JR四国の新型車両、特急形気動車2700系が28日、岡山~高知間の特急「南風」として営業運転を開始した。本州への初営業列車となった「南風14・15号」の到着・発車に合わせ、岡山駅5番のりばにて出発式が開催された。

  • 駅長らの出発合図に合わせ、新型車両2700系の特急「南風」が岡山駅を発車(写真:マイナビニュース)

    駅長らの出発合図に合わせ、新型車両2700系の特急「南風」が岡山駅を発車

新型車両2700系は8月6日、高徳線の特急「うずしお」でデビュー。9月1日の「2700系土讃線先行乗車ツアー」に続き、9月3日から土讃線の特急「しまんと」「あしずり」(土佐くろしお鉄道中村・宿毛方面へ直通)の一部列車にも2700系が導入された。各列車とも9月27日まで運転日限定の営業運転を行っていたが、9月28日から定期運用となり、特急「南風」の一部列車でも2700系による営業運転がスタート。高知発岡山行の上り「南風14号」に合わせ、高知駅でも出発式が行われたという。

土讃線を走行して瀬戸大橋を渡り、本州上陸を果たした「南風14号」は14時40分すぎ、岡山駅5番のりばに到着。半室グリーン車を連結した4両編成(1号車から2802・2754・2704・2703)で、岡山駅から下り「南風15号」となって四国方面へ折り返す。

岡山駅の出発式では、「高知市役所 踊り子隊」のよさこい演舞に続き、JR四国代表取締役専務の西牧世博氏が挨拶。2700系について、「デザインコンセプトは『ネオ・ジャポニズム』。エクステリアはディープレッドに金の縁取りを入れ、緑のラインをあしらったステンレス製の車両となっています。車内は全席にコンセントを取り付け、無料Wi-Fiも利用可能です。スーツケースなどを置ける荷物置場もあります。利便性・安全性・快適性を改善し、バリアフリーにも対応しています」と説明した。

「今後、計40両ほど製作し、2000系を順次置き換える計画です。将来のJR四国を代表する車両になっていくことを願っています。高知方面へお出かけの際、ぜひ『南風』をご利用いただけたら」と西牧氏。続いて挨拶したJR西日本執行役員岡山支社長の有田泰弘氏は、JR四国が2020年春、土讃線高知~窪川間で新たに「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」を運行する予定であることに触れ、「この新型特急(2700系)と新たな観光列車で、高知の観光地を訪ねていただきたい。今後もJR四国と連携を取りつつ、たくさんのお客様にご利用いただけるよう努めたいと思います」と述べた。

  • 「高知市役所 踊り子隊」のよさこい演舞に続き、出席者によるテープカットが行われ、2700系の特急「南風」の営業運転開始を祝った

その後、西牧氏と有田氏、岡山駅長の半田充彦氏がテープカットを行い、駅長らによる出発合図とともに、「南風15号」は岡山駅を発車した。

出発式が行われた岡山駅では、新型車両をひと目見ようと多くの鉄道ファンらが集まった。2700系を歓迎する手作りのカードを持ったこどもたちの姿もあり、実際に2700系を見ての感想を聞かれると、「赤色と緑のデザインがかっこよかった」「全車コンセント付きがうれしい」「(人気が)落ち着いたら乗ってみたい」との答えが返ってきた。その一方で、「でもやっぱり2000系が好き」「非貫通がなくて寂しい」と話す場面も。新型車両に期待しつつ、既存の2000系にも愛着を持っている様子がうかがえた。

特急「南風」は9月29日以降、上り「南風2・14・26号」、下り「南風3・15・27号」の3往復が2700系での運転となる。土讃線の特急列車は高松駅発着の「しまんと1・10号」、高知駅発着の「あしずり6・9号」も2700系を使用し、ともに土佐くろしお鉄道中村・宿毛方面へ直通運転を行う。高徳線の特急「うずしお」は上り7本・下り8本で2700系を使用し、高松~徳島間で運転される。

  • 新型車両2700系の特急「南風」。半室グリーン車を連結した4両編成で運転された