江戸時代以来!?昼夜通しで新作上演!宮崎駿の漫画『風の谷ナウシカ』全7巻を新作歌舞伎に

宮崎駿原作の漫画『風の谷ナウシカ』(全7巻/徳間書店刊)が、新作歌舞伎で完全上演決定! 尾上菊之助がナウシカ役を、中村七之助がクシャナ役を、そしてスタジオジブリ作品でおなじみ丹羽圭子と松竹の文芸部の戸部和久が脚本を手掛け、G2(新作歌舞伎『東雲鳥恋真似琴』『NARUTO—ナルト—』など)が演出する。昼の部・夜の部通しで、12月に新橋演舞場にて上演されるにあたり、本日、製作発表記者会見が帝国ホテルにて行われた。


▲右から、安孫子正さん、鈴木敏夫さん、尾上菊之助さん、中村七之助さん、G2さん

主催である松竹代表取締役副社長の安孫子正氏、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏、ナウシカ役の尾上菊之助さん、クシャナ役の中村七之助さん、演出のG2さんが登壇。

最初に主催である松竹の安孫子さんが、念願だった『風の谷のナウシカ』を歌舞伎として上演できることへの感謝を述べ、菊之助さんが本作に対して強い思いがあったこと、また現在調査中とのことらしいが、昼夜通しての新作歌舞伎はたぶん江戸時代以来になるのではと話してくれた。

スタジオジブリの鈴木さんは、「非常に映画と違って気が楽なんですけども(笑)」と言って会場を沸かせた後、『風の谷のナウシカ』が宮崎駿監督にとって非常に大切な作品であり、今までもハリウッドやいろんな所からのオファーを断っていただけに、今回も断るのではと思っていたので、「菊之助さんに『もののけ(姫)』はどうですかと話したことがあるくらい(笑)」と。しかし5年前に話したとき、宮崎監督の方からやろうよと言ってくれたと明かした。
ただし宮崎監督から条件が二つあり、一つは『風の谷のナウシカ』というタイトルを変えないで欲しいということ、二つ目は記者会見その他を全部鈴木さんがやってくれるならということだったそうだ。

今回演出を担当する舞台演出家・劇作家のG2(じーつー)さんは、映画『風の谷のナウシカ』が上映された1984年、「思い起こせば私が大学を出て、エンターテイメント業界の末席に名を連ねたのと同じ時期なのですが、当時大変な衝撃を受けたことを覚えてます。どっかで自分なりの『ナウシカ』の世界観を作りたいと思って35年間やってきました。まだ作れていないんですけど、今回『ナウシカ』の歌舞伎版ということで、大変光栄であり、非常に責任を感じております」といまの心境を話しつつも、150年振りになるかもしれない新作歌舞伎通し日公演に対して、「私としては知力と気力と体力が限界になるまで、頑張りたいと思っております」と意気込みを語ってくれた。

5年ぐらい前から準備をしていたという菊之助さんは、この日を迎えられたことに対して「いますごく武者震いをしております」と明かし、「初めてジブリの鈴木さんのもとへ伺ったときの緊張感、それから約1週間以上経ちましてから、古典歌舞伎として『風の谷のナウシカ』をタイトル変えずにやっていただけるんであればやってもいいよとご了承を頂いたときの興奮を胸に、初日まであと約2か月くらい、いまもいろんな準備や制作の方と舞踊ですとか衣装、道具、それから場面の背景など打ち合わせが盛りだくさんではございますけれども、生み出す苦しみというよりも、ジブリの作品に寄り添い、歌舞伎ファンの方にも納得していただける、そしてジブリファンの方に絶対納得していただける作品にしようと、いま鋭意制作段階に入っております」と熱い気持ちを語ってくれた。

七之助さんはクシャナ役を受けたときのことを明かし、「菊之助のお兄さんから電話が掛かってきまして、『風の谷のナウシカ』をやるんで、力を貸して欲しいと言われ、『風の谷のナウシカ』……?」と純粋に驚いたこと。また自分以上にジブリ作品が好きな兄の六代目中村勘九郎さんが、中でも『風の谷のナウシカ』がすごく好きで「ナウシカが初恋の人なんです」と明かし会場を沸かせる場面も。さらに自身が出演した『かぐや姫の物語』の御門役の声を演じた際、収録時に「兄の運転で愛さんと、3人で行ったんです」というエピソードまで披露した。
最後に、先ほど鈴木さんが話された宮崎監督の『風の谷のナウシカ』への思いに触れ、「やはりこれは、役者、演出家、全員でですね、すばらしい作品にしないと、スタジオジブリのためにも歌舞伎のためにもならないので、それを肝に銘じて、一生懸命一日一日励みたいと思っております」と意気込みを語った。

司会から原作への思いを訊かれた菊之助さんは、まず最初に来年の東京オリンピックに向けて何か新作を作りたいという思いがあったことを明かした。
『風の谷のナウシカ』はテレビの再放送で見て好きになり、その後原作を手にとって読んだときに作品の深いテーマ性、壮大さに益々惹かれたそうだ。
それは歌舞伎の古典も同じで、現代に残っていくような古典は、現代に通じる普遍的なテーマ性があるかないかが大事だろうと。そこで今回『ナウシカ』を選んだ一つの理由として、「私が好きと言うことは大前提なんですけども、作品のテーマ性。この作品が描かれたのが1980年代、日本がこれからバブル経済に突入していく、日本人が浮き足立っていたときに、宮崎監督は逆にユートピアではなくデストピアを描かれた」と、そしてそれは当時よりいまのほうが身近に感じられるテーマになってきていることから選んだそうだ。
「テーマの普遍性が歌舞伎と融合したときどういうものになるか」「全7巻を歌舞伎にしたらどうなるんだろう、どういう化学反応を起こすか」、自分自身ワクワクしていると語っていた。



映画の『風の谷のナウシカ』が好きな人も、原作の『風の谷ナウシカ』が好きな人も、歌舞伎未経験という方も、ぜひ新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』という、新しい体験を楽しみに観に行ってみてはいかがだろうか。

■開催概要
【会期】2019年12月6日(金)〜12/25(水)千穐楽
【会場】新橋演舞場/東京都中央区銀座6-18-2
【開演時間】昼の部11:00/夜の部16:30 ※昼の部・夜の部通し上演
【観覧料(税込)】1等席:17,000円/2等席A席:10,000円/2等席B席:6,500円/3階A席:6,500円/3階B席:3,000円/桟敷席:18,000円 ※10月19日(土)10時より電話予約・Web受付開始。※昼の部・夜の部セット券1等席34,000円(非売品グッズ付き)は、10月4日(金)〜10月13日(日)まで販売。※詳細は公式HPへ。

★公式サイト https://www.nausicaa-kabuki.com/

<キャスト>
ナウシカ:尾上菊之助
クシャナ:中村七之助
ユパ:尾上松也
セルム/墓の主の精:中村歌昇
ミラルパ/ナムリス:坂東巳之助
明日ベル/オーマの精:尾上右近
道化:中村種之助
ケチャ:中村米吉
第三皇子/神官:中村吉之丞
ミト/トルメキアの将軍:市村橘太郎
上人:嵐 橘三郎
クロトワ:片岡亀蔵
ジル:河原崎権十郎
城ババ:市村萬次郎
チャルカ:中村錦之助
マニ族僧正:中村又吾郎
ヴ王:中村歌六

アニメージュ コミックス ワイド判
『風の谷のナウシカ』 全7巻

宮崎駿/著
徳間書店 刊
B5判
定価:1〜6巻 各本体430円+税、7巻 本体550円+税

(C)Studio Ghibli