東京と比べて福岡(九州)の年収は100万円以上少ないです。両者の物価を比べて検証してみます。家計の中でも負担の大きい家賃や不動産価格だけをみても、東京と地方では2倍以上の開きがあるのです。

◆東京と地方の家計を比べてみました
東京都市圏に日本の約3割の人が集まっています。

住まいの選び方は人それぞれの事情によって違うと思うので、東京と地方が単純に比べられるわけではありませんが、家計の面から見て違い・有利不利があるのか、東京は平均収入が高い、地方は低いというイメージがありますが実際にはどうかなど、地方は福岡(九州地方)を例に挙げてご紹介します。

◆東京と地方の年収差は100万円以上
出典:総務省「国勢調査」、「人口推計」より作成。
国税庁の調査によると、東京の民間企業の平均年収は492万円。福岡(国税局管内:福岡県のほかに佐賀県・長崎県が含まれます)の場合は378万円です。

イメージ通り、100万円以上の開きがあることがわかります(データ出典:国税庁「民間給与実態統計調査(平成29年度)」)。

◆東京と地方の手取りを比べる
使えるお金、すなわち毎月の手取り額(可処分所得)はどうなるでしょうか。ボーナス無しで12カ月均等に支給されたとして計算してみます。

●東京:492万円÷12カ月=41万円
●福岡:378万円÷12カ月=31.5万円

毎月の収入から所得税・住民税、社会保険料を差し引きます。生命保険料控除や住宅ローン控除などの所得控除・税額控除はないものとしている大まかな手取り額です。

●東京:32万円
●福岡:25万円

収入総額では約10万円の差がありましたが、手取では7万円の差になりました。

◆関東と地方の家計調査の手取金額
先の計算は大まかな計算でした。総務省が毎年行っている家計調査では手取額(=可処分所得)がどうなっているのか、関東と九州を比べてみましょう。

●関東:46万円
●九州:41万円
(二人以上の世帯のうち勤労者世帯、データ出典:「家計調査結果(平成29年度)」総務省)

世帯全体の収入ですので、金額は増えていますが、差は5万円です。

◆関東と地方の物価の差
手取収入は、5~7万円程度の差ということがわかりました。続いて支出です。表は地方ごとの消費者物価指数です。

例えば「食料」は、全国平均が1000円だとすると、関東地方では1013円、九州地方では981円で買えるということです。全体を見ると、関東地方は他の地方と比べて物価が高いといえますが、案外差がありません。
都会と地方の収入・家計を比べてみました(出典:総務省「小売物価統計調査(平成29年)」より作成)

しかし、住居費だけを見ると関東が115.3、九州が85.6と、大きな差があることがわかります。

◆東京と福岡の家賃の差だけで月7万円
東京圏の2LDK~3DKの家賃相場は約13万円、福岡県の相場は約6万円であり、福岡市中心部の人気エリアでも約12万円です(著者調べ)。

平均同士を比べると、東京が福岡よりも7万円高い結果となりました。これは、毎月の手取額の差が家賃だけで埋まるということです。

◆住宅購入の場合は?
2017年の中古マンションの取引価格の平均単価を使って比べてみます。

1平方メートル当りの平均価格(出典:国土交通省「土地総合情報システム不動産取引価格情報」)
●東京:729,249.9円/平方メートル
●福岡:278,075.8円/平方メートル

70平方メートルの広さだとすると、
●東京:51,047,491円(5104万円)
●福岡:19,465,307円(1946万円)

全額住宅ローンで購入したときの返済額(期間30年、2%の固定金利、元利均等払い)
●東京:18.9万円
●福岡:7.2万円

月の差額は、12.7万円東京が高いという結果となり、手取り額の差を埋めるどころか逆転してしまいました。

◆まとめ:稼げる・稼げないという理由だけで都会か地方かを決めない方がいい
東京圏は物価全体が高く、特に住居関係費が突出していることから、目の前の家計だけを見る限りは地方の方が生活しやすいといえるかもしれません。

これはあくまで平均年収や平均の家計で比べたもので、仕事や家族構成によって収入も支出もまったく違います。それに残るお金が同じ水準でも、年収が異なると退職金や年金にも差が出てきますので、目先の家計だけで判断することはできません。

これから進学先や就職・転職先などで住まいを選択しようとするなら、稼げる・稼げないという理由だけで都会か地方かを決めない方がいいということだけは間違いないでしょう。

文=井上 陽一(マネーガイド)