気になる年金受給額がいくらなのかをチェックしましょう。

◆年金は平均いくらもらえる? 国民年金と厚生年金の受給額とは?
リタイア後の生活設計を考えるとき、公的年金(老齢年金)が一番重要なものとなります。何よりも、生涯にわたって受給でき、受給額も物価にある程度は連動するからです。

では実際に自分たちの老後にはいくら受給できるの?と知りたいところですが、数十年後の値を正確に知ることは難しいもの。

ですが、現在の受給者の状況はわかります。現状の老齢年金受給事情をご紹介します。

◆年金制度の基本的な仕組みとは
日本の公的年金制度。3階建てといわれる年金制度だが、1階部分の国民年金からは老齢基礎年金が、2階部分の厚生年金から老齢厚生年金が支給される
まずは、公的年金の仕組みについておさらいをしておきましょう。

日本に居住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金の被保険者となります。

その中でも3つに分類されており、サラリーマンや公務員など職場から加入している人を「第2号被保険者」、その第2号被保険者の被扶養配偶者で年収130万円未満の人は「第3号被保険者」、それ以外の自営業者等は「第1号被保険者」になります。

また、年金制度は「3階建て」といわれています。

・全員が加入している国民年金(基礎年金)=1階部分
・会社員などの第2号被保険者が加入している厚生年金=2階部分
・確定拠出年金や厚生年金基金、年金払い退職給付=3階部分

この記事では、基本的な1階、2階部分の支給額をご紹介します。

※平成27年10月からの年金一元化により、従来は公務員などが加入していた共済年金が厚生年金へ一本化されました。

◆標準的なモデル世帯は国民年金は1カ月6万5008円、厚生年金は夫婦で22万1504円
平成31年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例。 厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8 万円)で 40 年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準で、本来水準の計算式によって算出 (平成31年1月18日厚生労働省発表「平成31 年度の年金額改定について」より)​​​​
まずは、厚生労働省が発表した平成31年度(令和元年度)の年金額についてご紹介します。

国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間保険料を支払った人で、1人1カ月6万5008円。

また、厚生年金から夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として22万1504円とのこと。平成30年度より0.1%の微増となっています。これは、「平成30年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)のアップを受けての改定となっています。

また、厚生年金額の標準的なモデル夫婦は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が平成30年度に年金を受け取り始める場合の給付水準です。

これは、あくまでもモデル夫婦の例ですが、実際に受給している人はどのような状況なのでしょうか?

◆平均受給額は国民年金が5万5518円、厚生年金が14万4903円
国民年金・厚生年金保険(第1号)受給権者の平均年金月額の推移(平成29年度末現在、単位:円) 平成29年度の国民年金受給権者の平均年金額は5万5,518円だが、厚生年金の受給権をもっていない人は5万1,528円  ※()内は厚生年金保険の受給権を有しない基礎年金受給者  (出典:厚生労働省年金局「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
表は、現時点で老齢年金の受給権を持つ人の平均年金月額です。平成29年度で国民年金が5万5518円、厚生年金が14万4903円となっています。

ここでいう厚生年金は公務員や私学共済等以外の民間企業からの加入者になります。厚生年金が国民年金の約2.6倍となっており、厚生年金として9万円程度が上乗せされているのがわかります。

国民年金は平成26年度は前年より下がっていましたが、平成27年度からは上昇となっています。納付月数が多い受給者が増えてきたためと思われます。

また国民年金のカッコ内は、厚生年金の受給権を持たない人の平均です。一般的にずっと自営業だった人などが当てはまります。平均が5万1528円と、さらに低い水準となっています。

◆国民年金の1カ月あたり平均支給額、最多層は6万円台
国民年金受給権者の男女別の平均受給月額(平成29年度末時点、単位:円) 平均金額は男子の5万8754円なのに対して、女子は5万3013円。女子は3万円台からばらついているのが目立つ (出典:厚生労働省年金局「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
表は、国民年金受給権者の受給金額(月額)を男女別にまとめたものです。全体では、月額6万円台を受給している層が一番多く、平均は5万5518円。全体の半分以上が5万円以上の支給となっています。

ところが、女性だけを見ると様子が変わってきます。女性の最多層は月額6万円台で30.5%となっていますが、5万円台も23.8%あり、3万円台から7万円台まで散らばっているのがわかります。月額3万円台はもちろん、6万円台でも生活費としては厳しいところでしょう。

国民年金の計算方法は、年金を納めた期間(もしくは、免除などの期間)に比例して年金受給額が決まるという単純なものです。女性の場合は、年金の加入期間が少ない人が多いということですね。専業主婦が任意加入だった時代に加入していたかどうかで年金額の差が出ているのでしょう。

◆厚生年金の1カ月あたり平均支給額を男女別に見ると…
厚生年金保険(第1号)受給権者の男女別の平均受給月額(平成29年度末時点、単位:円) 平均年金額は月額14万4903円と、国民年金の受給額よりは高い。男子は16万5668円、女子は10万3026円と、男女間での受給額の差が大きくなっている (出典:厚生労働省年金局「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
表は厚生年金保険(第1号:公務員以外の民間企業から加入)受給権者の受給金額(月額)を男女別にまとめたものです。厚生年金は、国民年金の基礎年金に加えて厚生年金部分が支給されているので、国民年金より支給額が多くなっています。

厚生年金の平均受給額は月14万4903円と、国民年金のみの約2.6倍。

もちろん、現役時代に支払った保険料も厚生年金のほうは高額になってはいるのですが、この差は大きく感じられます。この金額があれば、生活の基本的な部分はまかなえるといったところでしょうか?

また、男女差も見ておきましょう。男子の平均が16万5668円に対して女子は10万3026円。男子は女子の1.6倍の受給となっています。

また女子の分布にも注目です。女子の45%が5~10万円の分布になっています。これは国民年金の受給にほんの少し上乗せがある程度。自分自身で会社員として厚生年金に加入していた期間がとても少ないことがわかります。

◆公的年金だけでなく自分年金づくりも大切
以上、現時点で年金の受給権を持つ人たちの平均額を紹介しました。多くの人にとって、これらの支給額だけでは老後の生活はまかなえそうにないという結果です。

将来的にはさらに年金受給額は減る傾向にあります。とはいっても、これらの公的年金は一生涯受給できる大切な収入源。受給できる年金額を増やしながら、独自で老後の資金計画を立てるという2本立ての対策が必要ですね。

文=福一 由紀(マネーガイド)