圧倒される大きさのマシン 酔いしれるほどの乗り心地?

"タイガー・ティム" の愛機は、大きく、そして力強い一風変わったマシンだ。無駄のないコーチワークを持ち、驚くほど長い。フロントには大きなルーツ型スーパーチャージャーが突き出している。圧倒されるような存在感だ。
 
VSCC のロジャー・コリングズは、私に運転してみるように勧めてくれた。なんと光栄なことか。右足をフットプレートの上に置き、左足をシート上に載せてから、大きなステアリングホイールとシートの間の隙間から狭いレッグスペースへと滑り込ませ、次に右足も入れる。4本スポークのステアリングは巨大で、胸に近く、ほとんど直角の状態だ。ダッシュパネルには巨大なレヴカウンターが鎮座し、4000rpmに入った赤いラインがレヴリミットを示している。
 
両足の間のフットボードにあるキルスイッチを回し、マグネトーをオンにし、スターターボタンを押す。4 1/2のブロウン・ベントレーは気だるげに目を覚まし、すぐにフィッシュテール型のブルックランズ・サイレンサーから素晴らしいエグゾーストノートを発する。低く、落ち着いたその"サウンド" は、低圧縮で作動する大容量の4気筒エンジンの典型的なものだ。
 
スロットルペダルは中央あり、そっと踏むと、この力強いエンジンは間髪を入れず反応する。回転が上がった時の排気音は、落ち着いたものとは言いがたい。
 
ギアをシフトしようか。シフトレバーは大きく突き出していて、操作にはスキルが求められる。すぐに1速に入れるような暴挙は許されず、いったんゆっくりと2速に入れてから、1速へと送り込むという作法が必要だ。
 
回転数がレヴカウンターの約半分まであがったところで、ダブルクラッチを踏んでゆっくりと2速へシフト。これはうまくいった。今度は3速へ。ダブルクラッチを踏んで3速へシフトするが、身の毛がよだつようなギア鳴りを発して、拒否された。こうなると車を完全に停止させ、最初からやり直しになる。グッドウッド・エステートのプライベートエリアは、このギアボックスの使い方を学ぶには最適の場所だった。コツは、もっとゆっくりと3速に入れることで、3速から4速に入れるのは容易かった。
 
こうして実際に走らせてみると、ベントレーはそのトラックのような大きな車体からは想像できないほど速く、それでいて正確だった。エンジンは力強く回り、大きなキャブレターが貪欲にエアを吸い込み、そしてヴィリヤース製ブロワーが押し込み、瞬時にトルクを発揮する。また、驚くほど乗り心地がよく、ブレーキも信頼することが可能だった。
 
だが、バーキン・ベントレーは本領を発揮するのは、ショートトラックではなく、かつてのブルックランズのような超高速トラックなのである。137.96mph(222km/h )のトップスピードを出した時のように。

1929〜1932 バーキン・ブロワー・ベントレー・シングルシーター
エンジン形式:4気筒SOHC、16バルブ、SU キャブレター×2基 ヴィリヤース製ルーツ式スーパーチャージャー(大径ローター付き) 排気量:4398 cc
最高出力:240 bhp/ 3900 rpm 
変速機: 前進4段MT 
駆動方式:後輪駆動 
操舵装置:ウォーム& ホイール 
懸架装置(前):リジッド式/H 断ビームアクスル、半楕円リーフスプリング、アンドレ・ハートフォード・フリクションダンパー 
懸架装置(後): リジッド式/ 鋼板溶接構造製ライブアクスル、半楕円リーフスプリング・アンダースラッグ、アンドレ・ハートフォード・フリクションダンパー
制動装置:ドラム式 車輌重量:1400 kg 性能・最高速度:140 mph(約225 km/h )