ももクロ公式・小島記者「活字にこだわる僕が『ももクロ青春録』を電子書籍配信するワケ」

ももいろクローバーZの1年の歩みを追いかけた『ももクロ○○録』シリーズの最新刊、『ももクロ青春録』の電子書籍版が10月7日(月)から配信される。元週刊プロレス記者であり、著書の小島和宏氏も、ももクロのプロデューサー・川上アキラ氏も活字へのこだわりが強く、これまでのシリーズは電子書籍配信されていなかった。初の電子書籍配信に踏み切った理由と、そして取材の裏話を小島氏に特別寄稿してもらった。

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 8月7日に刊行した『ももクロ青春録』(朝日新聞出版・刊)、10月7日より電子書籍版も配信されることとなった。

 もう何年も前から「小島さんのももクロ本は電子化されないんですか?」とたくさんの方からリクエストをいただいていたのだが、なかなか実現せぬまま時間が経過してしまった。昨年から今年にかけて、ももクロ10周年に合わせて、過去の『ももクロ○○録』シリーズをまとめて再販したのだが、そのときにチョイスしたのは「文庫化」だった。

 やっぱり「活字」へのこだわり、というものがある。それは僕だけではなく、ももクロのプロデューサー・川上アキラも同様で「小島さんの記事の初出はやっぱり活字がいいですよ」と、僕がWeb記事を書くことにあまり前向きな感じではなかった。

 だから、勝手に「ももクロの本は電子化できない」という思いこみが自分の頭の中にあって、たくさんのみなさんからリクエストをいただいても「検討しますね」としか答えることができなかったのだが、文庫化された本を買っていただいた方たちからも「以前に出た単行本も買ったし、文庫も買ったけれども、やっぱり電子版も出してほしいんですよ」という強い要望を繰り返しいただいた。それもひとりやふたりではなく、結構な数である。

 僕自身、あまり電子書籍を読む習慣はないのだが、電車に乗っていれば、いまや雑誌や新聞よりもスマホやタブレットで読書している人が圧倒的に多いことはわかる。それにももクロ以外の書籍は続々と電子化されているので、抵抗はまるでない。

 今年に入ってから、この『ENTAME next』でWeb用の記事を書く機会も増えた。特に4月28日に横浜スタジアムで開催されたHKT48・指原莉乃の卒業コンサートの記事と、その1カ月後にマリンメッセ福岡で行なわれた『指原莉乃感謝祭』のレポートはたくさんの方に読んでいただけたようで、反響も大きかった。

 雑誌『月刊ENTAME』に記事を掲載するとなると、発売日の関係上、まるまる1カ月後になってしまう、ということで、いち早くWebで、となったのだが、ありがたいことに「客観的なニュース記事は編集部のほうで配信するので、小島さんはひたすらエモく書いていただければ!」というオファー。書きたいことは山ほどあるので、喜んで引き受けたが、コンサート終了後、すぐに作業をはじめて、翌朝までに原稿を引き渡してほしい、という痺れるスケジュール。その昔、週刊プロレス編集部で連日、繰り返してきた「即日入稿」の感覚が久々によみがえり、自分でも筆に熱がこもるのが実感できた。

 電子書籍ではないけれども、ネットならではの即時性と、とにかく短時間でたくさんの方に読んでいただけることは物書きとしては幸せなこと。そんな経験もあったので、じゃあ、ももクロも……という思いが頭をもたげはじめていた。アイドルを活字で熱く記す作業をはじめてから、もうすぐ10年。『ENTAME next』が僕に新たな喜びを教えてくれたのだ。

 ちなみに2015年に出版した『ゴールデン☆スター飯伏幸太 最強編』(小学館集英社プロダクション・刊)もこの夏、電子化され、その直後に飯伏幸太がG1クライマックスを初制覇したことで、まったく新しい読者の方々にも読んでいただけたようだ。さらにこの春、文庫になった『ぼくの週プロ青春記』(朝日新聞出版・刊)も同じぐらいのタイミングで電子化された。本当にありがたい話だけれども、これでももクロ関連書籍だけが取り残されてしまうことになってしまった。

 みなさんが電子化を熱望する気持ちはよくわかる。

 モノノフと呼ばれるももクロファンのみなさんは、ももクロのステージを見るためなら、長距離移動を伴う遠征も厭わない。その旅のお供に『ももクロ青春録』を……と思っても、さすがに270ページを超える厚さとなると、結構な荷物になってしまう。そう考えたら、たしかに電子化は必須だったのかもしれない。秋から冬にかけ、ももクロはたくさんライブを行なう。ファンクラブイベントも、年末恒例の『ももいろクリスマス』も今年は首都圏と大阪でのダブル開催が決定した。彼女たちを追いかけて遠征するモノノフのみなさん! そこにギリギリ電子化が間に合いましたよ(本当は書籍と同時リリースする予定だったんですが、もろもろ作業が手間取ったようで、まるまる2カ月、遅くなってしまいました……)。荷物にならないので、ぜひ、移動中にご一読いただければ幸いです。

 これで6冊目となる『ももクロ○○録』シリーズだが、今回はこれまでとちょっと切り口を変えてみた。基本的には2018年6月から2019年5月まで(つまり平成30年から令和元年)のももクロの歩みを、ライブレポートを中心に追いかけているのだが、今回は僕以外の「証人」に取材をして、より深い部分まで、ももクロの舞台裏を掘り下げている。

 証人としてご登場いただいたのは、振り付けのAnna先生(彼女は振り付けを担当しただけでなく、ももクロ初の主演ミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』ではステージで共演もしている)。コンサート制作を担当するH.I.P.の津下陽祐氏。そして、キングレコードのプロデューサー・宮本純乃介氏の3人。

 僕が平成最後の年から令和最初の年にかけて、ももクロを追いかけていく中で、どうしても話を聞いて、たくさんの人に読んでもらいたい、と強く思った人たち、である。

 ミュージカル、47都道府県ツアー、ニューアルバム。

 その3つの大きな「転機」の舞台裏をもっとも近くで見てきた人たちの証言は、当然のことながら、面白くて興味深い。この本が初出しとなるエピソードも結構、多いので、オーバーな話ではなく、この3本の証言を読むだけで元は取れてしまうのではないか、というぐらい濃密なページになっている。

 特に「47都道府県ツアーの舞台裏」は、メンバーのエピソードはもちろんのこと、普段、あまり語られることのない会場を予約するための苦労話があまりにもディープすぎて、これはモノノフならずとも必読! とオススメしたいぐらい。これはもう究極のメイキング話と言ってもいいだろう。

 こういう企画ができるのも、僕は「チームももクロ」ならではだな、と思っている。

 コンサートを見ていて「?」と思ったとき、僕はバックステージでまさにこの3人をはじめとしたスタッフのみなさんに「素人みたいなことを聞いてすいません。あれはどういう意図だったんでしょうか?」と質問をしてまわる。

 音楽やダンスの細かい部分に関しては、僕は知らないことばかりだ。ここで知ったかぶりをしてしまえば、それがいちばん楽なのだが、それによって本が薄っぺらい内容になってしまうことは避けなくてはならない。

 スタッフのみなさんは、そんな質問の数々に懇切丁寧に答えてくれる。「そんなこともわからないの?」と一蹴されたっておかしくはないし、みなさん、それぐらい威張ってもいいぐらいのプロフェショナルな方々なのに、とにかくわかりやすく教えてくれる。もう、どれだけ感謝しても感謝しきれない。僕にできるのは、質問した事象が客席からはどう見えたのか、という「客席目線」での感想をお伝えすることぐらいなのだが、そんな会話の中から、なにか新しいものが生まれれば……と思っている。

 8月に開催された『Momoclo mania2019』のバックステージでも、そうやって意見交換をしっかりとしてきたのだが、ある関係者との会話の中で。まさかの感涙が……その話は、来年出版予定の続編に書きたいと思う。1年近くお待たせしてしまうことになるが、それまでは『ももクロ青春録』でお楽しみいただければ、と。初の電子書籍化で、僕自身、どんな反響があるのか、ちょっとドキドキしている。

▽「ももクロ青春録
ももいろクローバーZ 公式記者
インサイド・レポート2018-2019」
著書:小島和宏
発売元:朝日新聞出版
単行本定価:1,601円(税込)
Kindle番:1,188円(税込)
電子書籍版はこちらから。