皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、税金の滞納にカードローンの支払いなどで貯蓄ができないことに悩む30代女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします

◆借金返済をしながらの貯蓄、運用はどう考えればいいですか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、税金の滞納にカードローンの支払いなどで貯蓄ができないことに悩む30代女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
みついさん(仮名)
女性/派遣社員/36歳
大阪府/賃貸住宅

◇家族構成
一人暮らし

◇相談内容
アパレル勤務時代、売り上げノルマの制服購入代として借り入れたローンの返済に加え、今年まで、住民税の未払い金の返済が月5万円あったため、貯蓄がまったくなく、将来に不安があります。

年齢的に再就職も難しく、株投資などの資産運用も考えています。証券口座はつくりましたが、そこから運用には至ってはいません。借り入れを返済するのに費やしてきたので、返済と貯金のバランス、完済後のお金の運用についてアドバイスをいただきたいと思っています。

◇家計収支データ
「みつい」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)アパレル時代の借入について
借入先=クレジットカードのローンとショッピングのリボ払い
借入残高=35万円
金利=18%
返済方法と返済額=毎月返済、月2万円
完済時期=2年後

(2)住民税の未払分について
未納額=85万円(延滞金込み)
返済回数、返済方法=2カ月前に完済。17カ月での分割(月5万円)

※捕捉
12カ月分割で全額払えなければ、家財を差し押えになると市税事務所に脅されたが、他の自治体ではそんなことはないと訴え、17カ月で返済したとのこと。

(3)現在の勤務先について
・厚生年金、健康保険には加入。派遣のため、2~3年で勤務先が変わる。
・明確な定年はないが、年齢が上がるほど派遣の仕事は少ない。
・ボーナス、退職金は基本的になし。昇給として時給が年10円上がる程度。

(4)実家について
相談者コメント「虐待されていたので、20歳から実家には戻ってません。戻る気も無いですし、土地、建物も引き継ぐつもりはありません。姉が引き継ぐと思いますが、相続時にかかる費用は私が出したいと思います」

(5)結婚について
結婚の予定はなし。結婚を希望する時期もあったが、今はどうやって1人で生きていくかを考えているとのこと。

◇FP深野康彦からの2つのアドバイス
アドバイス1:今は現金を最優先に貯めていく時期
アドバイス2:元気に働き、細く長く貯めていく

◆アドバイス1:今は現金を最優先に貯めていく時期
住民税の滞納分の支払いが終わり、今後は家計にその分の余裕が生まれ、貯蓄ができるようになる。これは相談者のみついさんにとって大きいこと。貯蓄に励んでください。残業の有無やアルバイトをどれだけするのかによって収入は多少変動するでしょうが、月3万円は貯蓄できそうです。まずはそこを目標にしてみてください。

また、カードローンの返済が終われば、さらに家計に余裕が生まれます。自然と貯蓄ペースも上がっていきます。現状、貯蓄がないわけですが、焦る必要はありません。まだ30代半ばですから、時間もあります。まずは、家計の中でしっかりと貯蓄ペースを作り、確実に貯めていく。家計を貯蓄体質に変えていくことが大切です。

資産運用も考えているとのことですが、今は現金を増やす時期。貯蓄がほぼない状態であり、派遣社員という状況も、ある意味リスクを含んでいます。その上で「運用」というリスクを取ることはできません。少なくとも100万円は貯めましょう。

100万円現金で貯めることができれば、積み立て貯蓄を継続しながら、一部運用に資金を回してもいいでしょう。目先の売り買いにこだわらず、投資から得られた利益に対する税金が非課税となる「NISA」や「つみたてNISA」を利用して、中長期投資を目指すのがいいのでは。個別株なら、配当の高い銘柄や、株主優待を楽しみに株を保有してもいいと思います。

◆アドバイス2:元気に働き、細く長く貯めていく
みついさんは、今まで貯蓄が思うようにできず、家計のやりくりに苦労された経験から、お金を使うことにシビアになっているという気がします。

もちろん、現状を考えれば貯蓄が最優先ですが、しかし、何から何まで節約では、生活そのものが無味乾燥としたものになってしまいます。金額の枠を決めて、その範囲で自分の楽しみのために使うことも考えてみてください。

貯蓄は継続してこそ意味があります。そのためには、ときに息抜きをして、生活を楽しむ。それがまた貯める活力になるはず。一気に増やすのではなく、細く長く積み立てることで増やしていくことを心掛けてほしいと思います。

もうひとつ、心も含めた健康面に気を配ること。今は年齢的に副業でアルバイトができていますが、10年後もその体力、気力があるかどうか。また、無理をして、本当に体を壊してしまっては元も子もありません。

老後に向けての有効な対策は、元気により長く働くということです。収入は下がっても65歳、70歳と働き続ける。そのためには、今から心と体をケアしていくことが大切です。

また気になる点として、現在、保険には未加入ですが、独身であること、蓄えがないことを考慮すると、死亡保障は不要ですが、医療保障は確保すべきだと考えます。保障は必要最小限、入院給付額は日額5000円で構いません。特約を付加しないシンプルな医療保険なら保険料は月2000円(終身保障終身払い)を切るはず。または、県民共済でもいいでしょう。

最後に、家庭の事情、姉妹のご関係について詳しくはわかりませんが、親からの相続を拒否されるのであれば、その費用をご自身が出すというのは、一般的に考えればおかしな話です。私は出す必要はないと考えます。

◆相談者「みつい」さんから寄せられた感想
今まで、返済などが苦しく将来のお金に関して考える余裕がありませんでした。まずは100万目標に月々積立貯金をしていきます。

今回の先生のアドバイスのお陰で、自分の心や健康について改めて考えさせられました。今までは、冷たい言い方かもしれませんが、他人のために自分自身を犠牲にしてきたと思います。これからは自分のことも大切にします。いろんなことを楽しみながら、貯金にも励みたいと思います。アドバイスありがとうございました。

教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武

文=あるじゃん 編集部