あのとき、本をたくさん読んで、いろんな場所に旅をしたりしたから、今がある。みなさんも、自分の限りあるリソースのなかでなんでもいいからやってみてください。

舟津:好奇心をぜひ、持ってください。こうやって話を聞くというのも良いと思うんですが、いろんな人に出会って、その都度、さまざまな思いを抱くというのも大事だと思います。確かに困難も待ち受けているかもしれません。でも、困難があるからやらないっていうのは勿体無いと思う。チャレンジ精神ですよね。若いんだから、やり直しだっていくらでもききます。自分の可能性を信じて、情熱を持って、挑戦してもらいたいです。

とーやま:実際にチャレンジ精神を離さずにやってこられたお2人だから重みのあるお言葉ですね。みなさん、お2人のメッセージを胸に、冒険に出かけましょう。

<番組概要>
番組名:FM FESTIVAL2019 未来授業 プレスペシャル 地球が教えてくれること~THINK SOUTH FOR THE NEXT~
放送日時:10月20日(日)19:00~19:55
出演者:とーやま校長
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/future/fes/