輸入車[2019.09.17 UP]


ポルシェ タイカンがワールドプレミア! 5分で100km分を充電する電動スポーツカー

タイカン ターボS

文●九島辰也 写真●ポルシェ

 2019年になってポルシェがチラ見せし続けてきたタイカン。夏前には世界各国を走るテスト風景がスパイフォトされていた。
 そんなタイカンがついにワールドプレミア。去る9月4日アンベールされた。日本のメディアが立ち会ったのは中国福建省。福州市の中心から150km離れたピンタン(平潭)という島だった。


タイカン ターボS


タイカン ターボS


タイカンのコンセプトは「サスティナブルモビリティ」

発表会に登壇したポルシェAG研究開発担当役員のミヒャエル・シュタイナー氏

 なぜ、その地が選ばれたというと、そこは巨大な風力発電機が立ち並ぶ自然エネルギー推進地区。サスティナブルなエネルギー戦略を掲げている。ポルシェ初となるEV(電気自動車)のタイカンのコンセプトはまさにそれ。サスティナブルモビリティ、つまり環境にやさしいクルマ社会への期待がこのクルマには注がれているのだ。
 ちなみに、アジア地区のメディアは中国に集められたが、ヨーロッパはベルリン郊外のソーラーファーム、北米はカナダのオンタリオ州にあるナイアガラの滝にそれぞれのエリアに近いメディアが呼ばれた。中国は“風”、ドイツは“太陽”、北米は“水”という自然エネルギーの源を示している。かなり大掛かりな演出といえよう。ブランド誕生から70余年。まさに新時代の幕開けといったところだ。ベルリンでマイクを握ったポルシェ本社のチェアマン、オリバー・ブルーメ氏がそんなことを口にした。
 発表会場では数名のボードメンバー、各部署の責任者が登壇し、タイカンの登場と続く。会場を沸き立たす音楽と躍動的な光の演出、それと印象的な映像でその時を盛り上げる。そしてステージ左から自走で真っ白いボディのタイカンが登場。会場のボルテージはマックスに上がる。
 登場後、それまで映像が流れていた壁がいつの間にかなくなっていたことに気づく。タイカンの背景には大きな風力発電機がライトアップされる姿が広がる。ここでこの演出がクルマのコンセプトとガッチリ合うというわけだ。大自然のなかで光に照らされた大きな風車はなんとも幻想的である。


タイカンの発表会は福州市の中心から150km離れたピンタン(平潭)という島で行われた


北米市場向けの発表会はカナダのナイアガラの滝にて実施された


タイカンのパフォーマンスはスーパーカークラス

タイカンはトップグレードとなる「ターボ」、「ターボS」から展開

 さて、発表されたタイカンだが、今回は「ターボS」、「ターボ」というグレードとなる。ハイパフォーマンスモデルからの顔見せだ。とはいえ、当然ターボといってもタービンは搭載していない。グレードを表すある種のシグネチャーとして使われる。発表前の昼間、「ターボを積んでいないのにどうしてターボなのか?」とボードメンバーに問うと、さらっと、こう答えた。「ターボはハイパワーを表すアイコンのようなもの」だと。きっとこの手の質問をたくさん受けたのであろう。ワンセンテンスで答えるとすぐに話を変えた。
 パワーは「ターボS」が761馬力、「ターボ」が680馬力となる。ハッキリ言ってスーパーカーだ。前者の0-100km/h加速は2.8秒、後者は3.2秒というから尋常じゃない。最高速度はともに260km/hとなる。


ポルシェらしいこだわりを感じる2段変速トランスミッションの採用

前後アクスルそれぞれにモーターを搭載するタイカン

 パワーソースとなる電気モーターはフロントとリヤのそれぞれのアクスルに1基ずつ設置される。要するに“ヨンク”。特徴的なのはそこに2速のトランスミッションが組み込まれること。ひとつは発進用で、もうひとつはロングレシオでの高速巡航用だ。この辺の発想と技術革新はポルシェらしいこだわりといえよう。ドライブモードは、レンジ、ノーマル、スポーツ、スポーツプラス、それとインディビジュアル。やはりスポーツプラスの走りは気になる。
 もちろん、これだけのパワーにこうしたドライブモードがあるのだから、他のポルシェ同様電子デバイスも抜かりはない。PASM電子制御ダンパーコントロールやら、トルクベクタリングプラスを含むポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)が搭載される。


100kmの航続距離分であればおよそ5分で充電可能。航続距離はターボSが412km、ターボが450km。

800Vシステムの採用によって短時間での充電を可能にした

 航続距離はターボSが412km、ターボが450km。まぁ、ハイパフォーマンスモデルだけにこの辺が妥当だろう。ただ、タイカンが優れているのは急速充電方式。通常のEVに採用される400Vではなく800Vを市販車初として備える。これによるメリットは大きく、100kmの航続距離分であればおよそ5分で充電できちゃうそうだ。最近は充電インフラもそうだが、充電時間が話題となるだけに5分という時間のインパクトは大きい。


ポルシェファミリーと感じられるフォルム

タイカンのデザインは911との類似性を感じさせるもの

 では最後にデザインだが、タイカンは4ドアモデルとなる。が、フロントピラーから後ろにかけてのフォルムはどこか911ぽく見える。フロントマスクは個性的だが、全体的な印象はまさしくポルシェファミリーだ。ユニークなことに、2020年後半にはタイカンクロスツーリスモなるものを追加すると発表している。イメージするにタイカンのSUV版だろう。となると“タイカン”は他のモデルと違ってひとつのサブブランドとして今後展開されるかもしれない。BMWで言うところの“iシリーズ”のような。
 なんてことを発表会からの帰りの車中で考えた。各メーカーが電動化を急ぐなか、ポルシェのEVストラテジーはかなり進んでいる。そんなタイカンのキャッチコピーは、「Soul, electrified./ それは、電動化された魂」だそうだ。要するに電動化してもポルシェの走りは変わらないと言うことを伝えたいのだろう。ただ、そこは実際に走ってみないとわからない。このコピーを要約するのはステアリングを握ってからにしよう。