妊娠・出産の選択はそれぞれですが 産む人、産まない人で、病気のリスクが変わることがあります。

子どもを産む選択、産まない選択……。妊娠・出産の選択はそれぞれですが、産む人、産まない人で、病気のリスクが変わることがあります。ここでは「産んだ人」が気をつけておきたい病気について解説します。

◆産んだ人のリスクが上がる病気1:子宮頚がん
子宮の入り口の部分にできるのが子宮「頚」がんです。

子宮頚がんを引きおこす原因にヒトパピローマウイルス(HPV)という“イボ”をつくるウイルスの一種がかかわっている可能性が高く、性交渉で感染するといわれています。

ですから、年齢に関わらず性体験のある人はこの病気を頭に置いておいてくださいね。子宮頚がんは40歳代に最も多く発症します(40%くらい)。

子宮頚がんは「出産回数が多い」ほうがなりやすいのが特徴です。あとは「性体験の回数が多い」ことも危険因子になります。

最初は無症状のことも多いのですが、少し進行すると『生理じゃないのに出血する……(不正出血)、特に性行為の時に出血する……。こころなしか、最近オリモノに血や膿が混じっているような……』という症状が典型的です。

がんを発見するためにはめん棒やブラシで子宮頚部を軽くこすって、がん細胞がいないかどうかたしかめる「細胞診」という検査があります。簡単な検査なので1年に1回は受けましょう。(受診科は産婦人科です)

◆産んだ人のリスクが上がる病気2:腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は『せきやくしゃみ、大笑い、走るなどのちょっとした動作で、少しずつ尿がもれてしまう病気』です。スポーツの時にちょっともれる程度の軽症の方から、オムツを当てないといけないほどひどい方までいらっしゃいます。

出産経験のない女性では尿もれの経験が1割なのに、出産経験者では4割に上るともいわれます。お産で、尿道の周りの筋肉や骨盤の底の筋肉や靭帯などが緩むことが主な原因といわれています。更年期になると、ホルモンの関係で頻尿傾向になり、ますます症状が悪化してしまうことが多いようです。

軽症の場合は骨盤の底の筋肉を鍛える体操や、薬で対処します。重症になってくると手術を行うこともありますので、泌尿器科のお医者さんとよくご相談してくださいね。

◆産んだ人のリスクが上がる病気3:子宮脱

子宮が腟の下の方へさがって腟から出っ張ってくる病気です。

骨盤の底を支えている筋肉や靭帯が緩むことによっておこるため、妊娠、出産、分娩回数が多いほどおこりやすく、立ち仕事、重い荷物を持ち上げる、年齢(歳をとるほど筋肉や組織が弱くなるので)などでリスクが増えてしまいます。

膀胱瘤(膀胱が腟に出ること)、直腸瘤(直腸が腟に出ること)、なども子宮脱と一緒に起こることがしばしばあります。全て骨盤を支える筋肉や組織が弱くなることによるので、まとめて「骨盤臓器脱」と呼ばれることも多いです。

初期なら体操で対処できることもありますが、重症の方では手術になることもあります。

文=山田 恵子(医師)