テレビで活躍する特撮ヒーローの姿を忠実再現し、自由自在にカッコいいポーズつけられるバンダイスピリッツのアクションフィギュアシリーズ「S.H. Figuarts」の新商品として、2019年10月に待望の「ウルトラマンギンガ」が発売されることになった。

1966年に『ウルトラマン』が放送されて以来、『ウルトラセブン』(1967年)『帰ってきたウルトラマン』(1971年)と後継作品が作られてきたウルトラマンシリーズ。近年では『ウルトラマンギンガ』(2013年)を第1作とし、『ウルトラマンギンガS』(2014年)、『ウルトラマンX(エックス)』(2015年)、『ウルトラマンオーブ』(2016年)、『ウルトラマンジード』(2017年)、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018年)と続く"ニュージェレネーションヒーローズ"と呼ばれる新時代のウルトラマンシリーズが子どもたちの人気を集めており、現在は最新作『ウルトラマンタイガ』(2019年)が好評放送中である。

  • 坂本浩一(さかもと・こういち)。1970年生まれ、東京都出身。スタントマンを経てアメリカに渡り『POWER RANGERS』シリーズの監督・プロデューサーとして活躍。2009年公開映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の監督を務めて特撮ファンから熱烈な支持を得る。その後も『仮面ライダーフォーゼ(2011年)『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年)『ウルトラマンギンガS』(2014年)『ウルトラマンジード』(2017年)、時代劇専門チャンネル製作のアクション時代劇『BLACKFOX: Age of the Ninja』(2019年)など、多彩な作品でその手腕をふるっている

ニュージェネレーションのうち、ウルトラマンギンガと『ギンガS』のウルトラマンビクトリーは今まで「S.H. Figuarts」で商品化されることがなかったのだが、2019年6月にビクトリーが発売され、10月にはついに待望のギンガの発売が決定。『ギンガ』から『R/B』(ロッソ、ブル)までのニュージェネレーション7人が勢ぞろいした。これを記念して、ニュージェネレーションの第2作『ウルトラマンギンガS』でメイン監督を務めた坂本浩一監督に、S.H. Figuartsで再現されるウルトラマンワールドへの思いや、9月29日より毎週日曜日にYouTubeにて配信される最新映像作品『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』について訊いた。

――まずはS.H. Figuartsシリーズで『ウルトラマンギンガ』が発売されたことについて、坂本監督にお話をおうかがいしたいと思います。監督はS.H. Figuartsの今までの"ニュージェネレーション"ウルトラマンたちはすべてお持ちなのでしょうか?

これまで僕もS.H. Figuartsのイベントに出演しましたし、いくつか商品を持っていたんですけれど、人気商品だけにすぐ売り切れてしまったものもあったりして、全員そろえるのが難しかったんですよ。今回、ギンガの発売でニュージェネレーションが勢ぞろいするということで、交渉をしまして(笑)、いくつか持っていない商品をいただくことができました。

――坂本監督は商品を手にしたとき、すぐ箱から出して遊んでしまうタイプですか? それとも、箱から出さずにディスプレイするタイプでしょうか。

あまりにも完成度が高くて、箱から出して遊ぶのがもったいないくらいですよね。だからキレイに開けて、遊んだあとは丁寧に箱へ戻して、大切に保管しています。昔は買ってきた商品を箱から出さずに並べていたんですけど、だんだん置く場所がなくなってきまして……。今では箱から出して、ポーズをつけた状態で飾るようにしています。やっぱりS.H. Figuartsはとてもカッコいいポーズがつけられますから、その状態で何日か飾って、また箱にしまって……と順番にやっていますね。ロスにある自宅にはたくさんのフィギュアが置いてありますが、僕の息子がしっかりと管理して、いろんなヒーローをとっかえひっかえ、本棚に並べてくれています(笑)。

――S.H. Figuartsの存在が、坂本監督のアクション演出に影響を及ぼした、なんてことはありますか?

撮影用のコンテを割るときに、キャラクターの人形を用意して、いろいろ動かしながら「こんな感じで……」みたいに考えることがよくあります。そこにはもちろんS.H. Figuartsも含まれています。ヒーローと怪獣が対決するシーンの構図を決めたりするときにも、フィギュアを活用することが多いんです。また、現場で「こういうアクションをやるよ」と説明するときに、なかなか口で言い表しにくい動きについて、演出部が用意していたS.H. Figuartsを使って説明したりすることがあるんです。

――それはまさに「立体による"画コンテ"」というべきものですね。

そうですね。思いどおりにアクションポーズが決まるS.H. Figuartsは、撮影現場でも非常に役に立っています。

――S.H.Figuartsの"ニュージェネレーション"ウルトラマン……ギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジード、ロッソ、ブルの中で、坂本監督がもっとも気に入っている商品はどれになりますか?

やはり自分がメイン監督として関わったキャラクターに愛着を持っているので、ギンガ、ビクトリー、ジード、そしてニュージェネレーション以前になりますが「ウルトラマンゼロ」に強い思い入れがあります。もちろん他のキャラクターも好きなんですけれど、メインでやったヒーローは自分の子どものような感覚がありますから。それだけに今回ギンガがS.H. Figuartsとして出るのが、すごくうれしいんです。ちなみにゼロのS.H. Figuartsはすごく出来がよくてカッコよく、欲しいと思ったときにはどこに行っても売り切れていました。人気があってうれしいと思う反面、自分が買えなくて寂しいという(笑)。まあ、売れてくれたのはとてもよかったですね。

――商品を動かしてみて、もっともポージングが"決まる"と思ったウルトラヒーローはどれでしょうか。

ウルトラマンジード(プリミティブ)です。ジードって低く構えるポーズが多いのですが、ああいった体勢を取るには、S.H. Figuartsみたいに関節の可動域が広くないとできないので、イメージどおりのポーズが再現できるのは凄いなと思いました。造形もよくできているし、まったく文句ないですね。やはり、テレビや映画で観たウルトラマンそのままのイメージが形になっていて、それを飾って鑑賞することができるというのは、幸せなことだと思います。

――坂本監督が直々にポーズをつけたS.H. Figuarts"ニュージェネレーション"の7人とゼロのそろい踏みを、ぜひ観てみたいですね。

撮影のときは、アクションコーディネーター、スーツアクターと一緒に「どんなポーズにしようか」と決めていますから、そのときのポーズをうまく再現できるよう、微妙なバランスを保ちながら並べるようにしています。ギンガがそろったら、ゼロを含めて勢ぞろいした8人のウルトラマンの姿をどこかでお見せしたいです(笑)。

――今後、坂本監督が「ぜひ出してほしい!」というウルトラヒーローはありますか?

ジードの「ソリッドバーニング」がまだ出ていないので、ぜひ発売してほしいと思っています。ジードは基本形態の「プリミティブ」と「ロイヤルメガマスター」「マグニフィセント」が出ているので、僕としてはぜひソリッドバーニングもラインナップに加えてほしいと願っているんです。

――ソリッドバーニングというと、ジードがウルトラセブンとウルトラマンレオの力を"フュージョンライズ"した赤い戦士ですね。

そうです。上半身の鎧がメカっぽいですし、S.H. Figuartsになったらきっと超カッコいい造形になると思います! バンダイさんにはぜひ検討していただきたいですね。あと、昭和ウルトラマン大好きな僕としては、こんど「ウルトラマンタロウ」が出る(2019年11月)のが楽しみなんですが、ラインナップとしては「ウルトラマンA」を飛ばして先にタロウが出る形なんですよね。タロウの次にはぜひAを、そして「ウルトラマンレオ」や「アストラ」に続いてほしいという思いもあります。

――撮影現場で"本物"のウルトラマンにアクションをつけている坂本監督の目から見て、S.H. Figuartsの造形やプロポーションの再現度はいかがでしょうか?

それはもう、毎回感心しています。実物をフィギュア化するにあたっては、フィギュアとして成立させるためにプロポーションを変えたりすることが通常なんですが、S.H. Figuartsのウルトラヒーローの場合はスーツアクターの体型をしっかりと感じさせるよう細心の注意を払っていますし、色彩のテクニックなども含めて、僕が現場で見ているヒーローたちと差異のない印象を与えてくれて、そこは感動ポイントですね。