中古車購入チェックポイント[2019.10.10 UP]


トヨタ C-HR【ONE MAKE MARKET RESEARCH】デザインと走りにこだわったコンパクトクロスオーバー

トヨタ C-HR 2016年~

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2019年10月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年9月調べ。


個性的なライバルが多いジャンルで、さらに個性と存在感を際立たせるにはどうすればいいか? C-HRは、そこに着目し若いユーザーをターゲットにした新提案のモデルだ。

全長×全幅×全高:4360×1795×1550mm ●ホイールベース:2640mm ●トレッド前/後:1540/1540mm ●車両重量:1440kg ●排気量:1797cc ●エンジン:直4DOHC+モーター ●エンジン最高出力:98ps/5200rpm ●エンジン最大トルク:14.5kgm/3600rpm ●モーター最高出力:72ps ●モーター最大トルク:16.6kgm ●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:225/50R18 ●中古車参考価格帯:160万円~290万円(14年~19年 ※全グレード)


個性的なデザインと優れた走行性能に注目


 「コンパクトクロスオーバーSUV」はいま、世界中で販売が好調なジャンル。クロスオーバーとは「乗用車とSUVを掛け合わせた中間的な存在」という意味がある。C-HRはトヨタがそんな活発なマーケットに満を持して投入した車種で、国産車でいえばホンダ・ヴェゼルやマツダCX-3、そして三菱エクリプスクロスなどがライバルである。このジャンルは魅力的な競合が多い激戦区だけに、どうやって個性を与え、それを消費者にどうアピールするかを、各社が競い合っている状況と言っていいだろう。
 そんななか、C-HRの最大のアピールポイントは“攻めたスタイル”である。このジャンルは後席や荷室の広さなど実用性を重視した車種がある一方、いくつかのモデルは個性的なスタイリングで勝負。C-HRは後者で、シャープなヘッドライトをはじめ、張り出したフェンダー、大胆にカットしたリヤスタイルなどデザインは果敢に冒険している。
 そもそもスタイリングはクーペのようにキャビンを小さく見せる手法をとることで、広さよりもカッコよさを重視。リヤドアはウインドウを小さくし、ドアハンドルを目立たない場所(リヤドアウインドウの上部後方)に埋め込んでいることからも、3ドアのような躍動的な感覚をイメージしているのがわかる。C-HRによるこのジャンルへの参入は、トヨタは他社よりも遅かった。だから開発はライバル勢を念入りに研究したうえで、後発だからこそしっかりと存在感を主張できるようにと、保守的にならないチャレンジングなスタイルを貫いているのだ。
 もうひとつの特徴は走り。SUVながら舗装路での走行性能を徹底的に鍛え上げられているのだ。それを語るエピソードが、レースへの参戦。まだ発売する前の段階でドイツの24時間耐久レースに出場し完走しているのだ。これは、重心の高いSUVながら舗装路でも高い走行性能を持っているという証に他ならない。


[エクステリア]トヨタ車らしからぬ、斬新なデザイン








 大きなタイヤと張り出したフェンダーで足元を安定させつつ、キャビンを小さくして軽快に見せるプロポーション。窓を小さくするだけでなくドアノブを目立たなくしたリヤドアも特徴的だ。側面の面構成やテールランプ周辺の“抉り”も大胆だ。


[モデルヒストリー]



2017年8月 ツートーンカラー塗装を設定

 トヨタとしてはじめての専用ボディを持つコンパクトクロスオーバーSUVとして登場。ボディは1タイプで、パワートレインは1.2Lターボと1.8L+モーターのハイブリッドの2タイプ。


2016年12月 C-HRを発売

 基準のモノトーン8色に、ブラックまたはホワイトのルーフなどをコーディネート。ブラックやホワイトになる範囲はルーフのほかAピラー、ドアミラー、リヤスポイラー。


2018年5月 一部改良

 従来は4WDだけの設定だったガソリンターボエンジン車に2WDを追加。一部仕様には、従来は特別仕様だけの設定だったシーケンシャルウインカー(光が流れる)ウインカーを標準またはオプションで採用。


ニュル24時間耐久レースにも参戦!

 C-HRが正式に発売される前の2016年5月末、スポーツカーの聖地としても知られるニュルブルクリンクを舞台にした24時間耐久レースに出場。クラス3位でゴールした。車両は、試作車をベースに最小限の改造を施したものだ。


[インテリア]細部まで凝ったデザインが自慢


 ダッシュボードは開放感をもたらす水平基調だが、中央部分が少し張り出し、ドライバー側へ傾けた設計。ナビの視認性や、ナビと空調スイッチの操作性を高めている。前席を重視したパッケージングだが、後席にも大人が無理なく座れる。ただし、窓が小さく閉塞感はある。


「スポーティシート」と呼ぶ、プリウスなど一般的な車種よりも身体保持性を高めた形状のフロントシートを採用。本革シートは「G」や「GT」にオプションで用意している。


天井後部からテールゲートにかけて傾斜させたデザインなので空間としては広くない(ワゴンのように高さは稼げない)。しかし、荷室床の面積はこのクラスをリードするほどの広さ。


スイッチなどは、ひし形をモチーフにした形状で統一されている。細かいスイッチひとつまで他車の流用ではない専用設計としたこだわりは、昨今のクルマづくりからすれば異例で驚きだ。


[メカニズム]車体の設計はプリウスに近い


 プラットフォームと呼ばれる車体構造の基本部分やハイブリッドシステムはプリウスと共通で、車体サイズのわりに余裕のある設計。とくにボディ構造の基本となるのはTNGA(ティー・エヌ・ジー・エー)と呼ばれるトヨタの次世代の考え方に基づくもので、軽量化や運動性向上など多くの新発想が導入される。


TNGA:自然吸気の1.8Lエンジンにモーターを組み合わせた「THS-II」と呼ぶハイブリッドシステムを搭載。このシステムはすでに高い実績があり、燃費向上効果は世界最高水準だ。


HYBRID:プラットフォームの基本構造はプリウスやカローラと共通。しかし、ブッシュと呼ばれる部品の一部をゴム製から金属製に変えるなど、より操縦性重視の仕立てとなっている。


ENGINE:プリウスとの違いは、ハイブリッドに加えて純粋なエンジン仕様も用意していること。1.2Lと小排気量ながらターボを組み合わせることで力強い走りを実現。


サポカーにも対応する充実の安全装備

 初期モデルから歩行者検知機能付きの自動ブレーキや車線はみだし時の警告機能を備えた「Toyota Safety Sense P」と呼ぶ先進安全運転支援システムを全車に標準装備。2018年5月の改良時に、名前が「Toyota Safety Sense」に変更されている。


[ライバル/ホンダ ヴェゼル]最大のライバルは実用パッケージングが自慢


 立ち位置だけでなく販売台数においても最大のライバルとなるのが、ホンダ「ヴェゼル」。ヴェゼルの特徴でありライバルに対するアドバンテージは後席空間や荷室の広さ。パワートレインは1.5L自然吸気、ハイパワー仕様として1.5Lターボ、さらにハイブリッドを用意する。
中古車参考価格帯:110万円~280万円(16年~19年 ※全グレード)


室内の仕立てはコンパクトカーの水準を超えた高級テイスト。後席はファミリーでも不満の出ない足元スペースがあり、荷室は床面積も天地の高さもライバルを凌ぐ。


[市場データ]平均価格は200万円超え。相場はまだまだ高め


 物件数が豊富で探しやすい一方、中古車相場は登場から3年が経過した今も下がっていない。これはC-HRの人気の証明でもある。物件はハイブリッドが多いが、こちらは相場が高め。1万km未満の低走行車両が多く、新車と比較検討するならお買い得となるケースもあるだろう。



走行距離
1万km未満は全体の4割ほどで、低走行な物件が充実している。伸びていても3万km程度のものが中心で、全体的に良コンディション。



グレード
ハイブリッドの「S」と「G」、1.2Lターボの「S-T」と「G-T」で構成されるが、前者のほうが多い。とくに上級の「G」がもっとも豊富。



年式
2016年12月に発表されたため、この年式の物件は少なめ。その翌年の2017年式が68%を占め、もっとも多い。2019年式は少なめだ。


自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「トヨタ C-HRのGOODとBAD」



【GOOD】スタイリングと高いトータルバランス


 なにより注目したいのは、そのカッコいいスタイル。C-HRよりも実用的なコンパクトクロスオーバーSUVはいくつか存在するけれど、ここまでアグレッシブなデザインのクルマはないと言ってもいい。さらに、峠道も楽しめる爽快な走りも自慢だ。そのうえで、後席や荷室の広さなど、実用的な部分とのバランスもしっかり考えているのも魅力を高めている。


【BAD】気になるのは後席周辺の実用性


 窓が小さいから閉塞感がある、ドアノブの位置が不自然で乗り降りするために気になる、など後席周辺にある実用性がウィークポイント。とはいえ、それは開発側もしっかり把握したうえで、新しいSUVを提案するために優先順位を下げたのだ。後席の実用性は気にせず、日常は前席だけを使うユーザーに向けて作られたクルマと言える。


編集部イチオシ!

G

 装備が充実する割に、中古車価格ではお買い得感が高い「G」グレードがおススメ。「G」と「G-T」は基本的な装備は同じで、前者がハイブリッド、後者がガソリンエンジンを積む。



関連情報


ボディタイプ:SUV・クロカン