先日、4代目に進化したダイハツ工業の軽自動車「タント」は、“軽自動車のミニバン”ともいえる「軽スーパーハイトワゴン」というジャンルの先駆者だ。ダイハツの売れ筋商品でもあり、新型は発売から1カ月で月販目標の約3倍となる3万7,000台を受注する好調ぶりである。このクルマの見所は、ダイハツの新たなクルマづくり「DNGA」により全面刷新が図られているところ。その実力を試乗して確かめてきた。

  • ダイハツの新型「タント」

    ダイハツの新型「タント」(画像はタントカスタムの最上級グレード「RS」)

外見だけではわからない「DNGA」の効果

ダイハツ「タント」は使い勝手を追求したワゴンタイプの軽自動車だ。歴代モデルは“ママさん層”をメインターゲットとし、2代目では助手席側にピラーインドア構造の「ミラクルオープンドア」を、3代目では両側の後席に電動スライドドアを採用するなど、日常の使いやすさを追求してきた。新型はタントの4代目となる。

ダイハツは今回、ライバル車の存在と軽自動車ニーズの拡大を考慮し、タントの全面刷新を図った。デザインは、プレーンなスタイルの標準車とエアロパーツなどの専用パーツでドレスアップした「カスタム」の2種類を設定。エンジンは自然吸気仕様とターボの2種類で、トランスミッションは全車CVTとした。駆動方式は4WDも選べる。価格は標準車が122万400円~168万4,800円。ドレスアップモデルの「カスタム」が154万9,800円~187万3,800円となる。

  • ダイハツの新型「タント」

    こちらは新型「タント」標準車の上級グレード「X」。カスタムとはフロントマスクのデザインや装飾などが異なる

新型タントの注目すべき点は、ダイハツが新たなクルマづくり「DNGA」に基づいて作った製品の第1弾であること。手持ちの材料にとらわれず、将来のクルマづくりを見据え、必要な部分にはお金を使い、積極的に新しい部品や機能を取り入れる。それが、ダイハツがDNGAで目指したことだ。

具体的には、クルマの基本骨格であるプラットフォームを完全新設計とし、そこに組み合わせる足回り、パワートレインなどの全てを一新することで、「走る」「曲がる」「止まる」といったクルマの基本性能を大きく進化させた。これは、クルマの見た目では分からない中身の話だが、実は、最も重要なことなのだ。