ビジネスではさまざまな指標が使われますが、「エンゲージメント」は近年いろいろな分野に導入されている指標です。この言葉の意味を改めておさらいしておきましょう。

  • エンゲージメントの意味や高め方を理解していますか?

エンゲージメントの意味

マーケティングや人事といったビジネスの分野で用いられる「エンゲージメント【engagement】」とは、大まかに言って「つながり」のことです。

「ブランドと顧客にエンゲージメントを構築する」とは、信頼関係を結ぶことを指しますし、「従業員エンゲージメントの調査」は、どれくらい自社に愛着を持っているのか測定することです。こうした「つながり」に注目していくのが、エンゲージメントの考え方なのです。

エンゲージメントの語源

エンゲージリングの交換が婚約を誓う儀式であるように、もともとエンゲージメントは「強い約束」を意味する言葉でした。

しかし、いくら立派な契約をしたところで、結婚生活は互いの信頼関係や愛着が無ければ長続きしません。ここから、絆やつながりこそが、約束を履行する上で重要なのではないかという考えが生まれました。

ビジネスの上では「消費者に飽きられないためにはどうすればいいのか?」「従業員が辞めていくのをどうすれば防げるのか?」といったことは常に経営者を悩ませる課題です。

この課題に対するアプローチとして「商品と顧客のエンゲージメント」や、「企業と従業員のエンゲージメント」が注目されるようになったのです。

エンゲージメントの必要性

まずは人事分野におけるエンゲージメントの必要性を見てみましょう。

かつて日本で当たり前だった終身雇用や年功序列といった制度が崩れ、人材の流動化が一般化しました。より良いと思える企業への転職が増えれば、離職率は上昇していくことになります。

人材を確保し、かつ長期的に働いてもらう。そのための方策として、エンゲージメントが重要視され始めたのです。

一方、マーケティング分野において、エンゲージメントという視点は必ずしも目新しいものではありません。商品と顧客の関係構築については「ブランディング」という言葉で昔から重要視されていました。

昔と違うのは、ICTの発展によってマーケティング施策の反応が事細かに測定できるようになったことです。Webサイトの記事がどこまで読まれたのか。Instagramの投稿にどれくらい「いいね!」が付いたのか。駅ビジョン広告に誰が視線を向けたのか。すべて事細かに数値化することができます。

従来の広告効果は「これくらいの人が見ただろう」と推計するしかありませんでしたが、今では具体的な消費者の「反応」を数値化できるようになったという事です。

反応はそのまま商品への関心の大小を示すわけですから、それをエンゲージメントという新たな指標として用いるようになったのです。見られた数に対する反応数を「エンゲージメント率」と呼んでいます。

エンゲージメントを向上させる方法

人事分野での「従業員エンゲージメント」を向上させるためには、個人と組織が互いによい影響を与えあう関係になることが重要です。単に福利厚生を手篤くすれば良いというわけではありません。

「自分が活躍することによって、組織が発展する」「組織が発展することによって、自分の働きがいが増す」この両輪を回すことが重要です。具体的には、組織のビジョンと個人のビジョンのすり合わせや成長支援といった施策を実施します。

一方、マーケティング分野での「エンゲージメント率」の向上には、自社製品に合ったメッセージの届け方を工夫しなければなりません。

例えば、FacebookとTwitterとInstagramではユーザーの性質も年齢層も違います。どんな内容で、何時に、どの程度の間隔で投稿するのか。突き詰めて考える必要があるのです。

評価や測定方法

従業員エンゲージメントの測定法は幾つかありますが、一般的なものはアンケート調査です。仕事や対人関係・キャリア形成・社風などについて、どんな感情を抱いているかを、定期的に問う「パルスサーベイ」などがあります。

そのほかには、PCの利用状況から仕事への集中力を推定したり、職場にカメラを置いて表情やしぐさを分析したり、さらには仕事中に心拍数などの生体データを取得するような測定方法もあります。

マーケティングのエンゲージメント率を測定するには、Webのアクセス解析サービスを利用したり、各SNSの管理機能を使ったり、あるいはカメラを設置して通行人の広告に対する反応を分析するといった方法があります。

エンゲージメントを高めることに成功した企業

スターバックス コーヒー ジャパンは従業員エンゲージメントを重視する企業のひとつです。

同社は顧客満足よりも従業員満足を上位に掲げており、行動指針には「従業員に誇りを持って働いて欲しい」という願いが込められています。マニュアルの無い人材育成や、自主性の尊重、パートタイマーに対する健康保険の付与など、従業員を尊重する各種の仕組みが、エンゲージメントを高めているのです。

スターバックスはまた、マーケティングにおいても高いエンゲージメント率を誇っており、Instagramでは外食業界一位の反応を得ています。 ※出典:Instagramの企業アカウント17業界961件を分析! 企業のインスタ活用の傾向【2018年度版】より

同社は社内に対しても社外に対しても、エンゲージメントの高め方が巧みであると言えるでしょう。