相談者は、昨年、今年と立て続けに引っ越しをして貯金を減らしてしまったという49歳のパート主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆昨年転勤で車2台と持ち家を処分し、賃貸暮らしに。今年も引っ越しをすることに……
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、昨年、今年と立て続けに引っ越しをして貯金を減らしてしまったという49歳のパート主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
コロネさん(仮名)
女性/パート・アルバイト/49歳
九州/借家

◇家族構成
夫(42歳)、子ども(12歳)

◇相談内容
貯金が増えません。昨年夫の転勤のため、車2台と持ち家を処分し、賃貸暮らしとなりました。定年まで動かないであろうことを前提とした引っ越しでしたが、今年また転勤で引っ越し。引っ越し費用などは会社持ちではありますが、家電の買い替え時期なども重なり、貯金は減る一方です。

また、去年の転勤で夫の給料は月10万円以上手取りが減り、私がパートからフルタイム派遣になることでなんとかしのいできました。今年は夫の給料が2万~3万円増えましたが、地域の派遣時給の相場に格差があるため、私の給料が3分の2になってしまいました。なので、世帯収入は変わらず苦しいままです。

食費もなかなか減らず(親からの援助などありません)、貯金も増えません。車が買えないならせめてバイクに乗りたい、という夫にため息しか出ません。働いても、働いても楽にならず、老後も教育費も心配です。

◇家計収支データ
相談者「コロネ」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)収支について
2万円ほど残る計算ですが、残らない時(マイナスの時もあり)もあります。給料に変動があるため、残ったら衣料や私の美容室代、教育費用積立に入金する、などに使っています。

(2)住居費について
会社6割、自己負担が3万3000円です。7年後には住宅手当がなくなります。

私たちの希望としては、住宅手当のなくなる7年後に、今住んでいる地域に家を買いたいと思っていたりしますが、厳しい状況なので市営住宅などが現実的かと思います。

車2台を売却して20万円ほどですが、家のゴミ処分費用(親と同居していたため二世帯分)で消えました。家の売却益50万円は、夫の単身赴任時や私の失業中の赤字補てん、家電の買い替え、転勤先に家を決めに行くための旅費などでなくなりました。

私の実家はすでになく、何も相続するものはありません。父は高齢者用住宅で独り暮らしをしています。

夫は地方に実家はあるが、夫の姉が離婚し、シングルマザーであることから、夫の両親は「家はお姉さんにあげるから」とのこと。そもそも田舎で不便な家なので、私たちは住む気はなく、夫と夫の姉で話し合って決めたらいいと思っています。

(3)教育費について
児童手当は、すべて学資保険の支払い(年間12万円)にあてています。子どもの進路については、高校までは公立で、と思っているが、本人の希望があれば私立でも行かせてあげたいです。大学は自宅から通学できる所でと思っています。

(4)ボーナスの主な使い道について
・家のリフォームローンボーナス払い分:5万円
・子どもの塾(夏休みなどの講習):5万円
・帰省費用:15万円
・夫小遣い:6万円
・ほか、赤字補てん(衣料品や家電、生活費)

(5)加入保険について
●夫の会社の団体保険
・夫/生命保険:死亡保障2000万円、入院日額5000円
・妻/生命保険:死亡保障300万円、入院日額5000円
=2人分を毎月給料から天引き9700円
※配当金が年に1度5万円ほどあるので、その分を家の火災保険等に充てている。

●夫・妻/ガン保険(それぞれガン診断時100万円)=毎月の保険料:2人で3300円

●妻/積立利率変動型終身保険(死亡時100万円)=毎月の保険料:5300円(2022年8月まで支払い)
※60歳で解約すると掛け金合計を上回るとのことなので、貯金代わりに続けている。

●学資保険(15歳50万円、18歳180万円受取)=12万円(年払い)

(6)家族の小遣いの内訳について
夫の小遣いのみ。お昼ご飯や飲み会なども含まれます。

(7)お勤め先について
夫の定年は65歳ですが、今の会社で60歳過ぎた方は少ないため(体力がいるから?)、定年までいられるかどうか不安もあります。けれど、夫は今年の赴任先が性に合うらしく、また給料も回復してきているので、今は転職する気はなさそうです。

今後また転勤になる可能性はありますが、家賃補助が切れる7年後までは今の家に住み、その間に転勤があれば単身赴任してもらう予定です。

転職しないならば、なるべく最後まで頑張ってほしいです。それ以降も夫婦とも健康であれば何かしら働きたいと考えています。

(8)年金について
・夫:65歳から受給開始、94万円/年
・本人:65歳から受給開始、61万円/年
個人年金は掛けていません。会社の確定拠出年金のお知らせによると、資産評価額は31万円ほど。

(9)追記事項
昨年も今年も引っ越しあり。家を探しに行く時の旅費や家電の買い替え、ゴミ処分、実家への帰省費用などで大きいお金がどんどん出ていった感じです。財布の紐がゆるみすぎました。

これまでも、月2万円積み立てて10万円貯まったころに車が壊れ、修理代に飛んでいくという感じで、なかなか貯まりませんでした。

食費も3人にしては多いと思いますが、失業中に節約料理や割引の日に買い物するなど、やってみましたが、結局減らず。確かに皆たくさん食べているとは思いますが、どうしたらいいのかわかりません。

子どもを自立させ、元気なうちは働き、慎ましく老後を過ごしたい(でも猫が飼いたい)、というのが今の望みです。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:家計の見直しで、子どもの教育費を捻出する
アドバイス2:7年後から夫婦の老後資金を全力で貯める
アドバイス3:本人は厚生年金加入で年金受給額アップを

◆アドバイス1:家計の見直しで、子どもの教育費を捻出する
転勤続きのうえ、収入も減ってしまうというのは、なかなか厳しい職場ですね。

ご主人は今のところ転職などを考えておられないということですから、現状の収入で、いかに子どもの教育費を捻出するかが、当面の課題となります。

収入が思うように増えないのであれば、家計の見直し、それも「聖域」なしで、シビアに考えなくてはなりません。

まず、7年後には住宅手当がなくなるとのことですから、この7年が最初の頑張りどころとなります。見直しすべきなのは、食費、通信費、夫の小遣い、そして帰省費です。

食費については、いろいろと節約料理を実践したものの食費を減らせなかったとのことで、確かにお子さまも食べ盛りで削減するのは難しいかもしれませんが、やはりここは1万円でも減らす工夫をしてほしいと思います。

たとえば、結果的に食費に7万円かかった、ではなく、食費は月6万円と決め、1週間の予算は1万円、4週で4万円。5週ある月はプラス1万円。節約疲れにならないように1万円は予備費やお米代に。これで6万円。

食材や料理法を工夫することも必要ですが、使える額を先に決めて、その範囲内で買い物を収めるというやり方もあります。

通信費については、ご主人の携帯代の見直しは無理でしょうか? 格安プランなどで、あと2000円でも減らせる方策がないか検討してみてください。また、ご主人のお小遣いを1万円減らす交渉をしてみてください。

食費、通信費、ご主人の小遣いの調整で、4万円を捻出し、これに児童手当の1万円を加えて、毎月5万円の貯蓄を。

現在、毎月2万円は貯蓄できているわけですから、実質3万円の上乗せです。これが今後の生命線になります。さらに、コロネさんの社会保険料が9月からかからなくなった分、1万8000円も貯蓄に回せます。

ボーナスの使い道のなかから、削れるのは、帰省費です。実家に帰省するのは、大事なことですが、2年に1回などにして、ボーナスから貯蓄できるようにすることが、今の段階では重要です。

ボーナスからのご主人のお小遣いも、減らす交渉を。ボーナスから半分~20万円の貯蓄をすること。これも今後の生命線となります。

都合、毎月6万8000円、ボーナスから20万円で年間100万円貯蓄することを目標にしてください。今後7年間で700万円貯められれば、子どもの教育費(一般的に1人700万円程度)はまかなうことが可能となります。高校まで公立であれば、大学進学も無理ではありません。

◆アドバイス2:7年後から夫婦の老後資金を全力で貯める
7年後に残る金融資産は、現在の184万円と学資保険の満期金分の230万円。合計414万円です。ここから引っ越し費用として100万円を支出すると、残りが314万円ということです。

ここから先は、教育費の心配がないので、ご夫婦の老後資金を全力で貯めることになります。

7年後には、ご主人は49歳。コロネさんは56歳。リフォームローンも終了します。

住宅手当がなくなる分、家計が厳しくなることは予想されますが、年間80万円を目標に、貯蓄を続けることができれば、ご主人が60歳になるまでの11年間で880万円。都合、約1200万円まで増やすことができます。

さらにこの先は、ご主人も、コロネさんも、公的年金の不足分を収入でカバーできるように、できるだけ長く働くことが必要になってきます。残念ながら住宅購入は、現状のままでは、難しいと思われます。

◆アドバイス3:本人は厚生年金加入で年金受給額アップを
ここまで、現在の収入で試算してきましたが、はっきり申し上げて、ご主人は42歳、コロネさんも49歳。お子さんは中学生で、すでに手がかかる時期は過ぎています。

この時期に貯蓄ができないのは、あまりにももったいない。人生最後の貯めどきは、お子さんの教育費の目途がたち、定年退職するまでといわれていますが、今のコロネさんの家庭は、今が稼ぎどき、貯めどきであるのは間違いありません。

ご主人がバイクに乗りたいなら、転職するか、収入を増やせるよう、現在の職場で頑張るしかありません。

コロネさんはフルタイム派遣が可能なスキルをお持ちのようですから、厚生年金に加入できる派遣で、可能な限り収入を増やすこと。収入に比例して、将来の厚生年金受給額を増やせるようにするには、今の働きが大切です。

そうすることで、老後の年金受給額は、現在の想定額より増やせると思います。

ご主人の会社の確定拠出年金も増えていくでしょうから、退職金があてにならないのであれば、自助努力で老後資金の確保をしていってほしいと思います。

最後に、保険についてですが、現在加入の内容で、特に問題はありませんが、ご主人の医療保障がやや不安ではあります。入院日額5000円がありますが、ご主人が病気・ケガで入院となった場合、入院日額が1万円あれば、安心です。

共済であれば月2000円程度の掛け金ですみますので、保障の上乗せも検討してみてください。

当面の7年間、頑張ることができれば、あとはどんな老後を過ごしたいかによって、必要な資金も変わってきます。貯蓄ペース次第ですが、うまく乗り切れれば、猫ちゃんを飼うこともできますよ。ぜひ、そうできるように、今、もう少しだけ、頑張ってみてください。

◆相談者「コロネ」さんから寄せられた感想
詳しいアドバイスありがとうございます。今が貯めどき、という言葉に驚きもありました。一生貯めどきなどこない、と諦めの気持ちがあったので。

夫の転職なども前向きになれるよう背中を押しつつ、私もまずはできること、食費や保険の見直し、年間100万円の貯金を目指して努力します。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子

文=あるじゃん 編集部