サービスやウェアラブルといったiPhoneに代わる成長ドライバがあるから、今年のiPhone 11のようにAppleはiPhoneの値下げに踏み切れる。そして「手頃な価格のiPhone」を用意することが、サービスやウェアラブルの成長を後押しする最善の方法になる。これがAppleの新たなプラス循環だ。

キーノートの最後に、リテール事業を率いるDeirdre O’Brien氏が登場し、ニューヨークの「Apple Fifth Avenue」が9月20日に再オープンすること、そしてトレードイン・プログラムについて紹介した。

今年の春にリテール担当シニアバイスプレジデントに就任したO’Brien氏が登壇する可能性はイベント前に予想されていたが、最後というのはサプライズだった。同時に「なぜリテールが最後?」という疑問が浮かんだが、その理由は次のスライドが示している。

  • ユーザーが快適にiPhoneを使い続けられるように、トレードインプログラムを改善

例えば、良好な状態のiPhone 8 Plusを下取りに出すとiPhone 11 (64GB、699ドル)は399ドルまたは16.62ドル/月 (24回分割)で購入できる。

下取りプログラムというのは珍しいものではないが、Appleが米国のストアで提供しているトレードインやiPhone UpgradeプログラムはプロセスがApple直営店らしい体験でとても快適だ。トレードイン・プログラムを活用することで、iPhoneユーザーは出費を抑えて簡単に、使用しているiPhoneから最新のiPhoneにアップグレードできる。これもAppleが提供するサービスの1つである。また、キーノートでは触れられなかったが、保証サービスのAppleCare+に、ユーザーがキャンセルするまで月単位で更新し続けられるプランが設けられた。24カ月というような長期ではなく、不要になったらキャンセルできるサブスクリプション型の柔軟なプランになるようだ。

  • 回収したiPhoneを専用ロボットで分解し、パーツや素材を可能な限りリサイクルしているAppleだから、充実したトレードイン・プログラムを提供できる

こうしたサービスや体験はiPhoneの機能ではないが、それらを組み合わせることでiPhoneを使うユーザーの暮らしが便利でより良いものなり得る。iPhone as a Serviceと呼びたくなるものだ。ここまで包括的な体験を提供できるスマートフォンメーカーは、Appleをおいて他にはない。「something only Apple can do」である。