――キャスティングについてですが、飛電或人を演じる高橋文哉さんの起用の決め手を教えてください。

今までの「仮面ライダー」とはちょっと変わっていて、或人には「お笑い芸人」というベースがあります。お笑いの仕事をAIに奪われて、その後「社長」になるという。なので、或人は劇中で「ギャグ」を飛ばすことがたびたびあるんですね。それも「寒いギャグ」を。そういう人を探していたら、1人だけいたという(笑)。それが高橋くんだったんです。オーディションの席でも、台本に起こしたギャグをセリフとしてしゃべってもらったんですけれど、そういうことをやらせると違和感が出てくる人がいる中で、高橋くんは自然にギャグができたんですね。その後もオーディションを重ねるたびに進化していきました。また、プロフィールに「日本一のイケメン」と書いてあったのもインパクトが大きかったですね。実際、オーディション会場に入ってきたらイケメンでしたけど(笑)。それなのに、本人はあまりイケメンの部分にこだわっていないところが素敵で、コメディアンの役だからとどんどん顔を崩していったり、すごく大きな表現をしたり。日本一のイケメンが思いっきり変顔をやってくれるところが魅力的に見えますね。

――或人が毎回、どんなギャグを発するのかは、やはり大森さんや悠也さんたちが考えたりするのですか。

今回「ギャグ指導」というのをつけてみました。ちゃんと「ギャグ指導」のためのオーディションをやったんです。いろんなお笑い芸人さんの事務所から短い動画を募って、それをわれわれが審査するんです。一応、或人に合わせて「20代」と年齢制限を定めたんですが、その中で松竹芸能の「ハッピー遠藤」さんに決めさせていただきました。ちなみにオジンオズボーンの篠宮暁さんも動画を送ってくださったんですけれど、「オーバーエイジ」だな~と(笑)。

――AIの専門家だけでなく、若手お笑い芸人のギャグにまでアドバイザーをつけるという姿勢には、もう期待しかありませんね。

果たして「ギャグ指導」って意味あるのかなと思いつつ、試行錯誤をしながらいろいろなことをやっていくつもりです。今から悠也さんはイヤがってますけどね。台本上でギャグを書くと、どうやってもダジャレになってしまいますし……。「寒いギャグを書いてください」と悠也さんにお願いしている僕のせいです(笑)。あとは高橋くんの表現力に期待してほしいです。でも、くれぐれも言っておきますが「ぜんぜん面白くなくて、すごく売れない芸人」のギャグですからね(笑)。

――他のキャスト陣で特に目を引いたのは、或人の秘書を務めるAIアシスタントのヒューマギア「イズ」役の鶴嶋乃愛さんです。無表情なたたずまいと整った顔立ちがいかにもアンドロイド的というか、神秘的な美しさをも感じさせます。

イズは『ゼロワン』の「いろいろなお仕事の中にアンドロイドが導入され、活躍している」という世界観を象徴するキャラクターです。鶴嶋さんはまだ女優として新人なのですが、誤解を恐れずに言うとアンドロイドを演じるにあたっては非常に適している(笑)。例年だと、新人俳優が演技をすると抑揚がなくセリフが平坦なのでスタッフから「アンドロイドみたいな芝居するな!」と怒られることがあったんですが、彼女の場合アンドロイド役なので、最初から「おっ、うまいな!」って言われています。

――いよいよ放送開始となる『仮面ライダーゼロワン』。第1話のこういうところを観てほしい!という見どころを教えてください。

まずは『ゼロワン』の世界観を十分に味わっていただきたい。平成から令和に変わり、人々の生活がこれからどのようになっていくのか……を強く意識した作品です。『仮面ライダージオウ』から引き続き、たくさんの方々にお楽しみいただきたいですね。

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