グリーン・デイが語る、ロックンロールのルーツに立ち返ったニューアルバム

新たなサウンドを渇望していた、グリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングは、ロックンロールのルーツに立ち返ることで答えを導き出した。

 「これまでとは違うことをやりたかった」ビリー・ジョー・アームストロングはそう話す。様々な苦難を乗り越えて復活したグリーン・デイが、2016年に前作『レボリューション・レディオ』を発表して以来、彼は新たなサウンドを探し求めていた。スモーキー・ロビンソンやエイミー・ワインハウス等を好んで聴いていたという彼は、ソウルミュージックにそのヒントを見出した。「60年代のイギリスのモッズはずっと聴いてきたけど、そのルーツを辿ってみたくなったんだ。グリーン・デイっていうフィルターを通したソウル、そういうのをやってみたかったんだよ」アームストロングはそう話す。「試行錯誤の連続で、何度頭を掻きむしったかわからないよ」



その努力は無駄にならなかった。決定的瞬間は、カリフォルニアのニューポートビーチにある彼の自宅でのジャムセッション中に、ドラマーのトレ・クールが「最高にダーティーなビート」を生み出した時だった。「ファザー・オブ・オール…」というタイトルを考えついたアームストロングは、60年代のダンスパーティーアンセム風に仕上げた同曲で、プリンスを思わせるファルセットを披露している。「エンジニアにこう言ったんだ。『とんだ間抜けに見えるかもしれないけど、我慢してくれ』ってね」そう話す彼は、同曲についてこう説明する。「空から落ちてきたユニコーンっていうイメージが浮かんだんだ。それが何なのかも、どうやって形にすべきかもわからないまま、俺はその方向に突き進んだ」その曲名は、2月7日に発表されるニューアルバムのタイトルになった。『ファザー・オブ・オール…』は、体が自然と動くようなグルーヴ、硬質なリフの数々、そしてニュー・ウェーヴやヴィンテージR&Bを思わせるサウンドに満ちている。


「ビリーは自分の限界に挑戦しようとしてた」ベーシストのマイク・ダーントはそう話す。「俺たちは遅れをとるまいと必死だった。いつものことだけどね、ビリーほど深く物事を掘り下げるやつはいないからさ」その一方で、楽曲の中には彼らの真骨頂であるパンクサウンドに忠実なものもあるという。「Meet Me on the Roof」や「Junkies on a High」について、ダーントは「グリーン・デイ節全開」と語っている(彼らは2004年作『アメリカン・イディオット』でブッシュ政権を糾弾したが、本作はドナルド・トランプとは何の接点もないという。「あんなアホのために時間を割くのはごめんだね。あいつの持ち時間の15分はとっくに過ぎてる。クソ喰らえさ」ダーントはそう話す)。

新たな方向性を打ち出した本作は、大ブレイクを果たした『ドゥーキー』から25年を経た今でも、グリーン・デイがその野心を失っていないことを示している。昨年ファンの間では、同作を丸ごと再現するアニバーサリーツアーが今年行われるという噂が流れたが、「そんなショーじゃ短すぎるだろ」とダーントは一蹴している。その代わりに、バンドは新作の曲群を生で披露する舞台として、2020年夏に盟友ウィーザーとフォール・アウト・ボーイと共に世界各国のスタジアムを巡るHella Mega Tourに参戦する。「スタジアムでのライブ自体、ものすごくエキサイティングなことだ」アームストロングはそう話す。「でも俺たちは、2020年最大のロックツアーをやりたかったんだよ」同ツアー(グリーン・デイはその前にソロ公演を控えている)で彼らと初競演するフォール・アウト・ボーイは、2015年にグリーン・デイがロックの殿堂入りを果たした際にプレゼンターを務め、『ドゥーキー』がバンドを組むきっかけになったと語っている。全公演でトリを務めるグリーン・デイを迎え撃つもうひとつのバンドは、同じくニルヴァーナ以降のシーンで頭角を示したウィーザーだ。「リヴァース(・クオモ)とは1994年頃からの付き合いだよ」アームストロングはそう話す。「デビュー時期も近いし、お互いこうして生き残ってる。楽しくなりそうだよ」

結成33年目にして実現するスタジアム公演を控えた彼らは、最近は自身の軌跡を振り返る機会がいつになく多いという。ダーントは先日、Danny Clinchがウッドストック94のバックステージで撮影した、泥まみれのメンバー3人の写真を見つけたという。髪を青く染めたダーントは歯をむき出しにし、あどけなさの残るアームストロングはビールを手に持っていた。「ここまできたんだなって感じさ。波乱万丈もいいとこだったけどね」ダーントはそう話す。「今もこうして続けてるだけじゃなく、バンド史上最高傑作だと思える作品を出せることに、言葉にならない興奮を覚えてるよ。そのことにはずっと感謝してきたけど、みんなをアッと言わせたいっていう思いは、今でも全く衰えていないんだ」