アジア・太平洋物理学会連合プラズマ物理分科会(AAPPS-DPP、菊池満会長)はこのほど、プラズマ物理学の進歩に貢献した研究者に贈るチャンドラセカール賞の第6回授賞者に太陽や宇宙のプラズマ物理学の分野で研究業績を上げた京都大学教授の柴田一成氏と中国浙江大学と米カリフォルニア大学の2大学で教授を務める陳留氏の2氏を選出した。表彰式は11月20日にマレーシア・クチンで開催される第14回アジア太平洋物理学国際会議で行われる。

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    左:柴田一成氏、右:陳留氏(写真提供・AAPPS-DPP)

発表によると、柴田氏の授賞理由は「太陽及び宇宙磁気流体力学における先駆的かつ独創的な貢献」。陳氏の授賞理由は「磁場核融合及び宇宙空間プラズマ物理に関する先駆的かつ独創性に富んだ理論的貢献」。

柴田一成氏は、1954年大阪市生まれ。1983年に京都大学で博士号を取得。愛知教育大学と国立天文台で16年間勤務した後、1999年から京都大学理学研究科付属天文台教授。2017年から2019年6月まで日本天文学会会長。

陳留氏は1946年に中国・杭州市生まれ。1972年に米カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。米プリンストンプラズマ物理研究所で1974~1993年勤務し、 その後、米カリフォルニア大学アーバイン校教授などを務めた。2006年に中国浙江大学物理学科で核融合理論とシミュレーションの研究所を設立し、2016年から名誉所長。

チャンドラセカール賞は、インド生まれの米国の天体物理学者で、プラズマ物理学に貢献し、1983年ノーベル物理学賞を受賞したチャンドラセカール(1910~1995年)氏を記念して創設された。

AAPPS-DPPは、プラズマ応用分野で産業界へインパクトのある先駆的かつ独創的な貢献を行った研究者に授与する「AAPPS-DPPプラズマイノベーション賞」を創設。第1回の授賞者に、オーストラリア国立大学のロデリック・ウィリアムス・ボズウェル教授を選出した。受賞理由は「プラズマ基礎物理学への幅広い貢献と、地上および宇宙産業への応用」。

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