蓮沼執太フィル「日比谷、時が奏でる」最後の挨拶の様子。(撮影:後藤武浩)

蓮沼執太フィルが8月25日に東京・日比谷野外大音楽堂で単独公演「日比谷、時が奏でる」を開催した。

本公演は2部制となっており、1部では蓮沼フィルにゲストアーティストを交えたコラボレーションステージと、総勢26人からなるフルフィルでの演奏が、2部では蓮沼フィルの1stアルバム「時が奏でる」の全曲再現ライブが行われた。開演前にはゲストのLicaxxxがオープニングDJを務めたほか、場内アナウンスをU-zhaanが担当し、公演の案内事項に加えて「現在、蓮沼執太の“執”の字における誤字が非常に多くなっております。執太の“執”は執念の“執”。今一度ご確認いただけたらと思います」と、当日の感想を各種SNSへハッシュタグを付けて投稿する際の注意を促した。

フィルのメンバーと共にステージに登場した蓮沼執太は「こんばんは、蓮沼執太フィルです! 準備はいいかな?」と挨拶すると「NEW」でライブをスタートさせる。ラップパートでは「僕たちは今、日比谷野音にいる」から始まるオリジナルのリリックを交え、「元気に盛り上がって行くぞー!」と大きく声を上げた。2曲目ではフルメンバーと呼ばれる10名が加わった26名がステージに上がり、「windandwindows」を披露。蓮沼と木下美紗都のツインボーカルが野外の風に乗って伸びやかに広がり、さわやかなハーモニーを生み出していた。3曲目には蓮沼のグッズデザインやミュージックビデオなどを手がける平山昌尚がステージに呼びこまれる。蓮沼は「ヒマさん(平山)にVJをお願いしたら大きな段ボールを4つ持ってきてくれたのでがんばりたいと思います」と前置きし、「Meeting Place」のMVに使用されたイラストを映像と同様に人力で左右に動かしながらパフォーマンスした。4曲目は日比谷野音に「来るのも初、演るのも初」だというゲストの中村佳穂が参加した「CHANCE」。中村と蓮沼がパワフルに歌い出すと客席からは歓声が上がり、その熱気に呼応するように中村は喜びを全身で表現しながらアドリブ満載で熱唱した。

続いては鎮座DOPENESSと環ROYからなるKAKATOが登場。いつもは緩い空気感をまとっている鎮座だが「もうやろう、早く終わらせたい」と珍しく緊張感をにじませ、3日前に作ったばかりだという新曲を初披露。前半では鎮座がリードを取り切なげなメロディでゆったり歌い上げると、後半はアッパーな曲調に一転し、環ROYが高速ラップを畳みかけた。6曲目では砂原良徳がこの日のためにリミックスした蓮沼フィルの楽曲「off-site」をシンセサイザーを用いてセッション。フィルの生演奏に鋭角な電子音が融合したサウンドを届けた。ここで蓮沼に名前を呼び上げられたフィルメンバーの大谷能生(Sax)は席を立ち、「蓮沼フィルでは能生(よしお)、JAZZ DOMMUNISTERSでは谷王(たにおう)。Call me Tanio, From Yokohama」とラップで自己紹介を始める。JAZZ DOMMUNISTERSのもう1人のメンバーである菊地成孔もステージに現れ、オリジナルリリックを交えた「4O」のリミックスをプレイした。弾む足取りでステージに登場した原田郁子は、クラムボンのトリビュートアルバム「Why not Clammbon!?~クラムボン・トリビュート」で蓮沼フィルがカバーした「ある鼓動」をセッション。時折蓮沼と顔を見合わせつつ、終始リズミカルに体を揺らしながら歌い上げた。原田と入れ替わりで再びフルメンバーが登場し、全員が息の合った様子で「FULLPHONY」を演奏して1部を締めくくった。

2部ではフィルメンバーが「時が奏でる」を全曲演奏。代表曲「ONEMAN」に始まり、MCをほぼ挟まないまま収録順に次々と演奏していく。ライブではなじみ深い曲ばかりが並び、オーディエンスも楽しげに聴き入っていた。またライブがクライマックスに差しかかった頃のメンバー紹介で蓮沼が、フィルメンバーとして最後のライブ出演となる木下に「キノピー、ありがとう!」と感謝の言葉を贈る場面もあった。最後に蓮沼フィルは「Hello Everything」を一丸となって演奏し、客席からの大喝采を浴びながら初の野音公演を終えた。

蓮沼執太フィル「日比谷、時が奏でる」2019年8月25日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

第1部

01. NEW
02. windandwindows
03. Meeting Place feat. 平山昌尚
04. CHANCE feat. 中村佳穂
05. 新曲(タイトル未定)feat. KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)
06. off-site remix feat. 砂原良徳
07. 4O JDs remix feat. JAZZ DOMMUNISTERS(菊地成孔&大谷能生)
08. ある鼓動 feat. 原田郁子
09. FULLPHONY

第2部

01. ONEMAN
02. Earphone & Headphone in my Head - PLAY0
03. ZERO CONCERTO
04. Triooo - VOL
05. YY
06. wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya
07. SoulOsci
08. Hello Everything