近年、地震や台風、大雨などの災害が増えています。そうした災害により、電気やガス、水道などライフラインが止まってしまうという事態が、毎年日本のどこかで必ずと言っていいほど起きています。

これまで非常時の備えに無関心だった人も、「さすがに準備しておかないといけない」という気持ちになっているのではないでしょうか。ただ、非常時の備えと言っても、何をどのくらい備蓄しておけばいいのかわからないものです。

特に食料は、買いだめしすぎて、消費期限を切らせてしまってももったいないですね。そこで今回は、節約&エコが叶う非常食の備え方について、まとめてみました。

  • 災害時の「非常食」を節約&エコにする方法は?

    災害時の「非常食」を節約&エコにする方法は?

非常食はどのくらい備えておくべき?

非常食を準備する時、はじめに気になるのが「何日分備蓄しておくのがいいのか」という点でしょう。以前までは、「水や食料は3日分」と言われていましたが、道路の寸断で流通への影響が出た場合や自宅での避難生活が長期化した場合も考慮し、最近では「1週間分は必要」という考え方が主流になってきました。

避難所へ物資をもらいに行くのが大変な人や、集合住宅の高層階に住んでいて水や食料の確保が困難な人は特に、余裕をもって備えをしておきましょう。

調理や生活の様々な用途に使う水は、多めに用意しておきたいものです。飲料水は、調理に使う分を含め、1人あたり1日3リットルは必要とされています。3人家族なら、3リットル×3人で1日9リットルとなります。

さらに、生活用水もとなると、充分な量の備蓄をしておかなければなりません。飲用以外の生活用水は、空のペットボトルに水道水を詰めて保管しておき、1ヶ月程度に一度、交換するようにしましょう。飲用とする時は、煮沸してから飲めば心配いりません。

次に食料ですが、こちらも1週間分×家族の人数を備えておきましょう。ただし、実際には、普段から家に数日分の食料ならあるというご家庭が多いのではないでしょうか。となると、足りない分の食料を備えておくだけで大丈夫です。水も、普段から備蓄しているなら、その分を除いて1週間に満たない分を用意しておきましょう。

食料を無駄にしない「ローリングストック」とは

■ローリングストックとは
備えておくべき非常食の量がわかったら、早速買い足したいですね。しかし、多くの人にとって災害時用の非常食は、まさに「非常時の特別なもの」であり、普段は食べ慣れていません。最近では、美味しく食べられる非常食も多くなりましたが、それでも「いつもの食事とは別のもの」と考える人がほとんどでしょう。このような、毎日の食事とは分けて非常食を保管しておくと、いつの間にか消費期限が切れたり、買ったことさえ忘れてしまったりしがちです。

そこで、日常的に食べている食材や加工品を普段から少し多めに買っておき、使ったらその分を買い足しておく、という備蓄方法がおすすめです。つまり、日常生活に備蓄を取り込み、常に一定量の食料を備えておくのです。この方法を、「ローリングストック」と言います。

■ローリングストックのメリット
ローリングストックの良い点は、いつも食べている食料を消費しながら備蓄できる点です。これなら、いざ災害が起きた時にも、食べ慣れている食事をとることができます。また、消費しながら買い足すサイクルを繰り返すことで、買い忘れや消費期限切れを防ぎ、非常食の鮮度を保つことにもつながります。

何より、「非常食」として特別なものをわざわざ買い足す必要がありませんので、出費を抑えられますね。期限切れで廃棄することもないので、節約&エコが叶う備え方なのです。

■ローリングストックのポイント
ローリングストックを実践する時には、必ず古いものから使うようにしましょう。備えておく時に、「左から使う」など自分なりのルールを設けておくと間違いがありません。また、使った分はすぐに補充し、備蓄を切らさないことが重要です。

災害はいつ起こるかわかりません。「ストックがなくなったタイミングで被災した」ということにならないよう、消費の直後に買い足しておくことです。

備えておきたいオススメの食料やグッズ

非常食として備えておくと良い食材は、缶入りの野菜やホールトマト、シーチキン、フルーツミックス缶、おでんやサバの味噌煮など総菜系の缶詰です。また、レトルト食品は、加熱調理済みのため、そのまま食べることができます。

他にも、味噌汁用の乾燥わかめやお湯で調理できる乾麺なども重宝します。お米は、水が節約できる無洗米が便利です。いずれにしても、普段から消費できるものを選ぶと、ローリングストックで備蓄できますよ。

食料を備えたら、調理のためのカセットコンロとガスボンベも必ず備蓄しておきましょう。アウトドア用品の調理器具もおすすめです。また、避難生活が長期化して食事で十分な栄養が摂れない時のために、ビタミン剤などのサプリメントもあると役立ちます。

日常生活の延長で備えを考えよう

非常食を備えても、災害が起こらず、その非常食を使う機会がなかったとしたら、それ自体は良いことです。しかし、食料は消費期限がありますし、使わないまま捨ててしまうのは、やはりもったいないですよね。

普段から消費していて、非常時にも使えるものをいつもストックしておく。そうすれば、お金も食料も無駄にせず、しっかり備蓄ができ一石二鳥です。