平成29年8月に10年間の受給資格期間があればもらえるようになった老齢年金。25年から10年に短くなったのですが、要件を満たさず老齢年金をもらえない人もいるのです。

◆年金を支払った期間が10年あればもらえるようになった
平成29年8月より以下の期間が合計で10年(受給資格期間)あれば老齢年金がもらえるようになりました。

1. 年金保険料を支払った期間(厚生年金・共済年金で天引きされている期間含む)
2. 年金保険料が免除・猶予された期間(学生納付特例含む)
3. 合算対象期間

以前は、1から3の期間が合計で25年なければ、老齢年金はもらえなかったので、10年で老齢年金がもらえるというのは、大きな改正でした。

10年以上の受給資格期間がある人には、平成29年2月より徐々に黄色い封筒が届き、10年で年金をもらえるようになった人が年金事務所に来訪し、手続きが進められました。

日本年金機構では「年金保険料を支払った期間と支払いを免除・猶予された期間」が合計10年に満たない人にもお知らせを送っており、「年金加入期間の確認」を勧めています。

年金保険料を払った期間や年金保険料が免除・猶予された期間は年金機構で把握できるけれど、「合算対象期間」は把握できないことがあり、10年の期間にするには本人からの申請と証明書類が必要になるからです。

◆月数だけを受給資格期間に入れられる「合算対象期間」とは?
年金がもらえるかどうかを左右する「合算対象期間」とは何でしょう?

「合算対象期間」とは年金保険料を払っておらず、保険料免除・猶予も受けていないので、年金額は増えないが月数だけを受給資格期間に入れられる期間です。

月数は入れられるが、年金額には影響しないため「カラ期間」ともいわれます。「合算対象期間」(カラ期間)になる可能性があるのは主に以下の7つの期間です。

1. 昭和61年3月以前に会社員の配偶者だった期間(現在離婚していても婚姻期間は入る)
2. 昭和36年4月から平成3年3月までの学生期間(夜間や通信制は除く)
3. 外国在住期間(日本国籍は必要)
4. 国民年金に任意加入したけれど滞納した期間
5. 厚生年金で脱退手当金をもらった期間(昭和61年4月以降65歳前月までに保険料納付済・免除期間がある人に限る)
6. 遺族年金を受給中の期間
7. 配偶者が老齢年金を受給中の期間

◆老齢年金をもらえない人の条件
上記を踏まえて、老齢年金をもらえない人の条件を確認してみましょう。

1. 国民年金保険料免除・猶予の手続きをしていなくて、国民年金保険料の滞納期間が長く、保険料納付済み期間・合算対象期間と合計しても10年の受給資格期間にならない人。

2. 合算対象期間(カラ期間)を証明できず、10年の受給資格期間を証明できない人。
→例:会社員だった元配偶者との婚姻関係を証明するのに元配偶者の戸籍が取れない、学生時代の在職証明が取れない……等

◆遺族年金をもらえない人の条件
年金は「老齢」だけではありません。生計同一だった「遺族」に遺族年金が支給されることもあります。遺族年金でもどんな人がもらえないのか確認してみましょう。

1. 受給資格期間が10年で老齢年金をもらっている人が亡くなった場合、生計同一の親族(配偶者・子・父母等)は遺族年金をもらえません。
→年金事務所では死亡した人の「合算対象期間」を確認し、25年の受給資格期間がなかったか確認することになっています。死亡したご親族の職歴、結婚歴・離婚歴、学歴や外国居住歴などを把握しておきましょう。

2. 死亡者が死亡日の前前月分までの直近1年間の保険料を払っていなくて、その期間免除・猶予もされていない。

3. 死亡者が20歳になってから保険料納付した期間と免除・猶予された期間が合計で2/3以上ない(1/3以上の期間、年金保険料を滞納している人)。

◆老齢年金・遺族年金に共通して、気を付けなくてはならないこととは?
老齢年金・遺族年金ともに「年金をもらえない」ことになる条件は、老齢年金は本人が、遺族年金は死亡者が「年金保険料を払っていない、その上保険料免除・猶予の手続きをしていない期間が長い」ことです。

つまり、年金保険料を支払うのが大変に感じるときは、住所地の市区町村役場に保険料の免除・猶予の申請をマメにし、「保険料滞納期間」を少なくすることが確実に年金をもらう早道だといえます。

忘れがちなのですが、今年度、保険料の免除・猶予が認められても、来年度はわかりません。毎年、保険料免除・猶予の申請をしておく必要があるので気を付けましょう。

参考:日本年金機構HP

文=拝野 洋子(マネーガイド)