普段なにげなく使っている言葉に、「給与」と「給料」、また「賃金」があります。3つの言葉を明確に使い分けている方はあまりいないと思いますが、厳密にいうと意味合いが違います。

普段なにげなく使っている言葉に、「給与」と「給料」、また「賃金」があるかと思います。3つの言葉を明確に使い分けている方はあまりいないと思いますが、厳密にいうと意味合いが違います。

今回はこの「給料」と「給与」、「賃金」の違いについて触れてみたいと思います。
 
◆「給与」とは「給料」を含めたすべての対価
サラリーマンは税法上「給与所得者」と呼ばれることはご存知のことかと思いますが、国税庁のホームページを見てみると「給与所得」について以下のような記載となっています。

「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう(所得税法 第28条 第1項)」

つまり名称にかかわらず、会社から従業員に支払われるすべてのものの総称が「給与」にあたります。

◆給与は金銭とは限らない
一般的に「給与」は金銭で支給されるものと考えがちですが、食事の現物支給や商品の値引き販売などの権利、福利厚生施設の利用なども「現物支給の給与」として取り扱われます。

ただし、このような「現物支給」の給与は、換金性に欠けることや評価が困難、受け取り側に物品選択の余地がない、などの理由から、課税上は金銭で支払われる給与とは異なった取扱いが定められています。

◆「給料」とは何か
「給料」に触れた条文としては、「給与に関する条例には次に挙げる事項を規定するものとする。(Ⅰ-給料表(地方公務員法第25条1項))」があります。

この「給料表」とは公務員の基本給を定めたものを指しています。

また「給料とは、船舶所有者が船員に対し一定の金額により定期に支払う報酬のうち基本となるべき固定給をいう(船員法第4条)」などの条文もあり、このようなことから考えると「給料」とは基本給を表したものといえるでしょう。

◆「賃金」とは何か
「給与」「給料」以外にも、「賃金」もよく使われる言葉です。

「賃金」については労働基準法に明確に定義されており、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう(労基法11条)」となっています。条文からすると、先ほどの「給与」とほぼ変わらないように思えます。

◆「賃金」と「給与」の違いとは
定義からみるとほぼ変わらない「賃金」と「給与」ですが、違う点があります。

それは労働基準法に「賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない(労基法24条)」と定められており、原則として「賃金」が通貨(金銭)での支払いに限られていることです。

ただしその後の条文には、労使間での協定がある場合などは通貨(金銭)以外での支払いもできるとなっており、実質的には「賃金」と「給与」はほぼ同義語と考えてよいのではないでしょうか。

普段なにげなく使っている「給与」「給料」「賃金」ですが、今回は各種の条文からその意味の違いについて読み解いてみました。皆さんのお金に関する知識の一助となれば嬉しく思います。

執筆:井出やすひろ(CFP・1級FP技能士・MR)

文=All About 編集部