Taku Takahashiが教える、2010年代を代表するメガ・コンテンツ『ゲーム・オブ・スローンズ』の攻略方法

アメリカのケーブルTV局〈HBO〉で幾度も史上最高視聴率を叩き出し、世界中で社会現象を巻き起こした『ゲーム・オブ・スローンズ』は、MCU映画と並び、2010年代を代表するグローバルなメガ・コンテンツだ。

しかし、2011年春から8年の歳月をかけて完結したこの超大作に今から挑むのは、やや気が引けるという人もいるだろう。そこで、大の海外ドラマ通であり、『ゲーム・オブ・スローンズ』の大ファンでもある☆Taku Takahashiに、初心者にもわかりやすく「『ゲーム・オブ・スローンズ』の攻略方法」を解説してもらった。

「『ゲーム・オブ・スローンズ』が流行ってないのは北朝鮮と日本くらいだよ」

SFライターの丸屋九兵衛氏の名言だ。彼のいう通りで、この作品は全世界で大ヒットしている。アメリカだけで平均視聴率が1000万人以上。この数字の中に違法視聴は入っていない。

そして、この作品は決して大衆的ではない。どちらかというとマニアックな設定だ。日本人にゆかりのある昔の海外ドラマのような派手な表現はほとんど無い。ファンタジーSFの原作のアイデアを元に、ゆっくりとした展開。地味に見えるシーンも多い。にも関わらず多くの人を魅了し、世界的現象となった……日本以外では。最近少しずつ浸透し始めているが、僕ら『ゲーム・オブ・スローンズ』好きはマイノリティだ。日本人には簡単に受け入れてもらえない要素が含まれている。これから観る人がいるのなら慣れるための心の準備……というかちょっとした攻略方法が必要なのかもしれない。

・情景描写や設定について

簡単に『ゲーム・オブ・スローンズ』を説明する。アメリカのHBO(1998年から2004年にかけて放送され、世界的な人気を博したドラマシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』でも知られるケーブルテレビ局)制作のファンタジーもの。とはいえ、物語の前半ではほとんど、ファンタジー要素は出てはこない。ドラゴンや魔法、そしてゾンビが昔は存在した。それから100年くらい経った時代の話。なので最初からそういったファンタジー的なキラキラしたものを期待しないほうがいい。

ただ逆に、権力争いや、女性蔑視や人種差別がはびこる世界でどう登場人物たちが生き抜いていくか。そういった物語が好きな人にはすごくオススメできる。物語の中で正義を貫こうとしすぎて殺されてしまう者もいれば、理想を持ちつつも現実的な行動しかせず生き延びる者もいる。「うわ、こいつムカつく!」とか「あー、わかるわー、私もこの状況だったらこういうずるいことしちゃうかも!」というシーンがつまっていて、まるで、現代のブラック企業に勤めている社畜社会をも思わせる。そういった世の中の「あるある」を中世の世界っぽい背景で描いていくのがこの作品だ。

うちの父親にこの作品を勧めたのだが、途中でリタイアしてしまった。その理由は「映像がグロくて生々しかったからだ」とのこと。確かにそこは理解できる。ドラマ制作にも参加している小説の原作者のジョージ・R・R・マーティンは、この作品を作るにあたって人間社会のグロい部分を少しでもリアルに描いてほしいと望んでいたからだ。権力争いの死刑、戦場での殺し合い、略奪、強姦。歴史上、人々が起こした醜い部分をしっかりと描写している。何も心の準備が無いと、ドン引きする人もいるかもしれない。ただ、この作品の素晴らしさはそんな醜い世の中で登場人物たちがどう立ち向かっていくか繊細に描かれている。そんな中登場人物たちの話をしたいと思う。


キャラの名前とか覚えることより、どの家族を覚えるか?だけで良いかもしれない

・登場人物がめちゃくちゃ多い

エミー賞というテレビドラマのグラミー賞のような大きなイベントがある。『ゲーム・オブ・スローンズ』はエミー賞常連作品。実際、一番名誉のある、最優秀賞を3回連続で獲っている。にも関わらず、実は主演俳優賞を取った人がいない。いや、そもそも今のところノミネートもされていない。何故か? それは誰が主人公かわからないくらい登場人物が多いからだ。エキストラ抜きでも560人以上いるらしい。まあ小さい役も入れての数ではあるんだけど。登場人物の数の多さは、第一話からフルスロットル。第一話だけでも、スターク家、バラシオン家、ラニスター家、隣の大陸にいるターガリエン家まで。出てくるキャラクター全員を真面目に覚えようとすると、自信喪失しちゃうと思う。僕も最初、チンプンカンプンだった。

最初から全員覚えられる人なんてほとんどいないし、そのように観なくてぜんぜんオッケー。これは作品全体に言えることで、そのエピソードの主要なキャラさえわかっていれば楽しめる。しかもキャラの名前とか覚えることより、どの家族を覚えるか? ってのだけで良いかもしれない。なので、第一シーズンで知っておけばいい相関図を作ってみた。

北の家族(スターク家)
父ちゃんスターク(ネッド):誠実。クソ真面目。家族とユルフワライフを望んでる。
母ちゃんスターク(キャトリン):家族想い、ナイスな母ちゃん。
スタークの子供達:この子達が主人公的になってくるんで、大事なキャラだが、第一話では気にしなくて良し。

感じ悪い家族(ラニスター家)
ビッチ(サーセイ):大陸で一番偉い人(ロバート王)の嫁。キレイだけど腹黒No.1。
感じ悪男(ジェイミー):戦士として優れ、イケメン。でも感じが悪い。双子の姉のサーセイの浮気相手。はい、血が繋がってますが愛人です。
小鬼(ティリオン):サーセイとジェイミーの弟。小人でいじめられっ子。何をしても親に認められないため、やさグレてる。

王家(バラシオン家)
一番偉い人(ロバート王):最近モチベーション低め。戦士として強かったがあまり頭が良くない。北の家族の父ちゃんスタークと親友。

王位奪還を狙う家族(ターガリエン家)
か弱い女の子(デナーリス):元々王族だったのに流刑された人。物語自体は彼女のサクセスストーリー。男尊女卑の世界でここからどんどん登りつめていく。

これがわかれば、わりと簡単に入り込める。他にもたくさんユニークなキャラクターがいるが、気にせずサラッと観て全然オッケー。何故ならハマったあと、何周も観たくなっていくからだ。そこでまた新しい発見があって、無限ループに入っていくだろう。


この作品は皆のドラマ・リテラシーを確実に高めていった

・1シーズンは10話で構成

この作品は1シーズン全10話で構成されていて、一話がだいたい60分。週末とかだったら一気見で1シーズン観終わってしまう。『24』の1シーズンや、シーズン2以降の『ウォーキング・デッド』や『ブレイキング・バッド』を観るよりあっという間に終わる。

そしてほぼ毎シーズンといっていいほど、第9話に大きな出来事が起こる。今までのドラマの中でもありえないくらい想定外なことが起こる。シーズン3の9話目は本当に放心状態になった。この作品がなぜ世界的現象になったのか、というのを理解できるはず。このエピソードはずっと自撮りして、リアクションビデオを撮ってもらいたいくらいだ。最後の2シーズンは話数が少なくなるのだけど、この法則はシーズン6まで続く。1シーズンが一章、もしくは10時間で構成されている映画という形で挑むと見やすいかもしれない。シーズン1を超えたら、あっという間に終わってしまうと思う。吹き替え陣は豪華だし、素晴らしい演技をされてるので、どちらで観るのもおすすめできる。ただ、シーズン6の、とあるエピソードだけは字幕で見た方が合点がいくと思う。

・この作品はハイプではない

エミー賞や視聴回数について色々と話してきたが、この作品はハイプではない。『ゲーム・オブ・スローンズ』がドラマ界のハードルを上げてしまったのは間違いない。ファンですら、何か詰めの甘いところを見つけると大ブーイングする。みな、流行りにのっているのではなく、一緒にムーブメントを作って現象になっていった感が強い。

音楽リテラシーという言葉があるが、この作品は皆のドラマ・リテラシーを確実に高めていった。個人的な意見だが、『ローリング・ストーン・ジャパン』には日本という国でも、ニッチで面白い刺激を求めている読者が集まっていると思う。そんな人たちこそが、この作品を絶対観るべきだ。



☆Taku Takahashi
https://twitter.com/takudj

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