アラフォーになると年齢による体力の低下や、容姿の変化を感じ始める方が増えてきます。

◆アラフォーは疲れや不調が出やすい? 年齢・加齢に伴う心身の不調
アラフォー世代は、それまで「若さ」でカバーしてきた心身の不調に対して、頑張りが利かなくなってくるこの年代です。

私が受け持つ漢方相談でも、40代前後の方からは「昔のように無理が利かなくなってきて……」というご相談をよくいただきます。健康診断などで生活習慣病の項目にチェックが入ってしまう方も増えてくる時期です。

30代から40代へと年齢を重ねるにつれ、細胞の機能は低下し、循環器や血管が衰えていきます。筋肉量が落ちることで運動能力も下がり、糖尿病や高血圧、肥満傾向になりやすいなど体の変化が起こります。

この時期にそれまでと同じように夜遅くまで働いたり、暴飲暴食をしたりといった、体に負荷がかかる生活習慣を続けてしまうと、がんや、心臓病、脳梗塞などの発症リスクが高くなる50代以降の健康にも悪い影響を及ぼします。

病気になってしまってから、後悔して生活を改める方は多いのですが、発症してしまった病気を気にしながら生活していくことは、やはり大きなストレスになるものです。可能な限り、病気になる前の段階で発症を防げるよう予防していきたいものです。

また、40代以降は容姿の衰えも顕著になってきますが、それらの悩みの根底にも日々の生活習慣が関わっています。健康的な生活習慣を整えることは、健康の維持だけでなく、容姿の変化を穏やかにしていくことにも役立ちますから、取り入れない手はありません。

◆「腎虚(じんきょ)」「肝の不調」とは……中医学に基づく加齢による変化の考え方
ここからは、中医学の知見を元にした、健康面・美容面での注意点とケアをご紹介します。

加齢に伴う変化を中医学では「腎虚(じんきょ)」と言います。加齢に伴う変化は、内分泌系、泌尿・生殖器系、免疫系などを司る「腎の機能の衰え」であるという考え方です。加えて、ホルモンバランスの崩れや、自律神経の不調が現れることを「肝の不調」と捉えます。

「腎虚」や「肝の不調」により、血流が悪くなる「瘀血(おけつ)」、代謝が落ちて老廃物が溜まってしまう「痰湿(たんしつ)」の状態などが引き起こされ、生活習慣病につながると考えられています。

◆腎のケア方法……良質な睡眠で腎の負担を軽減
生活習慣の乱れは、さまざまな役割を持つ「腎」に負担をかけてしまいますが、もっとも影響が大きいのは、睡眠不足です。

睡眠時間が確保できていたとしても、

・眠りが浅い
・寝付くまでに時間がかかる
・物音などですぐ目が覚める
・中途覚醒があり、その後眠れない
・よく夢を見る

などの症状がある場合は要注意。朝、すっきり起きれることを目安にご自身の眠りの質を見直して、基本的には、23時にはお休み頂くことをお勧めしています。

また、デスクワークが多く、平日だけではなく、休日も運動習慣がない場合も、意識して改善させていきましょう。隙間時間でいいので、スクワットなどの運動で下半身を強化することがお勧めです。

◆肝のケア方法……ストレス対策と食べ方の工夫を
肝の不調を避けるには、ストレスを溜めすぎないことが大切です。

ストレスを完全に避けていきていくことは難しいので、

・ストレスの発散方法を見つけておく
・ストレスがかかった時、俯瞰して対応できるよう訓練しておく
・ストレスの原因になることから、できるだけ距離をとる


など、ストレスが溜まってしまった時に、うまくコントロールできる術を身につけておくといいですね。

また、肝の働きは胃腸とも関わりが深いので、ストレス発散に暴飲暴食に走ってしまうのは、お勧めできません。

若い時には、負担が少なかったかもしれませんが、イライラを食で発散させたくなった場合でも、美味しいものを少量召し上がることで満足感をあげるといった工夫を積極的に取り入れていきましょう。

◆簡単にできる「呼吸法」で腎・肝の働きをサポート
そして、「腎」「肝」両方のケア方法としてお勧めなのが「呼吸法」です。

中医学では、浅い呼吸は「肺」、深い呼吸は「腎」がコントロールしていると考えられています。深い呼吸をゆっくりと行えると腎の働きを助けることができます。

また、「肝」が高ぶってしまっている時、つまり緊張感がある時や、イライラしてしまっている時は、落ち着いて深呼吸をすることで、リラックス効果があり、「肝」の高ぶりを抑えることができます。

日々の呼吸を意識するだけなら、コストもかからず、場所も時間も選ばないので、今からでもすぐに実践可能です。これだけで健康につながる養生ができるのは、とてもよい方法だと思います。

養生は習慣化するまでは大変に感じる方もいますが、慣れてしまえば負担なく継続できます。健康と美容への大きな投資になりますので、できることからぜひ取り組んでいってください。

文=住吉 忍(薬剤師)