食べる速さは個人差が大きく、同じ食事でも食べるのが速い人も遅い人もいますが、早食いはメリットよりもデメリットの方が勝ります。

◆食べるのが速い人の特徴……食べ方だけでなく、嗜好・生活習慣の共通項も
食べる速さにはかなりの個人差があります。食べるのが速い人の食べ方には、「一口の量が多い」「噛む回数が少ない」「噛み方が弱い」といった傾向がよく見受けられます。

食べ方だけでなく、ステーキよりハンバーグといったように柔らかい食べ物の方を好むなどの嗜好があったり、虫歯や歯の本数が少ないなど歯に問題があったりする場合も、食べるのが速い傾向があるようです。

また、家族やグループで食事をする人に比べ、一人で食事をすることが多い人も、人と話すことがなく黙々と食べてしまうため、食事時間が短い傾向があります。

◆食べるのが速いことのメリット・デメリット
食べるのが速いことのメリットは、言うまでもなく食事以外のことをする時間が増やせることです。非常に忙しい人はゆっくり食事をする時間が取れず、必要に迫られて食べるスピードが速くなることもあるでしょう。

ただし、食べる時間を短縮して他のことに時間をあてるためには、孤食にならざるを得ません。誰かと一緒に食事した場合、自分だけが早く食べ終わっても、通常は相手を待つことになるものです。

そう考えると、孤食をしている寂しいタイミングでしか、食べるのが速いことのメリットは享受できないような気がします。

早食いのデメリットとしては、体に余計な負担をかけてしまうことが挙げられます。

食べるのが速い人は、どのような理由であれ十分に噛めていないことが多いです。そのため本来なら口の中(口腔内)ですべきはずの消化を胃で肩代わりすることになりますので、その分、消化吸収が上手く行われにくくなり、体に負担がかかってしまいます。

◆「早食いすると太りやすい」は本当か
「早食いすると太りやすい」という説を耳にしたことがある人は多いと思いますが、これは本当です。研究論文でも、食べるスピードが速い人は太りやすいというデータがあります。

例えば、「女性の食行動におよぼす肥満意識の影響」の報告(日本食品工業学会誌)では、「自分で太っていると思っている女性は食べるのが早いと思っている」と記されていますし、「総コレステロールが高値を示す小学5年生の生活および食習慣:肥満児との比較(PDF)」などの報告(小児保健研究)では、「食べるのが速い人は太っている人が多い」という結果が出ています。

ダイエットしたい人は、食べる速さを意識してみることも有効かもしれません。

◆よく噛んでゆとりをもって食べることは健康の第一歩
昔は、「早食いも芸のうち」と言われたようですが、昨今ではそのような風潮はなくなりました。

忙しいときは食事時間を削って……と思いたくなったり、実際に食事時間を削ったりしてしまうこともあるかもしれませんが、よい仕事をしたり、よい成績をとったりするためには、体が資本です。健康な体のためにできることの一つが「栄養バランスのよい食事を、しっかり噛んで食べること」です。

食べるのが速いという自覚がある方も、いつも慌ただしく食事を済ませてしまっている方も、食事は少しでも時間のゆとりを作って、ぜひ「しっかりと噛む食事時間」を持つようにしてください。

文=平井 千里(管理栄養士)